第九話
「ここがダンジョンか……思ったよりしっかりとした作りになっているんだな」
中に入ると、石で組まれた迷宮がそこにはあった。
「これが通称ダンジョンと呼ばれる魔窟だよ」
「で、この罠の一つもないこの建物がダンジョンだと?」
「浅い層はほとんど取り払われただろうね。魔物は出てくるが」
「いや、魔物って……弱すぎじゃん」
「そうでもないのだがね……」
「ん~ちょっと待っててくれ」
俺はそう言うと少し皆から離れた。
「さてと、召喚石を入手して召喚獣の育成しながら進みますか……そういう意味ではちょうどいいかもしれないな」
そして、俺はガチャを回す。ひたすら回す。きりの良いところで合計が100体になったところでやめた。
「さてと、割合はどうなってるかな?」
結果はアジ・ダハーカが48体、フェンリルが15体、ヴァルキリーが8体、フェニックスが4体、リヴァイアサンが2体出た。以前育てたのを合わせるとアジ・ダハーカが62体、フェンリルが19体、ヴァルキリーが11体、フェニックスが5体、リヴァイアサンが3体となった。
「ん~、まぁ、だいたい予想通りかな。ヴァルキリーを育てながら行こう」
そして、俺は皆のもとへ戻る。
「何をしておったんじゃ?」
「召喚獣を増やしてた」
「は?」
「だから、召喚獣を増やしてたんだよ。歳を重ねすぎて耳が悪くなったか?おい」
「……ま、まぁよいじゃろう」
「で、新たに召喚できるのが増えたから、召喚獣の餌にしながら進みたいんだがいいだろうか?」
「う、うむ、構わないが……ここは強いぞ?」
「表層はそんなに強くないだろ。問題ない」
「一体どんな召喚獣なんじゃ?」
「ん~ここで、出せるのはヴァルキリーだけだな。今回8体召喚する」
「……8体じゃと」
「文句あるのか?」
「できるのか?」
「は?できなくてどうやってサモナー名乗れるんだよ」
「それはそうじゃが……」
「というわけで、サモン」
すると人型で、巨大な円錐の槍を持ち、甲冑を身に纏い、背中から羽が生えている女性たちが出てきた。
「よし、じゃあ行くか。ああ、そういえばこいつら召喚したはいいけど、めっちゃ弱いから最初は当てにするなよ」
そして、進もうとしたら止められた。
「ちょ、ちょっと待て!待たんか!8体も一気に召喚じゃと!」
「誰だってできるだろ?」
「できるか!……サモナーは一体、しかも弱い魔物しか召喚できないのが通常じゃ」
「そんな事言われたってな~、できてるもんはしょうがないだろう」
「それはそうじゃが……」
「まぁ、気にするな……ところで戦乙女のみなは一体どうしたんだ?全員固まってるようだが」
「……お主が戦乙女を召喚したからじゃよ」
「ああ、そういう翻訳になるのね」
「翻訳?」
「いや、気にするな。こっちの話だ。おい、行くぞ。最初はこいつらのレベル上げに付き合ってもらうぞ。その後、ちゃんとお前らの面倒も見てやる……いい加減放心状態から帰ってこい」
「「「「………………」」」」
「はぁ~、少しここで待ってろ。先にこいつらのレベルを上げて、から付き合ってやる。入り口で待ってろ。一時間もあれば十分だ」
そう言うと、一度ヴァルキリーを送還する。そして、俺は転移で魔物のたくさんいる部屋。所謂モンスターハウスに突入して、再度ヴァルキリーを召喚。
「さてと、久々にレベリングといきますか!」
そして、一時間後。
「ただいま」
「お、おお、帰ったか」
「なにか変わったことは」
「戦乙女たちが正気に戻ったと思ったら正気を失って。を繰り返しておるぐらいじゃの」
「そうか。とりあえず、この近辺で戦うには申し分ないくらいにはレベルを上げてきた」
「おお、そうかそうか」
「とはいえこの状況で戦えるのか?」
「はぁ~待っておれ……コラ!いい加減にしないか!」
ギルマスの絶叫が響き渡る。
「おいおい、魔物が寄ってきてるぞ」
「お主探知も使えるのか?」
「索敵な」
「上位互換のスキルか……もう驚くのも疲れたわい」
それでも正気を失ったままの戦乙女。そしてやってくる魔物。
「お~い、そろそろ攻撃準備しないとお前ら死ぬぞ?」
「……攻撃準備?………………………………ハッ!みんな戦闘準備!敵影目視!油断しないで!ここはAランクのダンジョンよ!」
そう言うと戦乙女の面々は戦闘の準備に取り掛かる。だが少し間に合わなそうだ。
「サモン」
ヴァルキリーを8体召喚する。
「ヴァルキリー、神の雷を放て」
するとヴァルキリー達は一斉に槍を天に振りかざした。そして一斉に槍を敵のいる前方に向ける。するとどこからともなく大量の雷がほとばしる。一瞬にして戦闘は終了した。が、これでは戦乙女の為にならない。
「いい加減シャキッとしろ。こいつらを少し育成してきた。お前らの護衛につかせる。一人2体つける。基本的には防衛のみ行うと思ってくれ。四人で行動するなら防御はヴァルキリーにまかせておけ。後は自分の命を守り、敵を滅ぼせ。以上だ」
そう言うと俺はあるき出す。ヴァルキリー達は俺の言う通り、一人に2体付いて、戦乙女を守護し始めた。
「あ、あの、私は……」
「お前は俺だ。文句あるか?」
「いや、無いのぉ」
「とりあえず、進むぞ」
「わかっておる」
なんとか無理やり戦乙女たちとともに奥へと進んでいくのだった。
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