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あらすじ


ダンジョンの敵は思ったよりも強かった!

「ガァー!」


「ぐっ」


「「拓武!?」」


 拓武が初めてダメージを負った。今までも敵の攻撃が当たったことはあったが、敵の力を下げて拓武の耐久を上げることで怪我には繋がっていなかったのだ。


「サクマ君! 早く回復を!」


「は、はい! 《ヒール》!」


 今の俺の回復量は211。それでも間に合ったようだ。


「うー、ごめん咲真。いやー怪我って痛いね」


「何笑ってんのよ拓武! あれくらいの速さならいつも避けてるでしょ!? なにやってんのよ!」


「梓様の言うとおりです。どうやら疲れが溜まっているようですが、休みますか?」


「いえ、まだ大丈夫です。梓も、心配かけてごめん。でも今日中に四階層に行くなら、こんなところで休んでちゃダメだ」


「それならそれでいいと思うよ。でもタクム君、MPを回復してからね。さっき避けられなかったのは、MPが無くなってステータスが下がったせいだ。スキルの回数だけ気にしていても、戦闘は回らないよ」


 ダリアン先生だった。そうだ、俺以外は魔術を使わないから気付かなかったけど、邪気のせいで今もMPは削られているんだ。

 MPがなくなるとステータスが下がる。地上だと他に魔術が使えなくなるだけだけど、ダンジョンだとMPの代わりにHPが減るようになる。だからここにいる全員が、MPの管理に気を付けなければならない。




 それからは、かなり順調に進んだ。

 もうすぐ五階層だ。


「皆様、五階層からは特に御気お付けください。もちろん、下の階層へ行くのですから魔物は強くなります。ですがそれ以上に危ないのは、五階層のフロアボスです。

「ボスモンスターには二種類あります。避けることができない代わりにいざとなれば逃げることもできる、次の階層の前にいる『常駐型ボス』

「運が良ければ出会わないが一度出会えば逃げられない、階層全体を動き回る『徘徊型ボス』

「幸か不幸か、五階層のフロアボスは常駐型です。皆様ならきっと勝つことができるでしょう。ですが、油断はしないでください。フロアボスの強さは、その階層の魔物五体分でも足りないと言われていますから」




 ここに来るまでにもたくさんの苦戦があった。でもそのおかげで、自分でもわかるくらい強くなっている。

 レベルやスキルだけではない、戦いそのものに対する経験だ。連携もかなり上達した。五階層だろうとフロアボスだろうと、きっと勝利できる。

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