俺と妹とジャンクフード
ジャンクフード。それは偶に食べたくなる物である。それは体に悪いものである。でも食べたいものは食べたいのだから仕方がない。という訳で、妹にせがまれて、少々高いが世界一店舗が多いハンバーガーチェーン店よりも圧倒的美味しい店に俺は来ている。
「いらっしゃいませ。ご注文をどうぞ!」
店員が作り笑顔に見られないような笑顔で、注文を聞いてくる。妹はじっとメニューを見てから、店員の顔を見る。
「てりやきバーガーのポテトセット。コーラでお願いします。」
「それを二つで。」
指でも二個と言った風に見せる。すると店員は頷いてから
「かしこまりました。代金は1260円になります。」
と定型文的に言う。財布から、代金を取って渡す。少し待つと、すぐに品物を渡されたので、席を見つけてそこに座る。
「久し振りだな、ハンバーガーなんてのは。」
「はい、本当に久し振りですね。兄さんと出掛けるのも久し振りですよね?」
テーブルの上では笑顔を見せながら、その下で脚を蹴ってくる。周りに気付かない様に蹴ってくるのは卑怯だろう。というか痛いからやめろ。
「悪かったって。俺だって忙しいんだから仕方ないだろ!」
謝りながら、反論する。すると、蹴る力を強めながら口を尖らせながら、ストローを口に含み、コーラを飲む。
「休みになったし、適度に出掛けんぞ。それなら良いだろ?」
「まぁ、そういう事なら許してあげます。……実際、期末考査でそれなりに忙しかったのは知ってますし。」
蹴るのを止めた妹は、頷きながらそう言って、ハンバーガーを手にとってそのまま口に含んだ。頬を緩めながら咀嚼するこの妹は、ちょろい。チョロイン過ぎて、ラノベのキャラなら簡単に落とせる勢いだ。ただ、約束してしまった以上はどこかしらに連れていかなければいけないだろう。そんなことを真面目に考えながら、ハンバーガーを口に含む。口の中に照り焼きの甘さを感じながら、パンと肉、そして野菜が独特のハーモニーを響かせる。何故こんなにも、てりやきバーガーというのは旨いのだろう。妹と二人、黙々とハンバーガーを食べる。途中でポテトも食べながら、只管に食べていく。
「てりやきバーガー、やはり私はこれが一番好きです。兄さんもそう思うでしょう?」
「俺はこれも好きだが、米で挟んだ奴の方が好きだな。」
「む……それは私に対する宣戦布告ですか?」
手を止めた妹と俺の間で火花が激しく散る。確かにてりやきバーガーは美味しいが、日本人なら米だろう米。
「照り焼きは日本人が考えた素敵な調理法です。それを否定すると?」
「否定はしてないだろう。ただ、日本人なら何よりも米だ。米無しで生きられるのか、お前は。」
「これはハンバーガーです。別に米なんて求めていません。おわかりいただけますか?」
ドヤ顔でそう言ってくる妹の額を指で弾く。すると、額を抑えながら後ろに仰け反り、よくわからない声を上げて、抗議してくる。
「まぁ、わかったと言っとくよ。ほら、さっさと食って帰んぞ。」
「……はい。」
不承不承と言った形で、ぼそりと呟いた妹はハンバーガーへと齧り付いた。
そろそろ自宅の兄妹の話を投下しないと、妹さんが超丁寧口調の子に見えてしまいますね、はい。