~克己(竜騎士)編第三章~
作戦の概要はこんな感じだった。
直樹を市内に投下した後、俺は好き勝手に暴れる。少年は差し押さえになった自分の屋敷から自分しか解除できない隠し部屋から武器を取ってくるそうだ。それが終わるまでの時間を稼ぐ。王国の指定された6か所、『城門』、貴族の議員が住んでいるという『貴族院』、騎士たちが住む『上位駐屯所』、貴族の献金から大きくなった教会の『宝物庫』、住民たちが逃げられないようにしてある『正面検問所』とその近くの『城壁』を破壊するのもこなしておきたい仕事だった。
「準備はいいか?二人とも。」
「お願いします。じゃ、お父さん。お先に。」
彼、アルドラント君は低空飛行になった瞬間、飛び降りた。直樹の効果ポイントはもう少し先だったが、彼も息子さんが降りたあたりで飛び降りてしまった。
俺はまず、正面に突っ切ったあたりにあった『城門』まで飛び、『テイラー』に銀の火球、触れたものを瞬時に燃え尽きさせる火球で『城門』を破壊した。そして、咆哮をあげさせる。これでいい感じにパニックになったはずだった。次に狙うのは騎士たちが住む『上位駐屯所』だ。その方角に飛び、到着した瞬間、そこで異質なオーラを纏った存在がいた。
「あんたは?」
「…ここの騎士団の当直さ。貴族の餓鬼どもしかなれなくなったからな。ここを破壊されちゃ困るんだ。せめて、火をつけるぐらいにしてくれ。あんな炎は困るんだ。」
「賊が聞くと思うか?」
「…微妙だな。ただの賊なら信用しないが、お前は竜騎士だ。この国では竜騎士は誠実で品行方正、才色兼備って決まってるんだ。」
「賊だな!捕えろ!捕えたら、俺たちは上級隊長になれるぞ!」
群れたガキたちが集まってきた。この騎士さんには同情する。
「悪いが、さっきの約束は守れてもこいつらを傷つけないってのは約束できないぞ。」
「いいさ。俺もそのつもりだからな。賊を見逃して生かしてくれるほど『勇者』は甘くないからな。」
俺は仕方ないので剣を抜いた。その瞬間に群れたガキのリーダーが剣で斬りつけてきた。それを回避し、その鼻にめがけて思いっきり蹴りを入れる。骨が折れる音がした。次の奴は右手に剣を刺し、痛みで剣を握れないようにし、最後に向かってきたのはその顎を蹴りあげた。
「これで最後か?そうは見えないんだが。」
「…正直、あんたに喧嘩を売って五体満足に還してもらえるとは思わないから、攻撃できないんだよ。」
隊長さんは正直だ。それが理由でこれ以上昇格していないのだろう。
「…あんたら。俺に降伏したら、全員死罪なんだろ?ならさ。いっそのこと、裏切らないか?この国を。」
「それは…できない。家族がいるからな。」
「俺はこれから『貴族院』と『宝物庫』を破壊する。その間に最低限のものを持って集団で逃げろ。どうだ?可能だろ?」
「ありがたいが…そうすれば、ここの国民が逃げられなくなるだろう。少しここで考えさせてもらう。決まり次第、行動しよう。そんな簡単に破壊できないだろう?」
俺はうなずき、警鐘がなった後にその『上位駐屯所』に火をつけた。
燃え盛る業火によって駐屯所付近が明るくなっているのを確認し、俺は先に法学的に近い『宝物庫』へと移動した。




