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『この滅び行く世界に祝福を』  作者: 早稲農家
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~克己(竜騎士)編第三章~

途中で視点が変わります。

 村に戻ってきた私たちはまずちかの容体を調べることになった。あの大地そのものが瘴気に侵されていたため、自分の体もキララの体もいつ異変が起きてもおかしくないらしかった。でも、これはすぐ解決した。私がみどりに教えたお酒、『ゴールデン・ローゼンディア』には瘴気を払う効果があった。そのおかげで彼女はぴんぴんしており、(彼女曰く、お酒に酔って少しふらふらしているらしい。)キララはぐっすり眠っていた。

 そして、自分のことが大丈夫になった瞬間、彼女はこの村の植物の健康状態を見始めた。それが一通り終わると彼女は村長宅の裏手に広がる果樹園に根を下ろしたのだ。

 さすがに自分の木々に影響がないか心配になったみどりがちかに聞いたところ、この果樹園だけが自分が居座っても栄養がなくならないと分かったうえでの行動だといったらしい。しかも、アルラウネとなったことで近くの木々に活性を与えられるんだから感謝しなさいなんて言われたらしい。みどりもほっとしたようだった。ちかはその後、村の中に診療所がないことを指摘し、自身の能力で廃屋と化していた場所を改築してしまった。彼女の一部がその改築に使われていため、自動的に浄化の魔法が起動するらしく、何か液体をこぼしただけでも、彼女が浄化するような場所になっていた。そこが完成したお昼ごろ、克己君たちが戻ってきたのだった。



 結論から述べると野々村の体は物凄く悪い状態だった。到着するとすぐ道具屋のおばさんが廃屋のような場所に案内した。その内装は外側から想像できるようなおんぼろ感は全くなく、どんな魔法を行ったのかを知りたかったが、そんなことを聞けるような環境でもなかった。みどりは彼女をベッドに乗せると両腕と両足の服を切り裂いた。


 「…どうしたらこんな状態になるのよ。」

 「治せそうなのか?」

 「治せなくはないけど…こんなに関節が粉砕されているなんて…きっと、生かすつもりはなかったのね。もう、両手足は動かないかも。」

 「…『修復魔法』じゃだめなのか?」

 「…試した。基本的な形は復元できたんだけど…まだ欠片がありそうなの。」

 

 直樹と話しながらかけていた魔法の効果は一瞬で現れていた。めちゃくちゃな方向に曲がっていた彼女の両腕と両足は元に戻ったのだ。しかし、あんな状態だった彼女にどんな後遺症が残るかなんて予想できなかったのだろう。直樹たちの表情は暗かった。

 俺はいたたまれなくなり、彼らが治療している家から出た。そこには王女様が『ティア』のことを撫でていた。彼女はこちらに気づいたようで律儀にもお辞儀してきた。


 「お帰りになられたんですね?大丈夫でした?」

 「俺たちはね。キミのお兄さん?同行した彼は国に残ったようだ。」

 「私は事前に相談されていましたから。近衛騎士団の方のようで、頑固だから、つれてくるのに時間がかかると思うなんて言ってました。」

 「…キミはこれからどうするんだ?」

 「私はこの村が国になれるように拡張をマーサさんと一緒に取り組んでいきます。あ。そうだ。私たちはこれを検証する時間がないので調べないんですけど、『虹色に輝く伝説の竜』って伝承があるんです。よかったら、少し調べてみてください。」

 

 彼女はそういって一冊の絵本を手渡してきた。

 『虹色に輝く伝説の竜』と銘打たれた本をめくるとそこには俺たちの世界の言葉で派内文字で書かれたものが広がっていた。その話はこんな概要だった。

 とある場所に男が降りたった。その男はその地に生まれた竜の子とともに最果ての地に向かった。その地にて『王たる証』を手にし、新たな姿、『虹色に輝く竜』となった竜の子とともに民をまとめた。これが王国の最初である。

 つまり、伝承そのものが王国の礎の話だった。いるんだろう。その伝説の竜が。でも、『最果ての地』という場所には正直心当たりがなかった。


 「…この『最果ての地』というのには心当たりがあるかい?」

 「そうおっしゃると思い、少し調べてみたのですが、それらしい記述はなかったです。」

 「そうか。うーん。『竜神の里』は焼け落ちたから…厳しいな。」

 「その場所は?」

 「俺が『テイラー』と出会った場所さ。」

 「『ティア』もそこで生まれたんですか?」

 「ああ。そうだ。行ってみたいかい?」

 「いえ…そこなら、何かわかるかもしれないと思ったのですが。」

 「そう。焼け落ちちゃったのさ。」

 「…私なら、そんな文書は焼け落ちないような場所に置きますよ。もし、行く当てがないなら、向かってみたほうがいいかもしれません。」

 「それもそうか…よし。コレ、ありがとな。」

 

 彼女は30度くらいのお辞儀をした。ここにいても俺ができることは少ない。

 だから、俺はここを発つことにした。


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