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『この滅び行く世界に祝福を』  作者: 早稲農家
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~康夫(魔族)編第ニ章~

俺はどうかしていたんだろう。あの二人と一緒にこの村を襲い、俺はすぐ自分がなんてことをしてしまったんだろうという気分になった。宇野は逃げる子供を一か所に集め、殺し合わせてる。大輔は村の女を追いかけながら、老人を殺すことに熱中していた。そして、俺も俺を殺そうと襲い掛かってきた村人、しかも、後ろに娘さんと奥さんを守りながら攻撃してきた旦那さんであろう男の武器を奪い、追いつめていた。

『…どうした?かかってこい!』と明らかに虚勢を張っていた。そんな彼を俺は殺すことはおろかかみつくこともできなかった。


「…逃げろ。今なら俺以外の奴に鉢合わせることなくいけるはずだ。」

「あ?おい…ほんきか?」

「急げ。俺が何とか守ってやるから。」


男はすぐ家族と一緒に村から脱出した。その光景を見ていたなりたてがいたようで、そいつが村の出口に急行してきた。俺はそいつに飛びかかり、組み伏せた。あの家族はもう見えない。これなら、無事に逃げられただろうと思った時、俺は後ろから頭部に衝撃を与えられた。


『おまえ、なにやってんの?』と人の体に戻った俺を木に縛りつけ、殴っているのは宇野だった。あの家族は結局、逃げ切れたらしい。発見したなりたてを送ったが、そいつは山の中腹で心臓を槍で貫かれて死んでいたらしい。そこに血痕があったことから、もしかしたら、誰かが同化してしまったかもしれないが、その下の村は『人狼』がでたということで厳重な警備になっており、遠吠えで変化を促せる距離の限度を超えていたらしい。俺の勝ちだ。それを聞いて自然と笑みがこぼれた。


「悪い。俺の正義に従ったんだ。後悔はしてない。」

「で…眷属は0体。逃がしたせいでふもとの村は警戒中と。お前、小峰からここに『人狼の里』を作れって言われていたのを忘れたわけ?」

「人を傷つけてまで達成すべき目的じゃない。そう思ったんだ。」


その瞬間、俺はまたほほに衝撃を感じた。


「俺たちは『風の峡谷』にしなきゃいけないことができたから、向かうけど、裏切者を連れて行くのは勘弁願いたいんだわ。今はそんな気分じゃないから、しねえけど。それが片付いたら、殺すから。余興で。」


その時、俺はあいつらとその眷属が笑っているのを見て、『康夫の奴はこんなのを毎日受けてたのか…謝っても許されないな。』なんて思ってしまった。俺は麻縄で縛られたまま、放置されてしまったが、俺の爪で麻縄が切れないはずもなく、あいつらがいなくなってすぐ、俺は拘束状態を解くことができた。上から誰かが飛んできていたのに気付いた俺はひとまずオオカミの姿で身を隠し、それがだれなのかを確認しようとした。船橋と八神の妹。そして、もう一人いる、長身の男。そいつがだれかはわからなかったが、彼らはがれきの中から女の子を見つけ、彼女を連れて『風の峡谷』に向かっていった。それを確認した俺は人の姿に戻り、まず、焼け落ちてしまった家に彼女と同じように同化したまま放置された人がいないかどうかを探すことにした。


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