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『この滅び行く世界に祝福を』  作者: 早稲農家
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外伝・大和(贖罪)編

 監獄には瀬戸が勝手に開放した元犯罪者が4人もいた。

 その中には俺が以前捕まえた犯罪者もいた。ジェノス・バラード。朱里を狙ったから捕まえたのだが、こいつは…ナイフで女を磔にしてから恥辱の限りを尽くして殺害するクソ野郎だった。こいつ以外にも元死刑執行者で子どもばかりをさらい、『永久保存』と称した斬首した後の首を蝋化させたものをコレクションしていた、ベティ・クロウ。『男は不浄』というモットーでイチモツを切断したあとに殺害するチャック・シャッター。騎士団に恨みがあったのか、女性騎士団員のみを狙って一刀のもとに殺害する一刀斎と名乗る男がいた。俺が侵入した瞬間、全員が俺を見た。


 「おやおや。俺を捕まえてくれた『勇者』様じゃないか。」

 「子どもじゃない…やる気起きない。」

 「ベティ。ジェノス。一刀斎。あいつは俺の獲物だぞ?」

 「わしは構わんが…ジェノスはいいのか?」

 「…よくねえが、あいつ…俺たちを殺す気だぜ。目が本気だ。」

 「…クライアントの命令はここにいた囚人が逃げていたら、追跡して殺すことじゃ。わしはそのおなごを狙うとしよう。」


 一刀斎が地下に行こうとした。俺はその瞬間を見逃さなかった。

 朱里がくれた魔剣はよく魔力を纏う。俺が風を纏わせ、それを一刀斎に斬撃とともに放った。一刀斎はそれに気づき、すぐ後退し、こちらに殺気を向けてきた。


 「悪いが、俺はお前らをそっちに行かせるわけにいかないんだ。ここで全員、死んでもらう。ちょうどいい。お前らは死刑だったし、執行の時間だな。」

 「冗談じゃない。俺たちは赦してもらったんだぜ。」

 「誰に赦されたか知りたくもないが、俺は赦すつもりがないからな。」


 そう俺が言った瞬間、攻撃を仕掛けてきたのは一刀斎だった。おそらく瀬戸が渡したであろう日本刀で俺を斬りつけてきた。が、俺はそれを察していた。『千里眼』という勇者特有のスキルらしいが、こいつが斬りつけてくる未来が見えたから。わずかな動きで交わされたのが信じられなかったようで、抜いたまま、硬直してしまった。俺はそこに大剣を振り下ろし、頭から真っ二つにした。まず、一人。


 「おいおいおい。こいつ…本気かよ。」


 そう言ってジェノスは地下に逃げようとした。もう一度、風の刃を放とうとした瞬間、俺はチャックの投げた鉗子に阻まれた。大剣の背でそれを受けたためにすぐ攻撃に転じることができず、このままではジェノスを地下道に向わせてしまうと思った瞬間だった。

 ジェノスは扉を開けた瞬間にその奥で待ち伏せしていた何者かが放った炎にその身を焼かれ、悲鳴を上げたのだった。のたうち苦しむジェノスはこちら側に来る。しかし、来る前に透明な壁に阻まれたようで困惑を隠せていなかった。退路も防がれたようでもがき苦しみながら、その壁の中で燃え尽きた。その様子をその一連の術をかけた張本人である


 「ハハハ…まさか…お味方さんがいたんだな。」

 「…卑怯。仕方がない。貴様、殺す。」

 「サラが隠れていたのは予想外だったが、そっちを気にしないほうがいい。自分で言うのもなんだが、俺はよそ見したらやばい存在だと思うぞ。」


 その瞬間、ベティは自分の近くにあった机を掴み、こちらに投げつけてきた。それと同時にチャックが接近してきた。ベティは斧を振りかぶっていた。俺はそれらをまとめて焼き尽くすために青い炎を大剣に纏わせ、横方向に一閃した。その一撃が来ると分かったベティはすぐ身を引いたが、跳びかかってきたチャックはその一閃に巻き込まれ、肉が叩き付けられる音とともに絶命していた。


 「…強い。勝ち目ない。」

 「…お前さんだけ、本来の得物じゃないみたいだな。」

 「重すぎ。大きすぎ。満足に振れない。」

 「…さすがに理不尽だな。お縄につくなら、お前の得物で再戦させてやろうか?」

 「結構。ここで死ぬ。私の負けだ。」


 ベティは持っていた斧で自分の首を断とうとした。しかし、それはサラが放った火球に妨害されてしまった。そして、直後、足元から吹き上がった炎によって燃えた。その術師を見てベティは何か気づいたようだった。


 「…生き残り。残念。大きくなった。保存したかった。」

 「…あなたが私を育ててくれた。それは感謝しています。」

 

 そう言って彼女は杖を構えた。


 「でも、私は…私の妹を目の前で殺したあなただけは許さない!」


 そう言って彼女は火球を再度発射しようとした。でも、俺はそれを風の弾で妨害した。


 「なんで…」

 「もうこいつは死んでいる。復讐とは言え死体を冒涜する行為は許すわけにはいかないからな。」


 彼女はそう言われた直後、座り込み、声を殺しながら泣いていた。

 それを俺は自分の腕の中で続けさせることしかできなかった。


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