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3話 魔法と襲撃

「まほう……」


 来た、待ちに待ったよ!

 いやぁ魔法なんて今まで見たこともなければ聞いたこともなかったし、この世界にはないものだと思ってたよ。これなら降りかかる火の粉をバッサバッサとなぎ払っていけるのでは?!


「おーい、ラナちゃーん?聞こえるー?」


 こう一気にドラゴンをスレイブする魔法とか、円錐の空間に神の怒りな雷を落としたりとかとか……。


「あちゃー、一人の世界に入っちゃったかー」


 うん、夢は広がるねぇ。


「えっと確か……」


 これで私もあんな理不尽な死に方をしないで済むよね。あぁ魔法、いったいどんなのだろうか。


「……種火(パイロット:ライト)!」

「あ、あっつ!?」


 え、何?なんなの?何が起きたの?


「え、え……今何が?というかファイさんの手のひらにあるのは何ですか?」


 ファイの手のひらにはふわふわと浮かんでいる火の玉があった。


「んー?これが魔法ってやつかな?」

「何で疑問系なんですか?」

「この魔法って誰でも使える簡単なものだからねぇ、……ほいっと」


 ファイはそう言いながら竈にある薪に火の玉を放り投げる。薪に火が灯ったと同時に、火の玉は消えた。


「この魔法はね、簡易的に火を付けるもので、ランプ代わりにするくらいしか出来ないんだ。近付けば熱さは感じるけど、それほど強い熱でもないし、持続時間も短めでキャンプ時にしか基本使わないんだ。ラナちゃんの家って食堂だっけ?ならそこの料理人なら使ってるはずだよ、聞いたことない?」


 なん……だと!?

 お父さんは魔法使って調理していたのか……。

 ん?ミルも料理しているってことは、知らなかったのは……。


「……私だけかぁ」


 私は思いっきりガックリと項垂れる。

 よくよく思い返して考えてみればそりゃそうだ、火を使う料理の時に火打ち石の音なんて聞こえなかったし、でも前世でコンロとかあったから気にもしなかったと言えばそうだし。

 周りをもっとよく観察しておくべきだな。


「この魔法は教えていい部類だから、ラナちゃんもやってみる?」

「え、そんな直ぐに使えるようなものなんですか?」

「まぁそりゃあ、ね」


 ほー、魔法ってRPGとかではレベリングや職業によるものだと思っていたけど、成る程伝承系か。


「慣れれば必要ないことだけど、ラナちゃんは初めてそうだし詠唱からやっていこう」

「は、はい!」


 ファイは深く深呼吸して手を突き出して唱え始めた。


「力を司る火の精霊、その力の一欠片を我が手に集いて具現せよ……種火(パイロット:ライト)


 ボッとファイの手のひらには先程見た火の玉が現れた。


「ふぅ、まあこんなものかな?」

「ほへぇー……」

「詠唱って普段使わないからちゃんと出来るか不安だったんだけどねぇ」

「え?無詠唱って事ですか?」

「そうよ、詠唱なんて唱えている文言さえ聞ければ相手が何しようとしているかわかるから、詠唱から入る人は余りいないわね。私達のような騎士とかじゃなくて、一般の人が日常生活で使うときぐらいじゃないかな?」

「外でそんなこと聞いたこと……」


 無いのは当然だ。ファイに魔法の存在を初めて知らされたのだし、町中でも今のような詠唱をしている人なんて見たことないし。


「私もこの町の一般基準がどうなのか知らないから、ラナちゃんが聞いたことが無ければ皆無詠唱なのかもね」

「…………」


 皆知っていたのか。家族もご近所さんや町長、店に来る常連さん、皆黙っていたの?

