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『この滅び行く世界に祝福を』  作者: 早稲農家
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~克己(竜騎士)編第一章~

克己編開始です。

「カツミ、今日の獲物は?」

「今日はふもとにいた『ラングリーベア』1体に『モスブル』が3体だ。」

「お!今日は『ブル鍋』か。死体は?」

「あらかた燻製室に運んでおいたよ。そういうと思って『モスブル』は1体だけ広場に置いてある。血抜きと内臓の処理は下でやったから、守宮に捌いてもらってくれ。」

「わかった。頼んでおくよ。」


 里長であるジャックはそう言った。俺の竜となった「テイラー」は『シルバーエンペラー』と呼ばれる竜の中でも最強クラスの種族だった。本来ならば、俺が里長になるらしいが、俺は村のことを知らなかったし、サフィラも『サファイアエンプレス』と呼ばれる『ゴールドエンプレス』の次に強い種族の竜だったことから、俺が狩猟長、ジャックが里長という役職に就くことになった。村の人たちはその人事に文句は言わなかったが、ジャックはいつも『いつでも代わるからな。』というし、みんな、その交代に関してはいつでもしていいという状態だった。ただ、俺は『部外者だから。』という理由で一歩退いていたのだ。


 「おい!仕留めた立役者がなに奥まった場所にいるんだよ!」

 

 狩猟班の若手であり、俺に真っ先に勝負を挑んでコテンパンにされたウォッカが俺を真ん中に連れてきて鍋の真ん前に座らせる。鍋は菜々子の味付けだ。彼女はもともと料理クラブに所属していたというのもあり、大物が取れた際の料理の味付けは彼女が担当するようになっていた。この里の人口は子どもが6人。男4の女2だ。大人は男が10、女が5。そして、竜が9匹。こんな小さな集落だった。



 「お疲れ様。今日も絶好調だったみたいね。」

 「そりゃな。俺の力じゃない。テイラーのおかげさ。」

 「それは謙遜よ。克己君は一人でも強いじゃない。」

 「そうは思わないけどな…そうだ、収穫班はどうだ?」

 「いい感じよ。克己君の見立て通り。『ダーイン』や『コロッコ』はここでも栽培できそう。『ダーイン』に関しては花が咲いたわ。」

 

 『ダーイン』ってのはこの世界の主食だ。味はサツマイモで大きさは長いもみたいな感じのものだ。『コロッコ』はトマトみたいな大きさの身を実らせる植物だ。その味はナスみたいな味だ。それに『ハラッパ』というキャベツみたいなやつに『ボロ』という根菜がこの里の主たる食材だった。その4つを栽培するということには取り組んでなかったので、俺が提案して始まったのだ。


 「それはよかった。じゃあ、バリエーションが増えそうだな。」

 「…にしても驚いたよ。農業的な知識もあるなんて。」

 「持ってても使えない知識だったから、みんなに言わなかっただけさ。」


 俺はテイラーの1歳の誕生日に彼の抜け殻で作った剣を取り出し、磨き始めた。

 刀身は抜け殻でも一番硬かった部分を使い、きれいに磨き上げた逸品。それを俺は水をかけながら、砥石を使って磨き上げる。今日は『ラングリーベア』を仕留める際、少し無茶な使い方をした。テイラーの背中から飛び降りつつ、回転しながら獲物の首に剣を叩き付けた。でも、それは仕留めきれなかった俺は奴の両手の爪をこいつで相手の攻撃に合わせて斬り落とし、最後は切り上げるようにして腹を裂いたのだ。そのため、少し鉄臭いんじゃないかと思ってふもとの湖で血を流していた。


 「…また無茶したのね?」

 「なっ…なんでそう思う?」

 「いつも、無茶したの夜はそれを磨くからだよ。」


 俺は苦笑するしかなかった。その様子を見てか、彼女はそれ以上聞かなかった。

 

 「で、今晩はどうする?」

 「…一緒に寝てほしいのか?」

 「私に言わせるの?」


 俺は剣を鞘に戻し、彼女に誘われるがまま、寝床に入っていった。

 こんな生活が続くなら、異世界に来たのも悪くないな。

 最近はこう思えるようになってきていた。


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