~康夫(魔族)編第ニ章~
康夫の視点に戻ります。
僕はモルガンダンテスが遺した研究結果を見ていた。
先の大戦で屍族が溢れた際、大地のマナが穢れ、真っ先にそれに依存していた魔物である『妖精』が全滅した。そんな中、妖精を再生させるため、最も妖精の中で長寿だった者が禁術である『屍族化』を自らの体に行った。それがモルガンダンテスだった。そんな彼は屍族と化した自分の体でどんな技が聞くのかを試した。そうして明らかになったのが『高温で焼き落とす』、『『聖光魔法』で倒す、もしくはそれが付加された武器で致死ダメージを与える。』、『精霊魔法、もしくは妖精となったものが自身の魔力で作成した自分専用の武器で攻撃を与える。』の3つだった。モルガンダンテスは『屍族』になって『精霊魔法』が使えなくなってしまったため、僕を復活させてくれた妖精の魂にそれを確認してもらっていたようだった。僕はあの地下でもはや自分だけが使える魔法である『精霊魔法』は嫌ってほど練習した。
彼の研究には穢されたマナは今も残留しており、そのせいで人も魔族も住めない土地が多く増えていたのだった。そんな状態でも正常なマナが放出される場所が残っており、それによって世界はかろうじて循環していた。これから向かう場所、『風の峡谷』にはその中でも、風のマナが放出される場所だった。
世界から再びマナが溢れるようにするには『四大精霊』に祝福されて誕生する『妖精女王』と『妖精王』の誕生が必須だ。『妖精王』となった僕はまず『四大精霊』の器となる魔族、もしくは人の発見し、対象者を『卵』と同化させないといけなかった。しかも、『卵』は僕が引き上げなければマナのたまり場から出ることはない。
これが大まかな研究の内容結果だった。
ふと視線を左に向けると美香がこっちを見ていた。
二人を「船橋さん」、「春さん」と呼んでいた僕は他人行儀すぎると言われ、それを下の名前でかつ、さん付けをやめるように言われてしまった。この2日間で僕はすっかりそれに慣れてしまった。
「どうしたの?」
「…康夫ってそんな童顔が似合うイケメンだった?」
「イケメンって…」
そう。この3年間で僕の体は大きく変わってしまった。
身長も伸び、春よりも10センチほど大きくなった。たぶん180くらいあるはずだ。それにちょうどいい感じで筋肉がついたのではないだろうか。2年間、ずっと剣を振っていたのだから。その状態をイケメンというのか?僕にはわからなかった。
「美香。彼が困っているわよ。」
「ごめんごめん。でも、3年前は私よりも小っちゃかったからさ。」
「みんなそう見てたの?」
「さあ。1人だけそうじゃなかったって知ってるけどね。」
美香は翼を広げた。
「私のために休憩してくれてありがと。もう十分だよ。」
「いや。まだやらなきゃいけないことがある。」
僕は火の玉を作り出し、モルガンダンテスの研究をまとめた書類をそれで燃やした。
「よかったの?」
「何よりモルガンの頼みだ。さあ。行こう。」
春の言葉にそう言って僕らは飛び立った。