 いやいや、後ろ向きな考えはやめよう。誰でも簡単に使える魔法なんだから、それを子供に教えて事故に巻き込ませないためとか。そう、魔力の暴発とか。


「あのぅ、ラナちゃん?」

「は、はい?」

「お鍋吹きこぼれそうよ?」

「へ?あ、しまった……うわっちー!」


 考え込んでいたせいで料理にまだ取り掛かってなかったな。やることやってから考えよう。

 お鍋の蓋を取って水を少し足して沸騰を抑える。再び沸騰するまでに料理の準備に入る。


 魚を三枚に下ろして骨抜きを行い、抜いた骨と頭と尻尾を鍋に入れて出汁を取る。普通の川魚なら出汁なんてかなり時間をかけないといけないが、この辺りの魚はいい感じの出汁が取れる。

身の方は香草に磨り潰した木の実やキノコと一緒に包んで薪の中に入れる。


「ちょ、ラナちゃん?!そんなことしたら……」

「大丈夫ですよ、この香草は燃えたりしませんので。葉が厚いので焦げても表面だけですよ」

「そ、そう……」


 普通の調理法なら周りを塩で固めるのだろうけど、貴重品だしそんなに大量には持ち出せない。というか、調味料自体そんなに種類無いのが不便なわけだが。


 鍋から骨を取り出して、余った魚の身や採集物を入れる。後は二人が来たときに丁度仕上がるかな?



 

「ね、ラナちゃん。料理出来上がるまで時間あるなら魔法の練習でもする?」

「え、あ、はい!」

「また吹きこぼれたら嫌だし、蓋は取っておいたら?」


 うーん、鍋料理に対して蓋を取れと言われるとは……。

 まぁ落とし蓋代わりになる大きな葉っぱがあるからそれで代用しようか。


「私が唱えた詠唱覚えてる?」

「覚えてます」

「じゃあ唱えながら私が出した火の玉を思い浮かべながら、私がやったようにやってみて」


 いよいよか、まずは落ち着いて深呼吸……。


「力を司る火の精霊、その力の一欠片を我が手に集いて具現せよ……種火《パイロット:ライト》!」


 ボッ。


 出た、出来た。私の手のひらに火の玉が出てきた。うん、出てきた。


「…………」

「…………プッ」


 笑われた……。


 そりゃそうだよ、なんだこのマッチの火みたいな小さな火は?


「いや……ごめんね。その、余りにも……」

「大丈夫です、笑いをこらえながらプルプル震えてもらうより、いっその事大笑いしてくれた方がいいです」

「じゃあ遠慮無く………アーハッハッハッハ!」


 ファイの笑いはしばらくやむことは無かった。


 畜生……。



「いやぁ笑った笑った」

「…それはどうも」

「まぁ小さな火だったけどちゃんと出来たじゃない」


 そりゃ出来たことはとても嬉しいけど、先行き不安というか、こんなのじゃ他の魔法も期待できないし。

 ん、他の魔法?


「あの、他の魔法も教えてもらえますか?」

「んー、それは出来ないかな。実は本来ならこの魔法だって教えちゃいけないんだし」

「え、でもさっきは教えてもいいって」

「教えていいのは親族から直々に教えてもらうものであって、他人が子供に教えちゃいけないの。火遊びして家や森が火事になりましたなんて事にもなりかねないし」


 おいおい、そんな事今更言われても……ってか火遊びなんかしないよ?


「善悪の判断がつくような年齢、そうねラナちゃんのお姉ちゃん位の年からかな」

「あの、それって大丈夫なんですか?」

「大丈夫なんじゃない?よく知らないけど」


 なんだよく知らないって!


