第五話
「おお!ここが冒険者ギルドか!」
この街の中ではひときわ大きい建物を見る。テンプレがあるのかとドキドキしながら入っていく。
「お~、なんか凄い」
何が凄いかわからないがなんとなく雰囲気が凄い。
「あそこが受付かな?」
そう言うと受付まで歩いていく。
「すみません、冒険者の登録をしたいのですが……」
「あっ、すみません、こちらは冒険者依頼用の窓口です。登録はあちらになります」
「あっ、はい」
穴があったら入りたい……再度、気を取り直して、受付に行く。
「すみません、冒険者の登録をしたいのですが……」
「はい。承りました。それではこの魔道具に手を当ててください」
「はい」
魔道具に手を当てると、カードに文字が刻まれていく。
「お~、すごいですね」
「はじめての方は皆そう言われます……はい結構です」
これだけでいいのだろうか?
「ブリッツさんですね?……こ、このステータスは……すごいですね」
「あっ、はい。ありがとうございます。あの、倒した魔物を売りたいんですけど何処で売れますか?」
「あ、はい。こちらカードです。魔物の売却はあちらの窓口へ行ってください。案内があるはずです」
「わかりました。ありがとうございます」
カードを受け取り、そう言うと言われたとおりの窓口へ来た。
「すみません、魔物を売りたいのですが」
「はい。わかりました。係の者が案内しますので彼について行ってください」
すると、待機していた男性が声をかけてきた。俺はその人についていく。
「じゃあ、ここに魔物の素材や肉なんかを出してくれ。って、あんた、魔物は何処に?魔法のカバンを持っているわけでもなさそうだし」
「ああ、魔法で収納してあります」
「は、はぁ」
「で、ここに出せばいいですか?どのくらいの魔物を出せばいいですか?山のようにあるのですが……」
「山のようにですか?……解体してありますか?」
「解体はしてあります」
「では魔石だけ取り出せますか?」
「かまわないですけど、何処に出すんです?ここじゃスペースが足りなさすぎるんですけど……」
「え?」
「え?」
沈黙が流れる。
「ここに入り切らないほどの魔石ですか?」
「はい」
「……では、下級の魔石のみお願いしてもいいですか?」
「ああ、それなら多分大丈夫です。下級のサイズってどれくらいですか?」
「えっと、中級の半分ぐらいですね」
「なるほどってことはこのくらいのサイズかな?」
そう言って一個だけ取り出す。
「ええ、それで構いません」
「でもあるだけだして大丈夫ですか?軽く3億個ぐらいありますよ?」
「は?」
「……」
再び沈黙。
「じょ、冗談ですよね?」
「本気ですが?」
またもや沈黙。
「は、ははは……えーっと、そのサイズの魔石を1000個買い取りましょう」
「たった1000個ですか」
「それだけでも相当な金額になりますよ?」
「まぁ、いいです。それで。で?他の素材はどれくらい売れますか?」
「……他の素材も売るつもりですか?」
「駄目ですか?」
「ギルドの金庫を空にしたいのですか?」
「いや、そんなつもりはないですけど」
「魔石は需要があるので一気に1000個まで買い取りますが、それ以外は今は無理です」
「はぁ、そうですか……残念です……では1000個ですね……はいどうぞ」
俺はそう言うと、その場に1000個ピッタリ出現させた。
「おい、ちょっと待て。袋か何か無いのか!」
「あっ、それは気がつきませんで……一旦戻します」
そう言うと1000個の魔石は一瞬で消えた。
「ちょ、ちょっと待っててください……袋を持ってきます」
「あっ、はい」
そう言うと、その人は袋を取りに行った。しばらくして戻ってきた。
「1000個の買い取りの許可ももらってきました。規約上大丈夫だとは思っていましたが、本当に限界まで納品する人は初めてなので驚いてましたが……とりあえず、はい。袋です。これの中に入れてください」
こうしていくつかの袋に分けて、入れた。
「はい。結構です。では査定してきますので暫くお待ち下さい」
そう言うと、魔石の入った袋を重そうに抱えながら持っていった。今度はかなり待たされた。
「おまたせしました。査定が完了しました。本当にぴったり1000個ありました。品質も上質で問題ないとのことです」
「ありがとうございます」
「それで金額ですが金貨100枚になります」
「はぁ、どうもありがとうございます」
「……そ、それだけですか?」
「他にどんな反応をすればいいんですか?」
「金貨100枚ですよ!」
「いや、それは聞きましたけど」
「いやいやいや、おかしいでしょ!?」
「そう言われても金貨の価値がどれくらいかわからないので」
「は?」
「……」
再び沈黙。
「と、とりあえず、これが金貨100枚入っています。お確かめください」
そう言われ、金貨の入った袋を渡される。俺はすぐさまイベントリに収納して金貨の数がピッタリ100枚なのを確認した。
「はい、ピッタリ100枚ありました。ありがとうございます」
「そ、それではまた何かありましたらこちらにお売りください」
「はい。では毎日ちびちび1000個ずつ売りに来ます」
「そ、それはやめてください。いくらなんでも暴落します」
「そうですか?わかりました。まぁとにかく何かあったらまた来ます」
「はい、そのときはよろしくお願いいたします」
「はい。こちらこそ。よろしくお願いいたします」
こう言って換金してくれた方と別れた。
「さてと、お金も手に入ったことだし、門番さんのところへ戻ろうか」
そして、門番さんのところへ戻った。
「よう。ずいぶん遅かったな。てっきり面倒になって明日来るのかと思ったぞ?」
「いや、査定に時間がかかって」
「……お前さん何をしたんだ?」
「下級魔石っての?それを1000個出したからな必死に数えたらしい。ご苦労なこった」
「……もはやお前には常識が通用しないのだと俺は理解している」
「というわけではい。金貨しか無いんだけどこれで大丈夫?」
「……釣り銭持ってくるから待ってろ」
そして、詰め所に門番さんが戻っていく。そして、暫く経って戻ってきた。
「入場料を金貨で払うとか、どんな嫌がらせだよ……ほい。数えたから間違いないと思うけど確認してくれ」
「確認してくれって、そもそも通行料はいくらなんだ?」
「……少しぐらいちょろまかせばよかったか?」
「いや、それは犯罪でしょ」
「常識のない君がそれを言うのかね?」
「え?犯罪じゃないの?」
「いや、犯罪だけどさ……」
「ん~?」
「まぁ、とにかくこれで宿とかも泊まれるだろうな」
「ああ、そうだ。宿を探さないと。なんかいい宿知らないか?」
「ギルドの真ん前にある宿屋が定評だよ。宿の名前が酷いけど」
「宿の名前?なんて名前なんだ?」
「……ギルド前宿屋」
「……それは……なんとも」
「まぁ、名前はともかく、いい宿屋なのは間違いない」
「わかった。とりあえず、そこに泊まることにするよ」
「わかった。それと宿屋に行く前に木札を返してくれ」
「ああ、そうだった……はい」
「ああ、確かに受け取った」
「じゃあ、俺は行くからな」
「ああ」
こうして、門番さんと別れ、宿屋に向かった。
お読みいただきありがとうございます。
誤字、脱字等ありましたらお知らせいただけると幸いです。
よろしければ、普通に感想やコメント、ブックマークと評価(最新話の下の方に評価欄があります)をしていただけるとエタらず頑張れると思うので、よろしくおねがいします♪
ツイッターのアカウントもあります。よろしければこちらもどうぞ~
https://twitter.com/euch_nicht_OK