~康夫(魔族)編Prologue~
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「失敗してしまうとイライラしますね。次は…そこの3人組にしましょう。」
モルガンダンテスが示したのは明石大輔、猪俣信行、宇野英明の3人だった。彼らはわめきながら、カプセルに入れられ、『X-004』というアンプルを挿入された。その血液は『ワーウルフ』だったらしく、彼らはそろって『上級工作隊長』として迎えられたようだった。
「さて…あと7人ですか…」
「今までの感じ…魔物化には感情は関係ないみたいだな。」
僕がそう言った瞬間、モルガンダンテスはこっちを向いた。ものすごく期待しているようなまなざしを感じた。
「ならば、キミは何が関係していると思う?」
「個人の能力とかかな?とりあえず計測できるものだってのは分かった。あんたはもうある程度予測できているんだろ?」
「ええ。その通りです。あなた、いじめられていたんでしょう?見返してみませんか?」
「悪いけど、興味ないかな。」
「…そうですか。まあいいでしょう。そこの3人だ。早く来い!」
4回目に選ばれたのは水戸絵里、目次ちか、森下順子だった。奴は彼女たちに一番最初のアンプルを使用すると言ったのだ。その瞬間、彼女たちは暴れだした。あんな化け物になりたくないといったのだ。それを聞いたモルガンはしばらく考え、いくつかの提案を彼女たちに示していた。彼女たちのデータがよかったのだろう。そうして、水戸は『アラクネ』に、目次は『アルラウネ』に、森下は『マーメイド』となった。目次と森下の二人は変化が済んだ後にモルガンの転移魔法でいなくなってしまった。
「さて。あなたたちですね。まずはキミからだ。」
僕はカプセルに入るように言われ、入った。しかし、モルガンは渡されたデータを受け取るや否やカプセルから僕を解放した。
「いったいなんです?」
「単刀直入に言おう。キミは魔物になってはいけない。」
「へ?」
「お前、やっぱり才能がなかったんだな。そんな奴は死んじまえ!」
僕は茫然としてしまった。才能がない?その事実を認識する前に僕は巨木のような足に蹴られた。体中の骨が砕ける感覚とともに僕は壁に叩き付けられたと思った。しかし、僕が飛んだ先にあったのは奈落へ続く道であり、僕はその奈落へと落ちていった。蹴られた瞬間に飛び出した春さんが落とし穴に手を伸ばした姿。それが最後の光景だった。