第十一話
誠に勝手ながら、話数も少ないですが、一時休載させていただきたいと思います。
楽しみにしてくださってる方には申し訳ございませんが、何卒ご理解の程よろしくお願いいたします。
俺たちは再びリュカの街に戻ってきた。
「ギルマスも、お前らもずいぶんレベル上がったじゃねぇか」
なんとも言えない気まずい雰囲気が漂う。
「なんだ?嬉しくないのか?」
「いや、嬉しいのじゃが」
「文句あるのか?」
「スパルタすぎじゃないかね?」
「そうか?まぁ、ほとんど俺の召喚獣の手柄なんだから言うほど疲れてないだろ?」
「いやいやいや、疲れるのよ?私だって。いくら歳をとってるとはいえね?」
「何だ。だらしねぇな。で、アイツラはどうした?」
戦乙女の姿が見えない。
「ああ、彼女たちなら今頃ダンジョンに向かっておる頃じゃろうよ」
「ダンジョン?」
「ほれ、宝箱取らなかったじゃろ?」
「良いけど、アイツラの力量じゃ最下層までは無理だぞ?」
「流石に引き際はわかっておるじゃろう」
「なら良いが。で、報酬をよこせ」
「……はぁ、わかっておる。少し待っとれ」
そう言うと、ギルマスは奥へと消えてく。そして、少しして戻ってくる。
「これが今回の報酬じゃ。私も育ててもらったからな、色をつけてある」
「あいよ」
俺はもらった報酬をイベントリに入れる。
「……確認せんのか?」
「ごまかしたのか?」
「いや、そういうわけじゃないが……」
「なら問題ないな。それと、あそこが一番レベルの高いダンジョンなら、もうここには用は無い。適当にまたどこか旅をする」
するとギルマスは血相を変えた。
「ちょ、ちょっと待ってくれぬか!まだ育ててもらいたい人材が……」
「もう面倒だから嫌だね。育てた奴らになんとかしてもらえ。後、お前も育てたんだから、あんたが付き合えばいいだろ?」
「私、ギルマスだから無理じゃよ」
「じゃあ、戦乙女だっけ?アイツラに頼んだらいいんじゃねぇか?」
「む、むぅ……」
そう言うと、黙り込んでしまった。
「とりあえず、この国の名所はダンジョンだけなのか?それともなにかあるのか?」
「名所のぉ……お主の琴線に触れるかわからぬが、もう少しで王都で行われる闘技大会があるぞ?」
「……興味ない。だってお前みたいなレベルの奴らしか出てこないんだろ?」
「む、た、確かにそうなのじゃが……いや、それより酷いかもしれぬな……なにせ、私、結構強かったからのぉ……其処から鍛えて、今のレベルになった……下手するとこの国で、お主を除けば一番強いかもしれぬのぉ」
「見る価値なし」
「トトカルチョはどうじゃ?」
「興味なし。普通に生活できる程度の金があれば十分だ。まさか生活できないほどの報酬だとか言うんじゃねぇだろうな?」
「お、お主、金銭感覚がわからんのか?」
「ああ、この国の金は初めて見た」
なんか、ギルマスは疲れた顔をしている。
「わ、わかったわかった。説明してやろう」
「ああん?説明してやろうだ?何様だ」
「……これでも私、ギルマス……」
「俺より強いのか?」
「……いや、じゃが……」
「で?説明するのか?しないのか?ああん?」
「……説明致します」
「説明します。だぁ?説明させてくださいだろ?」
「……私、泣いていいよね?」
「泣く暇あったら説明しろ」
「……説明させてください」
こうしてお金について一通り聞いて、日本で言う万札しか持っていないというのがわかり、両替してもらった。
「まぁ、行くところ無いし、王都にでも言ってみるか?」
「できればこの国を離れないでくれると助かるのぉ」
「……面倒くせぇ」
「この国の情勢を考えると、ブリッツ君にはこの国に居てほしいのじゃよ」
「ブリッツ君だぁ?……まぁいいや。それより、きなくせぇ話か?」
「……まぁ、有り体に言えばそうじゃの」
「ふ~ん、で、この国は色々と不利な状況なのか?」
「……あまり、いいたくはないのじゃが……不利な状況じゃの」
「ん~なら手をかそうじゃないか」
ギルマスはキョトンとしている。
「おい、どうした?」
「……い、いや、どういう風の吹き回しじゃ?」
「いや、蹂躙するってのも楽しそうだと思ってな」
「……お主のその思考はなんとかならぬのか?」
「無理だな」
「……ま、まぁ良い。王都へ向かうなら少し待ってくれ。一筆書こう。王城に持っていけば通れるじゃろ。それと、王に直接会えるように書いておこう」
「おっ、それはいいな。お前、今回一番いい働きをしたな」
「……お主がこういう性格じゃというのはよくわかっておる。もう何も言うまい……では少々待っておれ」
そう言うと奥に消えてゆくギルマス。戻ってきたのはしばらく経ってからだった。
「遅い!」
「すまぬのぉ。手紙をいくつか書いたために遅れたのじゃ、許してたもれ」
「いくつか書いただぁ?おい、俺にお使いでもさせようってんじゃねぇだろうな?」
「違うのじゃよ。面倒なのじゃ。王都というのは。とりあえず、全部お主のための手紙じゃ。これを受け取っておくれ」
そう言われて手紙を受け取る。一通目は貴族専用の入口から入れるよう、門番宛に書いた書状だ。次に貴族街に入るための書状。次に貴族街のギルマスの邸宅に送る書状。これは、宿屋に泊まらずギルマスの王都の家に泊まれるよう手配するための書状だ。次に王城へ入るための書状。次に、王の元に届けられる書状。最後に王に会ったときに直接手渡すための書状。
「本当に面倒くさいな」
「じゃろ?じゃが、これがあれば普通に入れるからのぉ」
「まぁ、確かに助かる。ありがとな」
そう言うと感極まったような顔をしながら泣いている。
「ブリッツ君からありがとうという言葉が聞けるとは……」
「俺だって礼ぐらいは言う」
「そうじゃの!そうじゃの!」
「……鬱陶しいな」
「まぁ、なんじゃ。とにかくそれで王都に行って簡単に済むじゃろうから、勘弁してくれぬかの」
「わかった」
「おお、そうじゃった。その前にお主は国王陛下にステータスを見せるつもりはあるかのぉ?」
「いや、無いな」
「そうか……ではステータスをいじってから行くが良い。少し大げさ気味に隠蔽すればよいじゃろ」
「それはいいがどこまでやればいい?」
「うむ。少し相談しよう」
ステータスも書き換え、王都までの旅支度を整えた俺は、ギルマスに別れを告げ出発した……とはいえ、見えている範囲に連続転移して向かうからすぐに着くのだが。
こうして、リュカの街を離れ、王都へと向かうのだった。
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