~克己(竜騎士)編Prologue~
途中で視点が変わります。
彼の話はあと一話でいったん終わります。
その方向にはなんと南雲さんと錦戸さん、そしてもう一人、沼木君がいた。ここからそう遠くない距離だった。
錦戸さんは木に寄り掛かっていた。南雲さんは地面に座り込んでいる。沼木君も倒木に腰かけていた。彼らはたき火を囲んでいた。何がそろそろなのかと思った瞬間だった。錦戸さんの背後の方向から鎌が真横に振られ、木が倒れた。その木と一緒に彼女の体は切断され、上半身が地面に落ちた。切られた木は沼木君のほうに倒れ、彼は腰かけていた倒木とその木に挟まれ、全く動けなくなってしまった。悲鳴を上げている。南雲さんは状況をすぐに理解し、逃げようとしたが、その直後、頭から鎌を突き立てられていた。
「なんで助けなかったの!」
「助けるねえ。あいつら、こんなとこでたき火をしていたんだ。なんでだと思う?」
「え?なんでって…」
「お前を犠牲にして助かったと思っていたからさ。安心しきったアイツらはたき火を起こした。その時の音で奴は居場所に気づいたんだ。俺たちはあいつらに利用されただけ。それを利用し返しただけさ。さあ。いくぞ。」
「そっか…なんでだろう。すごい罪悪感がある。」
「忘れんなよ。それがわかるってものすごく大事だから。」
その時だった。右の草むらがわずかに揺れ、克己君はすぐ身構えた。出てきたのは魔物ではなく、守宮さんだった。息を切らしている。よく見るとその服も血まみれであった。
私、守宮美弥子は先生がかじられ、噴き出した血を浴びて目を覚ました。逃げようとした時点ではもうみんないなくなっており、カマキリももう先生をほとんど食べ終わっていた。私は思わず屈んだ。それが功を奏し、私の髪の毛が数本飛んだだけだった。すぐ横に跳んだ私はそこから駆け出した。私を追い詰めるように迫るカマキリの鎌。その一本を木に貫かせたことでカマキリの行動を制限することに成功した時だった。はるか上から鎧を着て2本の剣を構えながら落ちてくる青年が目に入ったのは。瞬きした後に広がっていたのは両手の鎌と首を斬り落とされたカマキリの死骸とその横で剣についた血を払っている青年の姿だった。
「あ…ありがとう。」
「おう。間に合ってよかった。それに…言葉通じるんだな。」
「あれ。ほんとだ。」
青年は笑って私の顔についた鮮血を持っていた手拭いで拭ってくれた。
「こっからまっすぐ行ったところにもう二人、キミの恰好によく似た人がいた。彼らと合流したら、そのまままっすぐ向かうといい。そうすれば、ドラゴンがキミたちを守ってくれる。僕は少しここで仕事があるから、先に森を抜けててほしいんだ。」
私はうなずき、その方向に走って行った。そして、克己君たちに再会した。




