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俺と妹とネトゲ

「何だこいつ。Fkn noobっと。」


 ショボ沈した味方を罵るチャットを流す。退路を塞ぐ、味方撃ちするのコンボであまりにも酷い味方に当たってしまった。気を取り直して、もう一戦、と思っていると妹が部屋へと乱入してきた。


「兄さん!!ネトゲで暴言吐かれたー!!!」


 そのまま抱き付かれ、強く抱き締められる。余りにも強く抱き締められて背骨が軋む。体が激しく痛むが、落ち着かせるように頭を撫でながら話しかける。


「お前一体何したんだよ……。で、どんな暴言吐かれたんだ?」

「Fuckin noobって言われたー!!」


 どこかで聞いたな、と思いつつも落ち着かせるために話を続ける。そろそろ背骨が折れるかもしれない。


「で、何したんだ?」

「間違えて退路塞いじゃったり、誤クリックで弾当てちゃったり……」

「それはお前が悪いだろ……。あと、あれだ。キャラが崩れてるぞ?」


 そう言った瞬間に、更に強くホールドされて息ができないほどに締め付けられる。というか時間がジャスト過ぎて、それを送ったのは自分だと思う。思うが、絶対にバラしてはいけない。これは隠し通さねば!


「兄さんの……馬鹿ぁ―!!」


 手が離れ、今度は胸板を殴打される。見かけによらず力が強いせいで一発一発がいい音をして、ダメージを与えていく。


「ほれ、痛いから……そろそろやめろ?」


 妹の手首を掴み、動きを止める。すると、ようやく動きを止めた妹は、今度は軽めに抱き付いてくる。そのまま、頭を撫でてやると落ち着いたのか、俺の上からどいた。


「すまん、兄さん。少々動揺してしまったみたいだ。」

「良いさ。可愛い妹の滅多に見せない姿だからな。眼福、眼福。」


 からかうように言うと、頬を膨らませた妹に脛を思い切り蹴られた。


「妹をからかわないでくれ。バカ兄さん。」

「からかっていないさ。俺は妹のことが大好きだぞー、愛してるぞー。」

「そういうことは、是非とも感情を込めて言って貰いたいのだが?」


 どこか満更でもないような表情で、口だけを尖らせてそう言ってくる。

だが妹よ。それは此方のセリフだ。


「まぁなんだ、取り敢えずお前、そろそろ部屋に帰れ。やんきーごーほーむ!」

「私がヤンキーだとしたら兄さんはトミーだろうな。変に気取ってる時あるし。」


 それはミリタリーに踏み込んだことのある人間にしか通じないぞ、妹よ。というかお前は本当に部屋に帰れ。


「所で兄さん。兄さん、これは何をしているのだ?私、このIDを先程見た気がするのだが?」


 やべぇ。これは不味い。何で見つけちまうんだよ。おかしいだろ!

 そう考え、逃げようと椅子から腰を浮かせる、しかし、逃げるよりも先に妹が俺の肩に手を置く。しっかりと固定されて、妹が手を振り上げた。



 その後、居間にまで響く甲高い音が聞こえたと、祖父母は語っていた。

中二病にはキャラがブレるのは良くある話です。ええ。

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