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『この滅び行く世界に祝福を』  作者: 早稲農家
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~克己(竜騎士)編第二章~

克己編第二章開始です。

この章は結構短いはず。

 俺たちは里から離れつつ、『ティア』の主を探していた。行く先々で食料を足しつつ、『ティア』が反応を示す人がいないかを探さなければならなかった。なぜなら、最も可能性がある『王女アリサ』はもう死んでいたのだ。『ウィザード』と『アルケミスト』が王様と一緒に殺害したらしい。そのため、新たに選ばれた対象を探さなければなかった。ちなみにみどりではない。みどりがもし適合者ならば、彼女が里に来た時点で『テイラー』のように大きくなるはずなのである。しかし、そうはならなかった。つまり、その適合者はいなかったという話になる。


 「…これでいくつめかしら。」

 「まだ9個だ。そうめげるな。」

 「そうね…ねぇ。この子たちはどうする?」


 そう。俺たちは人数が増えていた。最初の町に下りた時、彼女たちが孤児院にいたのだ。彼女たち、エリーゼとマリエノは守宮によって一緒に脱出していた。彼女は瀕死のジャックを『サフィラ』に乗せ、彼女たちを連れて飛んだらしい。そのジャックは最初に下りた町の手前で『サフィラ』とともに力尽きてしまったようで彼女と彼の即席の墓が確かに町の外にあった。俺たちは孤児院に事情を話し、彼女たちを引き取った。そうして、4人旅になった俺たちは道中で狩りを行い、それを下りた町で売却し、そのお金で食料品を買い込みつつ、定期的に宿に泊まっていた。


 「サーシャが残した手がかりってのはほかにないのか?」

 「ないわ…あとは『ゴールデン・ローゼンティア』というお酒の製法だけよ。」

 「そんなこと知ってもな…それは買えるんだろ?」

 「もう造れないみたい。素材がなくなっちゃったみたいで。」

 「もっと意味ないな…ん?待て。今、素材がなくなったって言ったな?」

 「ええ。そう言ったけど?」

 「それって…幻の果物とかなんじゃないか?」

 「そうかもしれないけど…なんでそんなこと気にするの?」

 「さっき、露店を見ていたおばさんがそんなことを言ってたからさ。」

 「気になるね。ちょっと調べてみよ。ちなみに素材になるのは『アジルス』って実と『アグリア』って実みたい。その2つをすりつぶすって書いてあるから。」

 「よし。この町では売ってないようだし、次の町でそれを探してみよう。」


 そう作戦がまとまった私たちは3時間ほど寝た後、次の町に向かった。


 「あんたも『アグリア』を求めてきたんか?」

 

 俺は果物を扱っていた露天商にそう言われた。俺がほしいのはそれがどこで採れたかであって、扱っているかはどうでもいい情報だった。


 「いや、あんたが扱っているかどうかはどうでもいいんだ。」

 「なんだ。冷やかしか?」

 「それは失礼だぞ。この『アジルス』ってのを5個くれ。」

 「300ガルドだ。毎度あり。じゃあ、何が聞きたいんだい?」

 「それがどこから来ているかさ。なんか知っているか?」

 「知ってるさ。『クロスウェイ』ってはるか遠くにある町さ。だけど、あの周辺には今はもう誰も寄り付かないんだよ。」

 「いったい何があったんだ?」

 「王国の『勇者』様方がそこらへんで好き勝手に暴れてんだよ。彼らの仕事を手伝った守り人や冒険者が殺害されているらしいんだ。そのせいでもともと王国騎士団が警備していなかった地域で活躍していた冒険者たちも少なくなってきているんだ。そういう場所に魔族が攻め込むから、みんな撤退しているんだよ。」

 「…情報、ありがとな。オススメはなんかあるか?」

 「お。この『オラージュ』なんかは採りたてさ。」

 「じゃあ、それを10こ。これで足りるよな?」

 「おう。少し多いくらいさ。」

 「情報のお礼だ。持って行ってくれ。」

 「そうかい。毎度あり。」


 俺は品物を受け取りながら、少し考え事をしていた。王国の『勇者』様。そいつらは辺境に出向き、そこで殺人を犯している。しかも、そのせいで活動する冒険者が少なくなり、辺境は魔物の脅威にさらされる羽目になる。それでも対処しないとなるとそのあたりを放棄してもよいと思っているとしか思えなかった。なのに、ここにきて幻の果実を行商人に卸せるような場所が出てきた。そんなのを疑わないほうがおかしい。


 「こいつは向ってみる価値がありそうだな。」


 俺はそう感じた。


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