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『この滅び行く世界に祝福を』  作者: 早稲農家
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~直樹(帰還者)編第二章~

この話は二人の視点から話が進みます。

俺、杉野寛太は王国の『勇者』認定を受けた後、『剣聖』として王国兵士に剣を教えていた。剣術の指導は騎士にすることはなかった。どうやら、我流の剣術は『野蛮な』一般兵のみでいいらしい。それに俺はどうやら大和たちよりも弱いと思われていたみたいで、あいつらが4人パーティーを組んだので俺は独自に動いていいということになったのだ。

そのおかげか、俺は冒険者センターに他の人には任せられないような依頼を押し付けられた。詳しい理由は教えてくれなかったが、請け負えるほど強い人がもういないようだった。なので、俺の日課は午前中に兵士の稽古を行いつつ、冒険者センターから依頼された仕事をこなし、午後は自分の鍛錬という感じだった。俺は冒険者や兵士の前では片手剣、両刃の直剣を使っていたが、ひそかに刀を使えるようになりたいと思って練習していた。刀は属性剣として俺が使える唯一の武器だったのだ。魔法攻撃の特性を持ちつつ、物理攻撃を放つ技はなかなかない。メイジ系の職業の人に魔法を付与してもらう以外にはめったに打てないものだった。そんな夢みたいな技が刀ならできたのだ。

疾風属性を帯びる突進突き『裂破』、大地属性を帯びる上段からの振りおろし『轟烈』、火炎属性を帯びる突進しながらの切り上げ『臥龍』、流水属性を帯びる連続突き『驟雨』、氷結属性を帯びる、相手の攻撃を受け流して放つ袈裟斬り『半月』、紫電属性を帯びる居合切り『鳴子』を基本剣技として身に着け、それらから二つ連続して打てるようになったころ、この世界に来てから2年経ったくらいだった。


『はい。これ。プレゼントよ。』と野々村が包装された長い箱状のものを渡してきたのだ。その長さは一般的な片手剣とおんなじくらい。でも、太さがあまりに細かった。『開けてみて。』というから、開けた箱の中には白い鞘に入った打刀があった。抜いて確かめる。それだけでこれが相当なものだと分かった。


「こいつは?」

「どう?魔剣の試作品。銘は『アカツキ』。質的には『秘刀』レベルだった。」


『秘刀』は『魔刀』の次に強いと言われる武器だった。それでも俺が使っている武器の中では最も高い能力値であり、普通の人じゃあ使えるようなじゃなかった。


「なんで俺に?」

「んー。あなたなら、この子を託せるって思ったから?」


『それと…』といいながら、振り返って前かがみになりながら彼女はこういったのだ。


「あなたは力を無用に振らないから。見てたよ。夜に刀を振っていたの。」


 人が恋に落ちるのは一瞬だ。

俺はこの時から彼女のことが気になって仕方がなくなっていた。



私、野々村京子は自分の鍛冶で使う素材を自分で採取していた。鍛冶は料理と一緒だ。組み合わせと添加するタイミングが違うことで全然違うものになる。素材の良し悪しでも結果が変わるのだ。だから、自分が妥協したくないというのもあったが、そうしていた。

もちろん、特定の生物を殺さないと手に入らないような素材は私では取ることができなかった。でも、刀をあげてから私によく話しかけてくる杉野君が定期的に納品してくれるので、それに関しては心配する必要がなくなった。魔物が落とすものは質がどれも同じであり、放置しても悪くなるようなものがなかったからだ。

そんなこんなで始めた鍛冶と素材回収が板についてきたころ、私は大和たちが殺人を行っている現場を見てしまった。彼は冒険者の男を背後から斬りつけ、動けなくなるように両足の腱を切ってから、『魔物遊び』という、普通の冒険者なら殺されないような『イッカクウサギ』や『グラスナーガ』などのどこにでもいる魔物をけしかけて殺すという『遊び』だ。それを見た私はそこから立ち去ろうとし、私に気づいていた大和にぶつかった。


「おいおい。誰かと思ったら、引きこもりの鍛冶屋じゃないか。」

「…なんでこんなことしたの?」

「ん?文句あるか?こっちではこれは罪にならないからなあ。」

「だからって、殺しがいいなんて思ってるの?」

「うぜえ。いいとおもってんだからさ、邪魔すんなよ。」

「なら!私は武器を作らない!」

「…それは困ったなあ。朱里。どうする?」

「そうね…私たちを裏切ったとして『投獄』でいいんじゃない?」


その朱里の声が聞こえた瞬間、私は誰かに背中から衝撃を与えられ、動けなくなってしまった。私を見下ろし、不気味な笑みを浮かべる彼らを見上げながら、私は意識を失った。


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