第十三話
次の日、少し寝すぎた。いや、あまりにもベッド気持ちよかったんだもん。つ~か、普通の宿屋のあの板と変わらない布でどうやって寝ろと?まぁ、そういう愚痴は置いといて、朝食を摂り、執事の爺さんに連れられ、王城まで来た。
「へー、バロック建築とは違うのか……でも見た感じはベルサイユ宮殿みたいな感じだよな~」
と独り言。
「王城への入城は爺さんに任せたから良いとして、王に直接会うんだよな~……面倒くせぇ。まぁ、しょうがねぇな。ステータス的な意味合いで言えば、もうぶっちゃけヤること無いし……ちょくちょく召喚獣のガチャまわして、育成でもしようかねぇ?」
と言ってる間に、王城の城壁を越え、内部まで馬車で走る。イメージ的にはベルばらのベルサイユ宮殿だな。とは言え、当時のベルサイユ宮殿ではなくベルばらのベルサイユ宮殿のイメージだけど。
「やっぱり、ルネッサンスっぽい。バロック建築の特徴があまりないな。ふむ。良い政治をしているのだろうか?いやいや、この建物を建てたのが誰かわからないわけだし何とも言えないな」
中庭を進み、入り口へたどり着く。爺さんが手紙を渡して、何か話してる。因みに俺は普通に馬車の中だ。そして、爺さんには王に渡す予定の手紙を預けている。それとセットでやってくれるそうだ。至れり尽くせりだな。
「ブリッツ様。準備が整うまで王城の一室で待たせていただくことになりました。私は拝謁を許されておりませぬ故、近衛騎士の方と一緒に行ってくだされ」
「おう。分かった。ところで、その近衛騎士ってのはどいつだ?」
「今、呼びに行っております。暫くの間こちらでおくつろぎ下さい」
「ん、分かった」
そして、本当に暫く待たせられた。
「ブリッツ殿はどなたであるか!」
半分眠りながら馬車の中に居たら、そんな叫び声が聞こえてきた。俺は寝ぼけ眼で、馬車を降り、叫んだやつの所へ向かう。
「俺だが?」
「……貴様が?おい、リア殿の遣いの者よ。本当にこの平民なのか?」
「ああん?何だてめぇ、死にてぇのか?」
こういうやつ俺大嫌い。
「わざわざ近衛騎士団長の私が出てきたのだぞ!国王陛下もすぐにお会いになるとの事!貴様の様な平民、しかも素性の知れぬ者。謁見など許さぬ!」
「別に、良いけど。一応此処の王には会っていくぞ。お前が何と言おうとな。一応義理があるんでね。それと俺を案内しないってことは、職務怠慢と取って良いのか?」
眼の前の甲冑の人物は顔を真赤にさせている。
「平民風情が!なめた口をきくな!」
魔法発動の兆候が見られた。速攻それを無効化させる。
「な?」
「これで正当防衛な。ホイ」
デコピンをした。お腹の辺りに。胸のあたりが一番装甲が厚そうだったが、凹んで呼吸ができなくなって死んだら一大事だから、手加減してみた。
予想通り、腹の部分が凹み数メートル吹き飛ばした。
「だから、雑魚は黙って仕事しろ。此処の国王に会うのはリュカの街のギルマスに言われたからだ。ぶっちゃけ戦いに興味があって来たのに、これじゃあ本当に烏合の衆だな。雑魚がいくら群れた所でたかが知れてる。いい加減伸びてないで起きろや。そして仕事しろや」
そう言うと、立ち上がり、何を思ったのか剣を抜いた。
「それは、その行為は、己の命を懸けて戦うということだな?理解しているか?剣を向ける以上、自分の命も散る覚悟があるのだろうな?……まぁ、いい。俺は寛大だ。次までは許してやる。三度目は無いと思えよ」
そう言うと俺は思いっきり剣の腹をぶん殴った。何とも言えない凄まじい音がし、剣は半ばで折れ、ものすごいスピードで2つになった剣が壁に突き刺さる。だが、それだけでは終わらなかった。Aランク相当の強さというのは半端ないらしい。壁にぶつかった剣が爆発した。というか四散した。
その場に居た全員がぽかんとしている。勿論俺も含めて。そして俺は心の中で愚痴る。
(あんのクソババア、何がAランクよりちょっと上のレベルだ!こんな威力が出るなんて聞いてねぇぞ!)
全員がその場を動けないでいる。遠くから人が集まる音がする。
「で、近衛騎士団長様。どうするんです?まだかかってきますか?次は命を取りますよ?」
騎士団長は真っ青な顔をして、首を横に振り続ける。何かブリキのおもちゃみたいだ。
「まぁ、とりあえず戦意喪失したみたいだし、案内してくれる?それと、後ろから集まってきた兵隊たち、なんとかしてよ。あんた近衛騎士団長でしょ?それに王が待ってるんじゃねぇの?」
そう言うと、ハッとして立ち上がる……甲冑の腹の部分が凹んだまま。
「全員、なんでもない!持ち場に戻れ!」
そう言うと兵士たちは蜘蛛の子を散らすように居なくなった。
「あ、案内しよう」
「最初からそうしろよ」
こうして、俺は王のもとへと向かうことになった。
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