~克己(竜騎士)編Prologue~
少し長いけど、切るにきれなかった。
これで克己編のプロローグは終わりになります。
次はまともな転移でこの世界に降り立ったメンバーの話になります。
「確かにこの方向でよかったんだよな?」
「うん。間違いないわ。」
私たちは森の中をゆっくり移動していた。『ゆっくりなら、あいつは感知できない。』と克己君が言ったからだ。実際、感知されることなく、森を通過できそうだった。森の外が見えた瞬間、私たちは駆け出してしまった。結果的には全く問題はなかった。私たちは森を出た瞬間、待ち伏せしていた影が走り出したことで私たちに気づき、背後から迫ってきていたカマキリに向けて業火を吐き出したからだ。私たちはそんな巨大な影に圧倒されて立ち止まってしまった。
「ド…ドラゴンですか?」
「なんじゃ、我が怖いのか?」
「いや…改めて全然違う世界にいるんだと認識しただけさ。」
「そうか。問題ないのなら良い。わが主が来るまで汝らを守らせてもらう。」
「…金はないんだが、無償でそんなことするのか?」
「働き手にはなるだろう?ああ。安心せい。皆、優しいからな。」
「さらうってことだな?」
「もちろん、拒否してもよいぞ。この世界は残酷じゃ。一度は助けてやるが、2度はない。」
「みんなはどうしたい?」
「衣食住がそろうならその条件をのみたい。」
血まみれの守宮を見て俺と橋都はうなずいた。
「意見が一致したなら、上々。わが主も戻ったようだ。さあ。参ろうか。我らが里へ。」
その青年は何も言わず、竜の背中にまたがり、そこから手を伸ばしてきた。
俺たちはそれを掴みながら、背中に乗ると瞬く間に上空へと飛び立った。
「うお!これはとんでもないな。」
「サフィラ!あまり客人を怖がらせないでくれ。」
「なに。直に客人じゃなくなるのだろう。ならば、早めになれるべきじゃ。」
そう言ったドラゴンはさらに加速し、俺たちはシートベルトなしのジェットコースターを1時間ほど楽しむ羽目になった。そうしてたどり着いたのは竜の巣と村が一体化した、山の上だった。俺たちが村に入った瞬間、守宮と橋都は村の女性たちに連れて行かれた。俺には村の男たちが群がり、木剣を投げ渡してきた。この村にいたければ、ここにいる誰かに勝てばいいってその中で一番強そうなやつが言った。あの青年はこのおっさんたちの中に混じらなかった。仕方がないので、俺は一番近かった背後にいたガキの顔面を蹴り飛ばし、そのガキに隠れるように木剣を下段に構えつつ接近した。それにいち早く反応した戦闘連中にタックルし、そいつを足場に飛び上がった。そして、気を抜いていた戦闘連中の背後で準備していたやつらの足を素早く払った。それを目前で見ていた一番強そうだった男の顎を思いっきり蹴り上げてやった。そっからは以下省略。真っ向から打ち合ってもそんなに強くなかったから、蹴って振り下ろすか、振り下ろして鍔迫り合いになった瞬間に蹴っ飛ばして横に薙ぐ。2人が戻るころには死屍累々の光景を作ってやったら、女たちは盛大に笑っていた。あの青年も「ナイスファイト」と親指を立てて賞賛してくれた。
その日から、俺たちはその村の住人になっていた。数か月後にはこの村の伝統行事である『竜宿しの試練』に参加し、俺にも飼い竜ができた。それが乗れるほど大きくなるまで3か月ほどかかったが、乗れるようになってからは村の衣食に深くかかわるようになっていた。1年ほどしたら、俺にも家がもらえた。そこで世話人として橋都が住むようになった。守宮はあの青年、ジャック・リーガットの家で世話人として生活していた。どうやら守宮はそこにもともと住んでいた奥さんに『あなたなら、あの人の妾になってもいいし、私の娘の世話を任せられるわ。』と認められる形で世話人の役をゲットしたらしい。そして、おれが狩猟長、ジャックが里長になったときにはこの世界に来てから3年ほど経っていた。
克己編Prologue
完




