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あらすじ
強制クエスト『ダンジョンへ行こう』を受託した!
「ねえアルレナさん。その邪気っていうのは、どうにかして無くせないの?」
「無くす方法は見つかっていません。ただ、銀製のアイテムを持っていると周囲の邪気が少し薄くなることがわかっています。皆様にはこのあと、ダンジョンへ持っていく銀製のアイテムを選んでいただきます」
そうして俺たちの前には、いくつものアイテムが運ばれてきた。
「あ、これいいね。僕はこれにするよ」
そう言って拓武が手に取ったのは、銀製の小太刀だった。
「私はこれにしようかしらね」
梓は腕輪にしたようだ。
俺はどうしよう。多分、邪気というのは聖鳥の尾羽で無効化出来るんだろう。たしか説明に邪気を浄化すると書いてあったはずだ。そうなると大事なのは実用性だ。だとすると、
「俺はこれにするよ」
俺は選んだ銀製の指輪を、右手の人差し指に嵌めた※※※※の指輪と対になるように左手に嵌めた。
「皆様、アイテムを選んだようですね。それでは、皆様と共にダンジョンへ潜る者の紹介します。まず責任者として私が。次にもしものために、騎士団の第七軍団軍団長のバルザ君。そして物資の運搬係として、筆頭宮廷魔術師のダリアン君が同行します」
先生の時空魔術の力の一つに、アイテムボックスがある。自分専用の異空間を作り、そこにアイテムを入れておくのだ。異空間を作るのにも、それを拡張するにも、大量のMPが必要なため、この国でアイテムボックスを使えるのは先生だけなのだ。
「ダンジョン内で必要な物は、全てダリアン君が運んでくれるので、皆様はいつも通りの戦闘準備で大丈夫ですよ」
そうして次の日、俺たちはダンジョンへ向かったのだが、
「ねえ、ダンジョンってお城から近くない?」
そうなのだ。お城を出てから馬車で半日で着いた。俺と先生が交代でパワーアップとスピードアップかけていたことを考えると、普通の馬車なら一日もかからないくらいだろうか。王都からもあまり離れていないし、危なくないのだろうか。
「昔は、ダンジョンを中心に都を作ってたらしいよ。ダンジョンは資源の倉庫だからね。危険だから都は移したけど、やっぱりダンジョンの恵みは凄いよ」
まあアルレナさんに聞いただけでも、いろいろな魔物の素材、植物、地上では採れない鉱物、本当に凄いと思う。
「今日中にはダンジョンに潜る手続きが終了しますので、今日はもうお休みください」