 その後も何度か試すが、最初の火より大きくなることはなく、ゆらゆらと心許ないその火は私の弱さを具現化しているようで、とても切ない気持ちになる。



「ラナちゃん、頑張っているところ悪いんだけど、そろそろ二人呼び戻さない?おなか減っちゃった」

「そ、そうですね……」


 ファイは少し離れた場所に行き、空に手を掲げて何か唱えたかと思うと青い光が空に伸びた。

 あれも魔法なのだろう、私がやってもああはならないのだろう。



 二人が来るのにそう時間はかからなかった。腰に下げている皮袋をパンパンにして帰ってきた。採集はうまくいったのだろう。


「この辺りは素材が豊富でいいですね。王都周辺は素材が上流の人によって採り尽くされていますから、正直羨ましいですよ」

「狩りもしたかったが、この辺にはいないのか?」

「私達がいる周辺には素材はありますが、魔物や動物にとって好まない植物が生えているんですよ。採集中にキノコに花が咲いていませんでしたか?」

「毒があるキノコの一つ、でしたか」

「その花の臭いなのかは分かりませんが、それを嫌っているみたいです。町に行けば魔除けのお守りとして売っているはずですよ」

「んだよ、それなら先に言えよ。ちょくちょく見かけたから取っておけばよかったぜ」

「いえ、取り方には特殊な方法がいるらしくて、誤った方法だとすぐそれ自体が魔物化するので……」

「魔物除けが魔物になるって意味分かんないね」


 ファイは笑っているが、笑えない話なんだけどな。


「即効性の麻痺毒を辺り一面に吹き出して、その毒は魔物にとって活性剤となり、一瞬にして回り込まれてしまいますよ?」

「え?」

「マジかよ……」

「アーバーン、お前命拾いしたな。採ろうとしてたもんな」

「…………」


 アーバーンの顔がどんどん青ざめていく。採るな触るなと言ったけど、やはりもう少し言った方がよかったのだろうか。

 ファイはまだ笑っているしザナカンダはアーバーンの肩を叩いて慰めている。私が言うのも何だけど、なんだこいつら?


「あ、あの、食事の用意をしていますので、どうぞあちらへ」

「そうだね、お腹ペコペコだよ」

「ほら行くぞアーバーン」

「……!お、おう」


 ザナカンダとアーバーンは兜を外しながらお鍋のある方へと向かう。改めて顔を見ると年相応に若いというか、まだ幼さが消えていない。

 ファイは口元の部分だけ外す。バイクのフルフェイスにそんなのがあったけどそれと同じ構造なのかな?


「ファイさん、兜外さないんですか?」

「ええ、私はこのままで」

「そ、そうですか」


 素顔を見られたくないとかかな?詮索はしないでおこう。


 お鍋から落とし蓋代わりの葉っぱを取り除き、木の器に人数分装う。薪の中に入れて置いた香草を木の棒で転がしながら取り出す。表面は丸焦げ、いい頃合いだろう。


「おい、なんだその黒い物体は?」

「香草の包み焼きですよ?」


 何を言っているのか分からないように不可解な顔をするが、私はその顔が不可解だ。


「もしかしてこれファイが」

「残念でした、今日はラナちゃんが作ったのよ」

「へ、へぇー……それはそれは」


 ん?何その反応は?


 私は二人の反応をよそに、香草を開ける。中に溜まった蒸気が立ち込めて、匂いがふわっと辺りを覆う。焼きすぎてもいないようだし、成功かな。


 ぐぅぅぅ……。


 とても情けない音が三人のお腹から聞こえてきた。


「食べたくなければ構いませんよ。店でも私は作らせてもらっていませんし、王都の味の好みなんて知りませんから。ファイさんは食べますか?」

「勿論だよ!涎が大分前から止まんないしね」


 うん、正直な人だ。


「お、俺は……」

「私も頂くとしよう」

「アーバーンさんはどうしますか?」

「食うよ……」


 嫌そうに口元をいつもよりへの字に曲げて言うが、お腹を必死に抑えているその姿はとても滑稽だ。


 私は食べ方を説明し、個人の好みな味に出来るようスパイスの入った筒を取り出す。胡椒のような液体、バジルのようなキノコの粉末、塩の代わりにアイスプラントみたいな花、アイスフラワーとでも言おうか、その他店から持ち出せる物を用意した。これだけあれば味はどうとでもなるだろう。

 前世の記憶がもう少しあったら味噌や醤油なんかも欲しくなっていたのだろうか。


 私は毒味を兼ねて先に口を付ける。スープは魚の出汁が出てとてもあっさりとした口当たり、身の方も出汁が染みていい感じだ。香草焼きにはアイスフラワーを添えて一緒に口に入れる。香草の香りが口の中に広がり、塩焼き味がして、自分で言うのも何だがとても美味しく出来ている。


