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プロローグ

初めて小説を書いてみました。半分がリアルで半分が妄想です。文章力も創作力(?)もありませんので、だらだら書いてしまいますが、よろしくお付き合い頂ければ幸せです。

俺は来月で55才を迎える。

少々長く生き過ぎた。

でも、本当に生きていたのは17才のあの日までだ。

あの日から先は、生きていたのではなく、ただ存在していただけ。

何の存在理由もな何の存在価値もなく。

本当はあの日に死んでしまいたかった。

でも死ねなかった。


子どもの頃、両親とテレビを見ながら夕食を食べていると、未成年が車やバイクで事故を起こして亡くなったというニュースが流れることがあった。

そのたびに、必ずといっていいほど父が言ったものだ。

「若い者が先に逝って。(しん)よ。死ぬのにも順番があるからのう。親が先に死んで、その後に子が死なんといけん。子が先に死ぬことほど親不孝なことはない。」

俺をあの日まで大切に育ててくれた親に、親不孝はできなかった。

だから死ななかった。死ねなかった。


そんな父も8年前に脳梗塞で亡くなった。

悲しいというより肩の荷が半分降りたという安堵の気持ちの方が強かった。

そのとき、今更ながら自分の冷酷さを知った。

そして昨年に母がこの世を去った。肺癌だった。

やっともう片方の肩に乗っていた荷物を降ろすことができた。

やっと自由になれた。

うれしかった。

そして、もう自分が人ではなくなっていたことを知った。


昨日、母の一周忌を終え、ゲームセット。

やっと人生の消化試合を終えることができた。

もう、この世に何の未練もない。

でも、そんな俺に、神様が一つだけ願いを叶えて下さるのなら、一度でいい。

あの子に会いたい。

何年も前から行方がわからないあの子に。

あの子の人生も、あの日に終わった。

18才のあの日に。

それからのあの子は、慣性で等速運動を続ける人生に入った。

外からのいっさいを拒絶して、決して加速することも減速することもなく、たんたんと等速で。

そしてあの子はやがていなくなった。

今でもどこかで等速運動を続けているのだろうか。

誰にも何にも関心を持たず、ただ、毎日を生きるだけの。

ただ自由落下だけはやめて欲しい。

まだ姉さんも義兄さんも、ひたすらにお前の帰りを待っているから。

お前をあんなに愛してくれたお母さんとお父さんに親不孝をしてはいけない。



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