~克己(竜騎士)編第三章~
この章は長いです。結構なボリュームになってしまいました。
俺は直樹に来た手紙を見せてもらった。『京子が大和たちに投獄された。いつ死んでもおかしくない。助けてくれ。』とわざわざ日本語で書いてあった。杉野だろう。この字は見たことがあった。
「杉野だな。もちろん手を貸すよ。」
「助かる。お前さえ良ければ、すぐ向かおうと思うんだが。」
「おとうさん!待ってください。」
引き留めたのは少年だった。彼は村の真ん中で人に怯えている『ティア』を指さした。
「アリサ姉さんに、いや、アリサ王女に触れるように頼んでください。」
そう言われて直樹の顔が急に険しくなった。
「俺の気のせいなら、それで何も起こんないから。でも、王女なら。王女なら騎士になるんだ。彼女のお母さんみたいに。あの人がいた時の王国は右大臣、マーカスの奴もでしゃばれないくらいいい国だったんだ。あの人の優しさを継ぐ彼女なら、あの人みたいに伝説の竜を!」
そのままそいつはそう言った。
それを聞いたら、今度は俺がそいつに聞きたいことができてしまった。
なんで、こいつは亡くなった王妃が竜騎士だと知っていたんだ?
それを聞く前に俺はスカートをはいた少女が『ティア』に近づいていたのに気付いた。
『あ。おい。お嬢ちゃん!』と俺が言ったら、彼女はにっこり笑ってお辞儀した。
「わかるんです。この子は私と同じだって。だから、この子が望むなら、私は竜騎士になりたい。もし、竜騎士になれたら、お父さん。私のために『ウィザード』としてあの国を壊してください。私が『権力』の象徴になります。」
そう言って彼女は『ティア』に触れた。その瞬間、彼女の左手のひらは俺の手と同じように彼女の竜の鱗に覆われた。
それを黙ってみていた俺は少し考えてこう言った。
「菜々子。彼女に竜の乗り方を教えてあげてくれ。直樹。帰る理由ができたな。」
「よかったのか?お前が連れてきた竜だぞ?」
「俺たちは乗れなかったからな。で、助ける手立てはあるのか?」
「実は間に合わないと思っていたんだが、事情が変わったからな。王都まで俺を載せていってほしい。そこからはこんな感じで行きたいんだ。」
事前に建てられた計画なんだろう。俺はそれを見てひとりじゃできないような計画だなと思っていたが、俺が加われば、何とか成功できそうだと思った。
「俺は市内で戦闘を行う。そっちは救出に向かってくれ。」
直樹はうなずき、俺に促されるまま、竜の背にまたがった。それを見ていた少年は『乗るか。』という俺の提案に頷き、飛び乗った。