「ではどうぞ召し上がって下さい」

「それでは……」

「いっただっきまーす!」

「……ふん」


 それぞれ料理を口に運ぶ。直ぐさま反応を見せたのファイだ。


「んー!美味しい!ねね、町の人は毎日こんな美味しい料理食べてるの?」

「いえ、作るのはお父さんだけなので私が作る物よりもっと美味しいですよ」

「ラナさんも十分美味しく調理できたと思いますよ。我々は王都から来ていますが、食事自体は自分たちで用意するので」

「あれは面倒よねぇ、交代制とはいえ当たり外れがあるし」

「ファイが作ると外れどころじゃないしな」

「何か言った?」


 最初の反応の悪さはこれか、私まで料理が下手だと思われいたのか。

 心外だなまったく……。


「でも本当に美味しいです。今度お店に寄らせて頂いても宜しいでしょうか?」

「はい、構いませんよ」

「あ、じゃあさじゃあさ、夕飯お邪魔させてもらおうよ。どうせ解散したら自由行動なんだし」

「そうだな……ではラナさん、今夜伺うとご両親にお伝えください。アーバーンもそれでいいかい?」

「……ふぉう(おう)」


 口にめい一杯詰め込んで喋るなよ。頷くか何かでいいでしょ。気に入ってくれて何よりだけど。


「ゴクン……あのさ……」

「何ですか?」

「……お替わり、あるか?」

「………プッ。アハハハハハハハ!!」

「アーバーン、君はもう少し言葉をだな……」

「う、うるせー!朝食べてこなかったから腹減っているだけだ!」

「採集中も木の実頬張っていたのに?」

「お替わり今用意しますので、しばらくお待ち下さい」


 私はそそくさと川に向かい魚を獲る準備をする。後ろの方でギャーギャー騒いでいるが、あの三人は仲がとてもいいのだろう。何だかんだ言って気心の知れた友人がいるのは羨ましい限りだな。


 友人……か、私には無縁だろうなぁ。




 魚を三匹釣って即席で準備の出来る串焼きにした。アイスフラワーを粉末状にして切り込みに擦り込んでおく。竈の火は消してしまったので、焚き火出来るくらいの薪を用意して覚え立ての魔法を試してみる、無詠唱で。


(炎をイメージしながら……)

「種火!」


 ボッ。


 はぁ…相変わらず小さな炎だなぁ。それでもちゃんと薪に火を付けられるだけマシか。

 焚き火の側の地面に串を刺して焼いていると、思いっきり肩をアーバーンに掴まれた。


「ッ!!」

「おい、今魔法使ったろ!どこで覚えた?!」

「え、え、何?」

「どこで覚えたか聞いてるんだ!」

「ふ、ファイさんに、教えてもら…って」

「ファイ!!」


 な、なんだ?怒らせるようなことをした?私が魔法使ったこと?


「なにー?」

「お前こんな子供に魔法教えたのか!?」

「そうよ、この程度別に教えても大丈夫でしょ?」

「大丈夫な訳あるか!上に知られたら懲罰物だぞ!」


 は?懲罰?なんで、どうして、意味が分からないよ。


「そ、そだっけ?」

「魔法学校出身のくせに知らないわけないだろ!」

「私その辺の細かいルール覚えるの苦手で……」

「お前っ……」

「まぁまぁ二人とも落ち着け、幸いこのことを知っているのは我々だけだ。皆黙っていればいいだけだろ。ラナさんも成人する12か魔法学校に入るまでは他人に知られないよう気をつけて下さい」

「は、はい……」


 へぇ、成人って12なんだ……。

 じゃなくて、そんな大事なのか?


「ったく。いいかお前、魔法ってのは恐れと教えてもらうもじゃないし使う物じゃないんだ。手ぶらで人の脅威となり得る。昔王都で魔法を覚えた子供の魔力が暴発して大惨事になった事件が山ほどあって、それ以来規制を付けられるようになったんだ。ザナカンダの言ったように魔法使いたけりゃ魔法学校にでも行くんだな」


 マジか、暴発で大惨事とか。そんな事聞いてないよ、ファイ!


