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『この滅び行く世界に祝福を』  作者: 早稲農家
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外伝・大和(贖罪)編

 「何って…心配だったのよ!今まで何やってたの?お父さんだって…」

 「アイザックさんは息災か?」

 「殺されたわ!お父様は…あの人、エストラルの当主に!」


 アルドは思わず彼女を抱きしめた。


 「そうか…どうしてもここに来るわけにはいかなかったんだ。」

 「どうして…このタイミングなの…」

 「ここにあるものを取りに来たんだ。それが終わったら、すぐまたこの国を離れる。」

 「どうしてもここを離れるの?」


 アルドはうなずいた。そして、その入り口に手を触れた。彼の体に流れる『魔女の血』に反応し、隠し扉は音を立てて開いた。そこにはとんでもなく多量の装備があった。


 部屋の真正面にクロスするように飾られた剣に拳銃、篭手にズボンとシャツが一体化した衣装ポーチ、様々な装飾が施されたいろんな武具がおいてあった


 「そうだ…これはお前にやる。」


 そういって彼は最初に目についた篭手を私に渡した。その篭手を見て驚いていた。

 立派な篭手だ。お父さんも戦に出る時にこんな篭手を身に着けてなかった。

 

 「つけられないのか?」

 「ううん。でも、これって『古代遺物』でしょ?」

 「そうだ。この地でやらなきゃいけないことはこれで終わりだ。」


 その時、教会のほうから爆発音が聞こえた。それはヴェルトが戦っている場所だった。とっさ彼の安否を気にした瞬間に彼は外に飛び出してしまった。


 「どうしたの?」

 「最悪の方向に事象が進んでるって話さ。」


 彼は懐に入っていた薄い板のようなものをいじり始めた。


 「どうした?」

 「お父さん?ごめん。ここでやらなきゃいけないことができた。一緒には帰れそうにないんだ。だから、あの竜騎士の方と一緒に帰ってくれないかな?」

 「わかった…だが、無茶だけはするなよ?」

 「ああ。お母さんによろしく。」


 そう板に話しかけ、私のほうを向いてこう言った。

 「あの場所に向かうぞ。」と。



 その頃、大和たちは瀕死だった京子を治療し、地下牢を出たところで朱里が出てきた。

 このタイミングで出てくるということは…間違いなく俺が何をしたのか理解しているのだろう。彼女はサラを一睨みし、咳ばらいをした。


 「…私はあの女を逃がすことを賛同しない。でも、何を考えているかはわかるよ。」

 「…そうか。俺がやろうとしていることもか?」

 「そうね…私たちは多くの人を謀殺したわ。私はその結果がどうなるかもわかっていた。ギルドの弱体化、貴族への寄付、あの間抜け大臣の思ったように動いたでしょうね。」

 「そうだと分かったから…その間抜けを殺すのが俺の役割だと言ったら?」

 「そっか。でも、ごめん…あいつはあんまりにも『保身保身』うるさいから、回復魔法で『過剰回復』させて破裂させちゃった。さっきの話だけど、私は懺悔しないよ。ここまで覚悟してやってきたんだもん。でも、大和がそうなら…お別れかな?」

 

 彼女は少しさみしそうだった。


 「…この件が片付いて、この国を立て直せたら、また朱里に問うよ。俺たちがやってきたことを一緒に償っていかないかを。」

 「…じゃあ、待ってようかな。その時が来るのをね。」


 彼女は自分の部屋がある方向に向かっていった。きっとそのまま旅の用意をして姿をくらますつもりなのだろう。俺は止めるべきだったのかもしれない。でも、そのときは自分がしなければならないこと、杉野が野々村を連れ出すのを妨害するであろう瀬戸を何とか止める手段である、いや、きっとあいつを殺すだろう、『直樹』を地下に向かわせることを成功させるために、彼に遭遇するというミッションで頭がいっぱいだった。


 「サラ。ここにいてくれ。」

 「待ってください。それは危険では?」

 「キミをあいつの前に出したら、俺は問答無用で殺される。」

 「それは…私が獣人だからですか?」

 「そうだ。俺はあいつの養子である獣人を殺害したんだ。」

 「それは…わかりました。私はどうすれば?」

 「地下牢で隠れていてくれ。魔法なら姿を隠せるだろ?」

 「当然です。しかし、何をすればいいんですか?」

 「こいつを持っていてくれ。そして、地下道から誰かが来たら、青のボタンを、地上から誰か来たら、赤のボタンを押してほしいんだ。」

 

 彼女はうなずいてまた地下道に戻っていった。彼女に渡したものは俺にしか伝わらないように細工を施した通信機だった。地下道からはあいつしか来れるはずがない。待ち伏せをしていたなら、俺たちが治療している時点で気配に気づくはずだが、それはなかった。地下道から侵入する場合はギルドの受付が杉野に教えた場所か、監視塔の地下にある拷問部屋から侵入しないといけない。その2つは俺と瀬戸しか知らないのだ。つまり、どこから侵入したのかさえ分かれば、誰が侵入した時点で誰かもわかる。


 俺は赤いボタンがすぐ押されることがないことを祈りながら、大通りへ向かった。


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