第二話「きゅうとれーくん」
風が気持ち良い。
家に閉じ篭っていた期間が長いのと、住んでいた所が家の壁に囲まれていて風通しが悪かったことから、余計にそう感じさせる。
あのじいさんは、名前をラウジと言うらしい。
これで少なくとも日本ではないことが・・・いや、もはや地球ではないだろう。
草原は長い。崖の上から見下ろしていた時も広いと感じだが、実際降りてみて自分の足で歩いてみると、さらに長く感じる。これは昔から両親に言われていた、「自分の目で確かめてから信じなさい!」と言う言葉に通じるものがあるが、自分の目で見て、信じてみたとして、どうしようもないこともあるだろう。それが今だ。
「いつ終わるんだよ・・・」
それから半日くらい歩いてこの世の地獄を一回見たところで、丁度良い所に岩があった。
速攻座った。
ラウジいさん(訳す事にした)から貰った食料を食べようと、鞄を開けてみた。
「きゅーっ!」
何か出てきた。
当然のように僕は岩から転げ落ち、食料等をそこら中にぶちまけた。
「あなた様が○○様ですね?お待ちして・・・」
「うっせえ黙ってろ!」
「わわ、手伝いますぅ!」
「うっせえ黙ってろ!」
「・・・はい」
黙々とぶちまけた物を拾い集め、鞄に入れ、岩に再び戻ったところで、
「・・・で?」
「は、はいぃ!あなた様が○○様ですね?お待ちしておりました!自分は”リカバーグラウンド”の案内役を勤めさせて頂いております”Q”と申します!気軽にきゅうと呼んで下さいね?」
「・・・おい朽」
「な・・・なんか字が違う気がします!」
「気のせいだ。それで朽。リカバーグラウンド、と言ったか?それはこの世界の名称なのか?」
きゅうは、ぱっ!と明るくなり、自慢げに説明し始めた。
「そうなのです!○○様が住んでいた、”地球”とは別の空間にありますなのです!最初は戸惑うかもしれませんが、大丈夫です!この世界にいると、徐々に自己の中の真の力が芽生え始めてきて、ラウジさんのように、”魔法”が使えるようになりますなのです!」
(・・・魔法?魔法って、やはりあれは魔法だったのか!そして僕も使えるようになるだって?やったー!やばいやばい、アイツにだけは威厳を保っていないとね)
「魔法が使えるようになるのか?本当に俺でも?」
「はい!もちろんです!」
「よし、ついて来い!」
「!は・・・はい!」
こうしてきゅうが仲間になった。
草原はまだ続く。
「・・・なあ、いつになったらこの緑の景色から離れることが出来るんだ?」
「う~ん、少なくともまだ3日くらいはかかりますね」
「・・・はあ」
こんなことを言っているが、僕は旅が楽しかった。今までずっと閉じ篭って生活をしていたのだから、外にいる、しかもこんな未知の世界でだ。楽しくないわけがないのだ。
「ふんふふん♪ふんふふ~ん♪」
「○○様っ!楽しそうですね!」
「う、うるせえ!た・・・楽しくなんかねえよ!」
「またまた~分かってますよ!」
「くそお・・・」
「ふふっ・・・」
それからまた一夜が明けた。今日は日の出日の入りも目撃したが、これがまた美しいのだ。都会の煙の混じった空とは大違いで、自然の空に、自然の日。やはりこれに尽きる。
「・・・それはそれと、だ。いつも気になっていたが、この際言うことにする。」
「なんですか?○○様っ!」
「僕は名前で呼ばれるのが嫌いなんだ。止めてくれないか。」
「・・・?分かりました。では名前をもじって”れーくん”でいきましょう!」
「・・・好きにしろ」
「はい、れーくん!」
「・・・っ!・・・はあ」
「?どうしたのです・・・うわあっ!」
「どうした?」
きゅうは前方を指差しながら言った
「あれを見てください!」
「!町か・・・」
町があった




