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第三話「正統派とリアナ」

僕は考えた。

きゅうは魔法をこの世界に居る内に慣れてきて使えるようになってくるんだよ!と自信満々意気揚々にドヤ顔で言っていたけれど、そんな簡単に使えるわけがないじゃんよだって魔法だよ?と思ったわけだったがどうかは分からない。

だがしかしこの世の中ただ突っ立ってるだけでお金が貰えるなんて思ったらそんなことあるわけ無くて、やっぱり無理だろうと言う結論に達して、分からないからできるわけがないだろ!までランクアップしたところで、町に着いた。



この異世界にきて初めての町は、いわゆる港町と呼ばれる場所だった。

昔からゲームはしてきているので言える。

RPGで最初の町と言えば、と言うか町とは分類されない。村だ!これは絶対条件。何か凄い異色なファンタジーだったらいきなり魔界からだとか大都市からだとかあるかもしれないがこの世界は正統派ファンタジーの世界だと信じたい。

じゃないとやっていけない気がする。体も心も。ただでさえ正統派で痛んでいるって言うのにここで異色作が飛び込んできたら爆発する。

・・・まあ、自分がどこから来たか改めて最初から考えてみると、最初のそういう公共施設?と言える場所に値するのはラウジいさんの家なんだけれどね。



でもまだ異色作と決め付けるのは早い。だって始まったばかりだもん。

最初から全てを決め付けるのは良くない。これは町にだって、人間にだって言えることだ。断片だけを、外側だけを見て、この人は性格悪い。この人モテそうだから嫌い。好き。そうやって決める人は少なくとも僕は嫌いだ。・・・あ、いやこの場合外側では無くてしばらくその人を観察したうえで、しっかり心の底まで見定めて、嫌いと判断しているわけであって、一切最初から嫌いだと決め付けているわけでは無い。これは理解しておいてもらいたい。



そもそも僕は「何をさっきからぶつぶつ言っているのですれーくん?」・・・思わぬ邪魔が入ってしまったすまない。せっかく今から僕の過去「返事が無い、ただの屍のようだ・・・ぷぷっ」・・・ちょっとお待ちを「うっせえええええええっ!その某RPGのネタをここで使うな!ただでさえ僕は正統派ファンタジーにさえ憤りを感じているっていうのにまったくどういうことだ本当に・・・」



「何だか分かりませんがお困りの様ですね!きゅうでよければ話を聞きますのです!」

「そうだった。元はと言えばお前が何もしなくても魔法は使えると言ったのが僕が自分の思考の世界に入り込んだ発端だった。そうだよ、ここではっきりさせておかなくちゃあな。まったく面倒臭い事を言ったもんだぜきゅうは。よし聞こう。おいきゅう!この世界では本当に何もしなくても魔法は使えるのか?僕にはそうは思えないが」

「・・・・・心の声が全て出てますのですれーくん・・・。まあ、何もしないでも、というのは少し言い過ぎかもしれませんね。ただきゅうが言ったのは、リカバーグラウンドで過ごしていくうちに、もちろんモンスターなんかは出てきます。そういうのを乗り越えた末、経験地等が貯まり、いずれは魔法が使える、と言う事なのです!」

「・・・じゃあただのレベル上げじゃないか!」

「この世界では当然のことですが?」

「僕の居た世界と一緒にするなあっ!」



港町は、その名の通り港と町で、港と町が近くにあるだけのものだ。プラスで言うと海が近い。

門を潜り最初にあるのはレンガ屋根に煙突が付いていてあとは地面に向けて壁があるだけの普通の家の集合体で、サザエさんのエンディングのあの家を想像して貰いたい。そう、いわゆる普通の家だ。

でも辺りに漂う匂いは数百メートル先にある海鮮市場の匂いで、魚介類の体から発せられているものだろう。正確には貝とかもあるだろうが。



・・・よく考えれば僕はどこに向かえば良いのだろう。目的も何も無いではないか。魔王を倒して平和を取り戻すわけでもあるまいし。

・・・いや目的ならあった。危うく忘れる所だった。胸に開いた穴を再び埋めるのだ。僕の大事な大切な宝物との約束。一生かかってでも守ってやる。

ただ、どこに向かえば良いかは本当に分からない。だって実を言うとこの港町の名前すら分からないのだ。と言うか門に思いっきり書いてあったらしいが、全然分からない。そう、読めない。でもきゅうに聞くのも何か癪だし。でも自分じゃどうしようもないし、どうすればいいんだ!


「"Mor" del "ver" o "Ia" del "max", alfi "max ver"」

背後から声がしたので振り返ってみると、本当に人が居いて、何かを喋っている。何にも分からず困っていると、一回一回言語が違うのがかろうじて聞き取れた。これはもしや日本語を話すときが来るかも・・・と根気良く30分ほど待っていると、

「ああもう!これ?これなの?この言葉で良いじゃんもうさあ!何とか言いなさいよ!」

・・・怒ってらした様です。

「あ、あ・・・それです」

「え?本当?やっとだわ・・・もう、でも良かったわ、諦めないで長いこと続けて・・・。でも一人で迷いこんできて、可哀想だものね。ハッ!・・・か、勘違いしないでよねっ!アンタの為に30分も色んな言語を使い分けてアンタに合うものを見つけようとか、そんなんじゃないからね!ふんっ!」


・・・可愛い。


「・・・それで、何か用ですか」

「あ!そうよ、あなたもしかして、異世界人ね!?」

「はい、地球から来ました」

「じゃあ今は何も分からず途方に暮れているって感じかな?」

「途方に暮れてます」

「よし!じゃあ来なさい!」

「途方に暮れているので迷わずついて行きます」



しばらく経つと研究所らしき建物が見え、ここだけは嫌だ止めてくれと思っていたら案の定ここに入った。テンション駄々下がり。

「リカバーグラウンドへようこそ!私はここの案内人長を務める"リアナ"よ!よろしく頼むわ!」

「案内役ならこの糞役に立たないきゅうでいちおうは間に合ってますが」

「いや、その子を役に立たないと思うのは、自分の弱さのせいよ。あなたが成長するにつれ、きゅうも成長するように作られているわ」

「・・・いや強くなった頃にはもうリカバーグラウンドに慣れちゃってる気がするんだけど。弱くてしかも序盤に何も分からず説明してほしいなと思った時に説明してくれて助けになってくれる。それが案内役の僕の理想です。というかこれは一般的な考えだと思います」

「う~ん。いちおう説明できるだけの機能は入ってるんだけど・・・。あなた、きゅうに分からないこと質問とかしてる?」

「いや、僕のと威厳と誇りを守る為、していません」

「何よそれ!それだわそれ!分からないことあったら聞きなさい!誇りを捨てなさい!」

「れーくん、そんなこと思ってたですの・・・」

「はい、そんなことより、早く本題に入ってください」

「・・・っ!あなたが余計な方向に話を持ち込ませたのでしょ!・・・まあいいわ。ここからは長くなる自信があるわ。ただ、この世界を生きていくにあたって、必要不可欠な話となるはずよ。聞いていくならここにいなさい。お茶を持ってくるわ。」

それだけ大事なら、聞いていく他選択肢は無いだろう。

「ふふっ、聞いていくのね。それじゃ、話すわよ。まずは・・・」

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