表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

第4話 無力

中学の時の友達の家に行ってゲームをしたり、高校の話をしたりして楽しい時間を過ごした。CODやスマブラなどそりゃあ、もう遊びに遊びまくった。まあ、その分負けまくったけど。


往々にして楽しい時間というのはすぐに過ぎ去ってしまうものだ。気がついたらもうあたりがオレンジ一色だ。少し遠くの方を見てみると薄っすらと空が紫がかり、月の到来が夜のおとづれを告げる。


俺の家に特に門限があるわけではない。だが、他の友達が門限で帰ってしまったので、友達と一緒に帰った。


久しぶりに会ったが、みんな楽しくやっているようだ。良かった良かった。思い出話に花を咲かせながら、楽しく家に帰った。


だが、楽しいだけでは終わらなかった。そう。今回も妹がやらかしたのだ。


家に入ると異様な臭いが鼻に付く。お酢や塩酸などの酸、特有のすっぱい臭い。


そして、何より妹が「お帰り!」と出迎えてこない。嫌な予感がプンプンする。


「あこ!」












































妹は倒れていた。ゲロを身体中、カーペット中にぶちまけて、見るも無残な状態だった。ビクッビクッと身体を何回も痙攣させ、白目を剥いていた。いつもの元気な姿からは想像もつかない、だらんと弛緩した表情。わかってはいても顔が強張る。


やはり、嫌だ。こんな姿のあこを見るのは。


妹の様子から、“発作”を起こしてそこまで時間はたっていないだろうと推測し、親に電話して、来てもらうことにした。


タオルを取り出してカーペットについたゲロを拭いていく。臭いし、汚い。でも、妹が倒れているのを見ると止めることはできなかった。


多分、必死だったんだろう。気づいたら妹は目を覚ましていたし、親も帰ってきていた。


俺は静かに歯噛みした。自分が恨めしかった。妹が倒れているのに何も出来ない自分が。


結果から言うと、特に妹に問題は無かった。ちゃんと意識を取り戻して、次の日から、また元気でドタバタした1日が始まった。


でも、俺は少し元気がなかった。妹は「どうしたの? 元気ないよ? 」と呑気なことを言っていたが。お前のことだよ!


今日も俺は、妹の屈託のない笑顔と能天気さに救われた。妹の笑顔にはパワーがある。小さな悩みくらいなら吹き飛ばしてしまうような大きなパワーが。


少しばかり元気を取り戻した俺は、残りの休みで思う存分羽を伸ばし、夏休みをさらに満喫するのであった。

僕がこの小説を書こうと思った理由の1つです。

早く治りますように。


現実度 98%

脚色度 2%

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