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『この滅び行く世界に祝福を』  作者: 早稲農家
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~康夫(魔族)編第ニ章~

視点がころころと変わります。

・明石大輔・

 先日の襲撃は最高だった。まず俺は俺たちを不審者扱いしてきた高齢の男にかみついた。そいつは年齢的に獣の衝動に耐えられなかったんだろう。すぐ白目をむいて痙攣した後に死んじまった。その次に噛んだのはガキ。そいつは毒に耐えられたかもしれなかったが、ぷにぷにな肉だったもんで、つい噛み切ってしまった。泣きわめくガキに近寄った女。そいつの胸に続けてかみついた。そいつは少し痙攣したが、すぐ眠りに入った。同化した証だ。宇野が遠吠えをあげた。そうすりゃ、俺たちは本当の姿に変わる。その女も俺の声で目を覚ますだろう。同じ狼人間の姿に変わりながらさ。その瞬間、宿屋から武装した奴が出てきた。男1人に女1人。そいつらは俺をみるや、女が火の玉を出し、男が突進してきた。あんまりの迫力に思わず飛びのいてしまった。男は『こいつは俺がやる。』みたいなことを言いやがった。なめんなよ、人間風情が。そう思った俺はそいつに飛びかかり、押し倒した後、左前脚の獣化した手をなめて鎧の隙間に突き刺してやった。『そんな…馬鹿な…』って言った後、こいつもゆっくり眠りについた。俺たちをなめくさってくれた礼だ。あの子を襲わせてやろう。俺はそんなことを考えながら、遠吠えをあげてやった。


・サリー・カルディア・

 ありえない。私の頭の中はそれでいっぱいだった。同化のスピードが異常なのだ。宿屋のマロンさんは3人のうちの誰かによって『人狼』に変わった旦那さんのウォーレンさんに組み伏せられ、私は怖くなって逃げた。そして、村の中央広場に逃げてきた私はそこで子どものことを弄んでいた人狼を殺害しようと詠唱していると何かが襲ってきた。それを回避して確認したら、襲ってきたのはマロンさんだったのだ。パニックになった私は一生懸命逃げたが、袋小路に入ってしまい、仕方がないので身を隠すことにしたのだ。

 でも、隠せたのは一瞬だった。私はすぐ半裸で筋骨隆々の人狼につかまった。


 「サリー…オカス…オナジニスル…」


 それは今まで相方だったロックスの変わり果てた姿だった。

 そして、私はそのままなされるがままにされてしまった。

 最後に思ったのは『オナジニナルッテ…シアワセ…』という多幸感だった。


・ローズ・マリエル・

 私、ローズ・マリエルは村のお医者様がいるところに走って向かった。弟のジャンはあいつらに首を噛まれ、痙攣し始めていた。私もジャンを抱え、逃げていく中、一番にかみついていたやつに背中を引っ掻かれ、意識がもうろうとしていた。そんな時、私は体当たりされ、抱えていたジャンが地面に転がった。まだ生きている彼を体当たりした張本人が再度かみつき、肉を引きちぎった。ジャンの顔から血の気が失われていった。私はそいつに向かっていった。でも、そいつは気味の悪い笑みを浮かべて私を蹴りつけた。私は診察所に突っ込み、がれきに埋もれてしまった。


 「あー。同じになったらわかるさ。あんなガキ、死んで当然だったってな。」


 そう奴は言った。同化?そんなの、私はしたくない。あんな連中とおんなじになるぐらいなら、死んでやる。そんなことを思いながら、私は意識を失ってしまった。


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