~直樹(帰還者)編第三章~
俺はすぐ村の入口に向かい、何が来ているのかをすぐ探知魔法で調べた。
探知した結果は竜にまたがる4名とその下にいる馬車。明らかに速度を落としての飛行だったから、俺はすぐ警戒していた自警団のみんなに心配ないことを伝えた。ほどなくして2匹の飛竜、そのうちの一匹である立派な銀竜に乗っていた男と女、そして子ども二人が降り、馬車に乗っていた行商人がその男に頭を下げていた。
『待たせたな。竜騎士さん。この村の村長の…』とまでいって俺は言葉を切った。
近くに寄ろうとして俺はその懐かしい顔に言葉を紡げなくなったからだ。
「直樹?」
「おいおい。克己…生きてたんだな。」
「そうさ…思い出話に時間を割きたいんだが…悪い。そんな時間がないんだ。少し厄介ごとを抱えてしまってな。手を貸してくれないか?克己。」
俺は自分から握手を求めた。まさか克己が生きているとは思わなかったのだ。一緒にいる菜々子も久しぶりだが、彼女のおなかからは別の命の波動を感じる。この二人は一緒にこの世界を生き抜いてきたんだろう。それでも、彼は俺の頼みを快く引き受けてくれた。
「これがお前らのやろうとしていることなのか?」
克己は俺が立てた計画書を見ていた。そこには俺とアルドが王国に侵入し、俺が杉野と京子を救出に向かっている間にアルドは王国でやり残したことをやりに行くことになっていた。やり残したことは『ヘワードという男の殺害とそいつが保管している兵器の破壊』と『差し押さえになった自分の屋敷から自分しか解除できない隠し部屋から武器を取ってくる』ことらしく、一人でできるのかが気になったが、大丈夫の一点張りだった。
「間に合うのか?行商人の話だと…時間はあまりないだろう?」
「魔法があるからな。転移魔法で移動するつもりだった。」
「…テイラーの高速飛行ならこの距離は一日もかからない。問題は帰りだ。5人くらいなら乗せられなくもないが、きっと現地の兵士が襲ってくるぞ。」
「そうだな…ギルドは何か言ってなかったか?」
「特に…こっちはあの二人を助けることだけを依頼してきたね。」
克己はその舞台となる王国の見取り図を見てしばらく考え、ある一点を指さした。
「ここで落ち合おう。ここなら、テイラーで飛べる。」
その示した場所は偶然にも直樹たちが王国から脱出する際に使った地下道の脱出ポイントの近くだった。杉野たちもそこを利用すると考えられるため、都合がよかった。
「そうしよう。そっちは何かしたいのか?」
「国民を効率よく逃がすって話はないのか?俺はいくつかの場所、そうだな…『城門』、『貴族院』、『上位駐屯所』、『宝物庫』、『正面検問所』とここの『城壁』を破壊するよ。」
「ん?どうしてそんなことを?」
「決まってる。その破壊で騎士団を分散させる。そうすればここから脱出しやすくなるだろう?お前は杉野と野々村を救出することだけに集中しろ。」
「…わかった。厄介ことを任せて申し訳ないな。」
「気にすんな。今夜出発でいいか?」
俺とアルドはうなずき、その晩、王国に向かって飛び立った。




