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『この滅び行く世界に祝福を』  作者: 早稲農家
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~直樹(帰還者)編第一章~

これで直樹編の第一章は完結します。

次は康夫編になります。

 「まさか…100体クラスのゴブリン軍団を独りで片づけてしまったのですか?」

 「俺が殺したのは雑魚数十体に、でかいゴブリン3体だ。それが片づけたって話なら、結果的にはそうなるな。それがなんか悪かったか?」

 「本来は冒険者、しかもAランクが4人以上いないと対峙さえ難しいんですよ。」

 「悪いが、あんな雑魚に不足を取るなんて本当にやる気があるのか?あんたらは難しいだろうが、あれは弱すぎた。嘘だと思うなら、森に今から行くか?案内してやるよ。炭化した死骸があるはずだ。」

 「いや。いらない。あんたらの要求はいったいなんだ?金か?」

 「…金は要らないよ。俺たちが望むのは住居地だけだ。」

 「お前らのような化け物が村にいちゃ困るんだ!」

 

 俺とみどりはため息をつくしかなかった。よりによって『化け物』とは…。

 そんな状況を打ち破ったのはアリサの言葉だった。


 「そういうことでしたか。この村から人がいなくなるように仕組んでいましたね。」

 

 アリサの言葉に村長はびくっと反応した。みどりは何かを『探知』し始めた。


 「簡単な話です。住民がいなくなった後、ここを自分の私腹を肥やす場所にしようとしていたんですよ。アッシャー・J・オマーグさん。」

 「地下に何人もいるわ。中には死んだ人もいる…奴隷かしら?」

 「そうか。住民がいなくなった後、その奴隷とやらに畑を耕させ、その収益を自分のものにしようって算段だったんだな。」

 

村長は震えている。アリサが席を立った瞬間、そいつはあろうことか短剣を懐から出し、彼女に投げつけた。だが、それはみどりが素早く広げた、硬化魔法で鋼鉄と同等の硬さになったナプキンによって防がれてしまった。


「今のは何かしら?」

「…穏便に話を済ますのは難しそうだな。みどり。頼んだ。」

彼女はうなずき、胸ポケットに手を入れた。あそこには最近になってやり始めた『調薬』の成功品(毒薬や爆薬など)が入っている。そんなものを飲まされたら俺もどうなってしまうかわからない品々の一つを取り出していた。


「雑貨屋のマーサさんを呼んできて。私たちの判断では裁けないからね。」


アリサが『うん!』と言ってすぐ行ってしまった。その館に俺たちしかいなくなったのだ。俺も少し手を貸すことにした。俺は『操作』の魔法の術式を展開しながら、『みどり。どうせなら、飲みなれているものに混ぜてやれ。」言って俺はもう老い先短いであろうアッシャーに展開し終わった魔法を発動した。


その日。その村長、アッシャー・J・オマーグはみどりお手製の『自白剤』を飲み、村の代表的な立場にいた雑貨屋のマーサに袋叩きにあった。その日中に彼の地下室で監禁されていた10~15歳の少年少女、10名が助け出された。みどりが言っていたようにその中で亡くなっていた子もいたため、村人たちの怒りが爆発し、そいつは普通の剣一本だけを渡した状態で村から弾き出された。その後の彼の結末は知らない。その奴隷たちはマーサさんが『これから発展していく村の大切な戦力だ。』と言って彼らを各家庭に割り振り、その作業を手伝ってもらうことにしたようだった。そして、俺たちは…。


「で、なんで俺が村長なんだ?」

「あなたが村長なら、逃げられることはないでしょう?」

「軍隊ゴブリンを独りで壊滅させるような貴重な戦力のあんたたちが勝手にこの村を出ていかないように首輪をつけさせてもらったよ。」

「こうすれば、村に居場所ができるでしょ?よかったじゃん、直樹にぃ。」


こんな感じ(十中八九、アリサの策)で俺は村長になった。みどりは『アルケミスト』として『調薬』や『錬成』を俺たちに与えられた畑や果樹園(これはもともと水はけが悪い土地だったのだが、アリサの願いをかなえる形で俺たちが作った。)、そして水田(この世界では『米』が流通していないことが明らかになったので、俺たちの記憶を頼りに見よう見まねで作ってみた田んぼだ。)の管理の合間にしていた。俺たちもその元奴隷だった子を引き取ることになり、13歳の人狼種のカインと10歳の人猫種のレベッカ、そして、12歳の人間のアルドランド・K・ラインハルトを引き取ることになった。彼らを故郷に戻すこともできたが、それは彼らが望まなかった。こうして、俺の村長生活が始まり、どたばたとしている間に3年の月日がたった。


直樹(帰還者)編第一章


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