~康夫(魔族)編第三章~
巨人の武器は巨木を削ったような無骨な棍棒だった。それを最初に私に向けて振り下ろしてきた。私はすぐ『飛翔』で左側に飛んだ。その行動によって空洞になった場所に風の刃が振り落ちてきた。それは巨人の両目を斬り裂いた。その痛みに堪らず、わめきながら、両目を押さえ、ふらつき始めたため、私はその足の付け根を移動しながら、斬りつけた。両目を抑えた状態のままバランスを崩した巨人はそのまま前に倒れたのだ。そのタイミングで美香が練っていた魔法が完成した。彼女は完成したタイミングで指を鳴らしてくれたのだ。そのタイミングで離れた私は目の前で全身が風の鎚に押しつぶされる巨人を見ることになった。これでここは安全になったと思ったのにもう一体の巨人が現れた。さすがにもう一体は難しい。しかも、そいつは鎧で弱点を覆っていたのだった。これでは剣さえも通用しない。そんなとき、火山が急に活性化した。この揺れによって広場の床が亀裂した。美香は瞬時に風の壁を作った。噴き出した溶岩がその壁に阻まれ、巨人にかかる。しかし、それをものともせず、巨人はこちらに突進してきてその魔法障壁を打撃で解除させた。絶体絶命だと思った時だった。天井から何かが飛来し、巨人の首元に突き刺さった。突き刺さった何かを抜きつつ、その方向に向いた巨人に先端がとがっている黒いものが何個も飛来したのだ。それに堪らず腕で顔を防御したことで私たちは一瞬だけど、こちらから注意をそらしたのだ。それを見逃すほど、私も美香も甘くはなかった。美香が放った風の刃と私が放った周りのものを吸収しようとする球に巨人の頭は飲み込まれ、そのまま地面に崩れ落ちた。
「…とりあえず、助かったのかな?」
「一難去ってまた一難な気がするけどね。」
私たちは救援してくれた影のほうを見た。ゴブリン。先ほど、山道で襲ってきた固体だろう。しかし、彼らは私たちに敵対するつもりがないのか、その巨人が死んだと同時に武器を納めていた。その様子を見ても美香は視線で威圧していたのだろう。その中から1匹のゴブリンが出てきた。
「警戒ヲ解イテクダサラナクテイイノデ、我々ヲ攻撃シナイデ。」
「…人語をしゃべれるみたいね?」
「エエ。アナタ方ニハ感謝シテイマス。我々ヲアイツラカラ守ッテクダサッタ。」
「それはなりゆきであって、助けるつもりはなかったわ。」
「ソレデモデス。本当二アリガトウ。我々ハココヲスグ発チマス。生キ残ッタ人二ハドウカ加護ガアランコトヲ。」
「私からもお礼を言わせてください…助かりました。おかげで私たちは大きなけがをすることなく、ここにいられるわ。あなたたちも気を付けてね。」
そう私が言うとそのゴブリンのリーダーは軽く会釈していなくなった。
こんな感じで人と魔物が生きていくこともできるんじゃないかな。そんなことを考えながら、ゴブリンたちが向かった方向とは反対の方向、洞窟の奥に向かうことにした。




