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『この滅び行く世界に祝福を』  作者: 早稲農家
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外伝・大和(贖罪)編

 和宮大和は悩んでいた。

 しかし、それを相談できる相手はいなかった。

 なぜなら、『自分が殺してきた獣のような人は魔物ではなく、人なのでは?』という疑問だったからだ。もし、そうなら…『自分は無抵抗の人を殺すことを楽しんでいた』ことになるからだ。自分が磔の刑に処し、殺した少年が言っていたように自分は『ただの人殺し』だとは認めたくなかった。

 あの日以来、あの少年の顔が脳裏から離れないのだ。


 あの日とは5日前のことだった。王国から報奨金として巨万の金貨をもらったのだ。

 それが何でなのか、俺は知らなかった。それを聞こうとすると朱里は『知らないほうがいい。』としか言わなかった。だから、俺はそれを直接、王宮に聞きに向かった。

 奴らは簡単に教えてくれた。この『報奨金』は今まで貴公らが我々のために殺害してくれた『反乱分子』に懸けられていたモノだった。俺が殺してきた獣人は『王国亜人奴隷法の障害になり得る』メンバーだった。そのメンバーには『半亜人』という人と亜人の間にできたこどもまで入っていた。しかも、その一部には…『処理済』というハンコまで押されていた。

 俺がその処理した数多のメンバーの手配書を一つ一つ見ていると朱里がやってきた。


 「見つけちゃったんだね。あいつら、隠さないから当然か。」

 「そうか…お前は知っていたんだな。」

 「知らなかったよ。つい数日前まではね。しかも、知ったのは…瀬戸の家に行ったからよ。あいつ…こどもを虐待していたんだ。しかも、亜人の子どもばかり…あいつと保木はずいぶん前から…そのね…」

 「もういい。この『王国亜人奴隷法』ってのは?」

 「これは初耳。でも…ずいぶん前から計画としては始動していたのかも。」

 「俺は…こんなバカげたことのためにあいつを…あの少年を殺したのかよ!」


 俺は森で貼り付けにして殺したあの少年を思い出していた。あの少年には弟が1人、妹が2人もいた。俺が奪ってしまったがためにそんな些細な幸せを俺は…。


 そう知って、考えてしまって以来。俺は自分の武器を持つたびにそれを思い出すようになってしまった。



 「大和君!こんなところにいたんだ!例の法案なんだけど…」

 「…一人にしてくれって言っただろ!!!」


 自分も想像しなかったほどの大声を上げてしまった。

 その声に驚き、朱里は抱えていた資料を床に落としてしまった。


 「あ…すまん。いきなり大声出して。」

 「…気にしないで。私が声をかけたから悪かったんだから。」


 朱里は気にしていた。最近、大和が上の空であり、夜の遊びも全くしていないことを。極め付きはあの夜のことだ。あのアマのことを、魔剣を作った後に解放していいんじゃないかって言ったのだ。別に自分たち以外に魔剣を持ったとしても、それは俺たちの脅威になるはずがないなんて言ったのだ。

 今夜、私たち3人の武器が完成する。だから、そこで彼女を壊す。

 それは瀬戸との事前打ちあわせで決定していた。

 でも、きっと大和はそれを成功させないつもりだ。用意周到に彼女を逃がす手段を彼は組み立てていた。私は偶然それを知ってしまったが、邪魔するつもりもなかった。

 私には彼が感じ、今していることに疑問を感じなかったから。

 彼のために、私は罪を着よう。彼ができない方法で貴族たちを追い詰めよう。

 そうするのが私らしさだと思っているから。


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