~康夫(魔族)編第一章~
僕が上りきった時、そこ、僕以外のみんなが魔族に変えられた場所はゾンビだらけになっていた。その数、15体。掃除で慣れていた僕は素早く排除する。1体目は光を纏った剣で頭から切り裂く。それが液体化しないのを確認しつつ、集まってきたゾンビ5体の胴体を薙ぎ払いながら、後退し、前方にいた3体を光の魔法、『ライトニング』で頭を撃ち抜いた。その直後、左右から襲いかかってきた2体のうち、右側にいたほうを剣の柄で殴りつけ、左から迫ってきたゾンビを股から真っ二つにした後、右のゾンビもそのまま流れるように頭から切り裂いてやった。10体も倒すともう道が開けていた。こんなことになっているとは思わなかった。これではモルガンや春さんが危ないと思い、まず、モルガンの私室を階段の近くにあった各階層の案内板から調べ、真っ先にそこに向かった。
モルガンの私室に続く道は適切な方法で倒さなかったゾンビが変化する緑色の汚物とその白骨がたくさん存在していた。適切な方法とは『高温で焼き落とす』、『『聖光魔法』で倒す、もしくはそれが付加された武器で致死ダメージを与える。』、『精霊魔法、もしくは妖精となったものが自身の魔力で作成した自分専用の武器で攻撃を与える。』ことの3つだ。『聖光魔法』はほとんどの魔族に撃つことができないため、モルガンはそのうちの最初の方法しか使えない。そのため、奴らが復活しかねない、こんな中途半端な状態で放置されてしまっていた。僕はモルガンと話している間に復活されては困るから、『創世の光』と称される『アトミック・レイ』ですべてを浄化した後、彼の私室に入った。
僕が入った時にはもうモルガンは瀕死だった。
自我を失い、感情がなくなったはずの船橋さんが震えている。
ゾンビの爪に切り裂かれたのだろう。呼吸も浅かった。
「…モルガンダンテス?どうしたんだよ。」
「その声は…そうか…間に合ったんだな。」
「間に合った?いったい何があったんだよ!」
そう言った直後、僕は背後から奴らが復活した気配を感じ、すぐ握った左手に『ホーリー』を纏わせ、復活したばかりの奴らの顔面にその拳をお見舞いしてやった。
「おお…まさしく『聖光』だな…われら、魔族から失われた魔法だ。」
「しっかりしろ。あんたはまだ死んじゃいけない!」
僕が回復魔法を使おうとした瞬間、モルガンはその手を掴んだ。
「その前に…彼女にその魔法を…私の命は長くはない。キミの魔法は彼女に。」
「船橋はけがなんかしていない。」
「している…彼女は魔族になる能力があったのに…私がダメにしたのだ。頼む。彼女の頭に回復魔法をかけてほしいのだ。」
僕は歯を食いしばりながら、彼女に回復魔法を放った。すると、感情を失って以来、どこを見ているかもわからなかった目に光が戻った。彼女は自分の体がどうなっているのかも理解しているようだった。




