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『この滅び行く世界に祝福を』  作者: 早稲農家
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外伝・大和(贖罪)編

 ヴェルトは炎に包まれた教会に来ていた。その中に誰かがいると分かっていたから。彼はそんな状態であるにもかかわらず、教会の扉を蹴破った。

 その祭壇の前に一人の男、ヘワード家の当主がいた。


 「やはり、こちらにあなたはいらっしゃったんですね。ヘワード卿。」

 「…『放浪王子』殿じゃありませんか。こんな炎に包まれた場所に何用で?」

 「…説明する必要はないでしょう?あなたのことだ。『強化傀儡』を解放しに来たのでしょう?あれがあれば、教会はまた地位をあげられます。国民も『洗脳』され、あなたに忠誠を誓う『狂信者』に早変わりだ。あの戦略兵器を破壊しに来たんですよ。」

 「そうですか…実はね。私は待っていたんですよ。この地が火にのまれるのを。そうしないとここの地下に向えないですから。しかし、私の手の内を知る厄介者がまさか生きているとは…これは王様と王妃の二人しか知らなかったはずだが?」

 「…だから、お父さんとお義母さんを殺害したのか。王女が無事で本当によかった。」


 ヴェルトは胸から拳銃を取り出した。

 これは『古代遺物』と呼ばれるもので自分の魔力を消費することで弾丸を作り出す武器だった。それをみたヘワード卿は驚きをあらわにしながら、両手を広げた。


 「そうでしたか。いやはや。まさかあなたはこの地下に侵入していたのですね?」

 「…出入り口が一つだと思っていたあんたの不注意が招いた結果だよ。」

 「そのようですね。しかし、私の計画は止まりませんよ!あなたが『古代遺物』を所持していたとしても、あなたに万が一の勝ち目はありません!なぜなら…」

 

 彼は自身の教皇衣装の右肩を掴み、思いっきり引きはがした。そうすることで鎧を身に着けた屈強な肉体が露わになった。両足はかかとに翼が取り付けられた『古代遺物』、『ヘルメスの脚甲』を、両手には装着者に破壊の力を与える『古代遺物』の『ヘラクレスの篭手』を装着していた。


 「私は『古代遺物』で身を固めてあるからです。この神々の遺物を人の実が破壊できると思ったら、大間違いですよ。自らの愚行をこの場で悔い改めるなら、私の仲間として向かいいれてあげましょう。」

 「…悪いが、あんたを止める。この命を懸けてな。」


 ヴェルトは素早くトリガーを引いた。一発の弾丸がヘワードの左肩に当たり、軽くノックバックを引き起こす、その隙に近づき、顔面を右足の回し蹴りで捉えようとした。しかし、奴は瞳に魔法陣が刻まれた左目をあげた状態でその足を受け止めていた。右足を破壊される前に素早く引き戻し、サマーソルトキックでその顎を捉えつつ、すぐ後転し、詠唱した。

 

 「『災害警報。嵐が来るぞ!『テンペスト』』!!」

 

 嵐があいつの足元から発生し、数多の風塵があいつを襲った。竜巻は周りのがれきを塵に変換し、周りの炎も取り込んで火炎竜巻と化した。しかし、その術は突然途切れた。ヘワードが『ヘルメスの脚甲』の力、自分に風を纏う力で竜巻を消したのだった。


 「まさか…あなたが魔法を使えるとは思いませんでした。さすがにひやひやしました。ですが、もう詠唱の隙も与えません。ここで死んでいただきますよ!!」


 両手で顔を防ぎながら、ヘワードは突進してきた。

 ヴェルトは数発銃弾を撃ち、効かないと分かった瞬間、真上にワイヤーを飛ばし、それが天井の残り端に引っかかった瞬間に自分の体を引き上げた。それに気づかなかった奴はそのまま入口の扉に激突し、建物のがれきに押しつぶされたように見えた。しかし、死んでないだろうと思った彼は詠唱を開始した。


 「『重力障害。押しつぶされろ!『グラビティ』』!」


 がれきごと過重力をかけた。その瞬間、がれきの山は加圧されたことで等しく平らになったが、あの男はその空間でも平然と立っていた。


 「…最高位の重力魔法。ということは風と地属性をマスターされていたんですね。それは素晴らしい。ですが、私に魔法の類は効きません。少しお灸をすえてあげましょう。」


 ヴェルトはさすがにこの状況はまずいと思っていた。

 自分の使える魔法の中でも最高位の魔法はこの男にほとんど効果がなかった。地属性でまだ使えるものはあるが、それはこの環境にもダメージを与えてしまう。そんなことすれば、この国の立て直しに障害が出るのは必然だった。

 不敵な笑みを浮かべながら、向かってくるヘワード卿。

 殺される覚悟を決めた時だった。

 ヘワード卿に雷でできた槍が突き刺さった。

 

 「…やっぱり、ここにいたか。アルヴェルト。」


 そう言ったのは双剣を携えた青年だった。


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