「ラナさん、種火の魔法は暴発した例がありませんが、まだ起こっていない、若しくは知られていないだけかもしれません。ちゃんと教育を受けて使いましょう。でもその小さな火しか出せないのなら心配はないでしょうけど」


 何だかとても複雑な気分だ。やはり火は別の人が見ても小さいのか……。


 私は言わない使わない事を三人に誓い、魚の焼き加減を見る作業に戻る。





 アーバーンの食事が済み、集会所に戻る準備をする。準備と言っても私の調理器具の後片付けだけなんだけど。

 それにしてもビックリしたな、アーバーンはともかくザナカンダがあんなに凄んでくるとは。それだけ大変な事件だったのだろう、魔法の暴発とか今になって寒気が来る。


 帰り道も特に何のトラブルもなく集会所に着いた。もう皆帰ってきていたみたいで、狩りに同行した子供達はすっかり騎士と仲良くなっていた。私達みたいに少しわだかまりが出来たチームはなさそう。

 ミルは私に気付くと走って出迎えてくれた。


「お帰りー、どうだった?」

(魔法の事は伝えない方が良いよね)

「手料理を振る舞ったら夕飯うちで食べたいっていってきたんだけど、大丈夫かな?」

「ほー、それは父さんも喜ぶと思うよ。……色々と」

「え?」


 何か最後の方言った気がしたけどミルは首を振る。


「んーん、さ、帰ろ」

「うん……」


 また何か企んでるな?まぁいいけど。

 辺りを見回すと、いつも出迎えてくれる町長の姿がない。ついでにあのお爺ちゃん騎士のクリムさんがいない、というより最初来ていた騎士が少ないような?

 そんな事を思っていると、一人の騎士が集会所の入り口で声を上げた。


「皆無事帰還したようなので、これから子供達をそれぞれの家に送り届ける。気付いていると思うが、町長とクリム殿は町に急用が出来たため先に戻っている。送り届けた後は今日一日自由行動だそうだから、皆町に迷惑がないように過ごしてくれ」


 急用か、何だろ?歓迎会でも開くのかな、開くなら是非お父さんの店にって宣伝したいな。


 ミルは私と同じ家と言うこともあり、ザナカンダ達と同行して、ミルと一緒にいた騎士達は集会所で待機するそうだ。

 町が見えてきた頃、紫色の光の筋が真っ直ぐ伸びるのが見え、雲に近いところで弾けて消えた。花火みたいでとても綺麗な色合いで少し見入ってしまった。


「綺麗だったね、ラナ」

「うん、あれ何なんだろ?ザナカンダさんは何知っていますか?」

「…………」


 返事が無い、ただの……。


「ファイ!王都と集会所へ向けて救援のの信号弾を打て!」

「集会所は兎も角、王都には届かないよ?!」

「王都までの間に村があるだろ!何のための設営か忘れたのか?!」

「わ、分かったわよ、いちいち耳元で怒鳴らないでくれる?」

「アーバーンは二人を連れて他の騎士達と王都へ向かってくれ。私は集会所に詳しい指示を聞きに戻る」

「分かった」


 急に慌ただしくなったけど、何が起こったんだろ?救援とか何とか言ってたみたいだけど。


「あのアーバーンさん、何か町で起きたんですか?」

「今は知る必要は無い、黙って俺に着いてこい!」


 アーバーンは虚勢を張っていると分かるほど体がガタガタと震えている。ただ事ではないと言うことだろうか。

 ミルはそんなアーバーンに掴み掛かって声を荒げ、喉元に持ち歩いている包丁を喉元に当てる。

 

「答えなさい、何が起きたの?」

「そ、それは……」

「言わなくても私は町に向かうけど、あの信号弾の意味くらいは教えなさいよ」

「あれは、襲撃を受けたときの避難命令だ。高く打ち上げられたとなると、町全体が襲われたということだろう……」



 ミルはゆっくりと掴んだ手を離し、暫く呆然と町の方を眺める。


(襲撃?誰が?何のために?何で私達の町に?どうして?)

「父さん、母さん……」

「……お姉ちゃん?」


 ミルはそのまま町へ全力で走り出した。

バックアップと携帯が壊れてしまいこんなに遅くなりましたが、まだまだ書いていきます

m(_ _)m

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