晴天パラソル
それにつけても暑い。
8月の頭になり、今年の暑さもピークになろうとしていた。
じりじりと照り付ける太陽の下、学校へと歩く足取りは重い。テストで赤点を取ってしまったために、夏休みの補習に出るハメになってしまっていたためだ。
もともと成績は中の下、よくて中の中といったところだったが、ここ最近の成績の悪さの原因となっているものは自分でもよくわかっている。例のラブレターの件だ。
あれから手紙の添削のやり取りは3往復していた。相変わらず辛辣なことが描かれているが、時折見せる素のコメントにやられてしまっている。
普段の集中力を乱すのには十分で、この前のテストも全滅だった。仁科も一度赤点をとっていたが、それ以降はいつも通りの高得点を取っていて、補習などとは縁遠いところに行ってしまった。
あの手紙のやり取りも、なんとなく仁科なりの距離の詰め方なんだろうと考えているが、ふと我に返ると何をやっているのかが分からなくなる。仁科は一体どう思っているんだろう?
頭がこんがらがり、余計暑くなってきたので、たまらず日傘を差した。以前までは男が日傘を差すのもダサい気もしていたが、ここ最近の暑さはそうは言ってられない。一度試しに差した時の快適さを感じてから、手放せなくなった。
ちなみに駅まで学校まで歩いて15分ほど。地味にしんどい距離感だ。それに夏休みに学校に行く奴は、僕みたいに補習があるか、部活があるかぐらいだから、人も少ないし、日傘を差していてもあまり気にならない。
とぼとぼと歩き学校まであと5分ほどの曲がり角まで来たとき、ぎょっとたじろいでしまった。仁科と出くわしたからだ。
「あっ……おはよう」
「おはよう」
どぎまぎとしながらなんとか挨拶を交わす。夏休みだし顔を合わすことがあるとは思わなかった。仁科は制服を着ているから、学校に用があるのだろう。駅では見かけなかったし、電車以外のルートで通っているようだ。
挨拶をした手前、そのまま二人で並んで歩いてしまっているが、手紙のやり取りをしているとはいえ、普段口を交わしているわけじゃないので、話す内容がすぐに出てこない。そういえば仁科は何しに来たのだろう?
「学校に何か用があるの?」
「部活があるの」
「へえ……」
暑さのせいで、上手く会話を広げられない。僕は何をやっているのだ。なんとなく気まずい空気感が流れてきてしまい焦ってきた。
そこでふと仁科は日傘を差していないことに気づいた。女子と並んで歩いていて、僕だけ日傘を差しているのはものすごくかっこ悪い気がする。最近は女子も日傘を差して登校しているのを見かけるが、仁科が差しているのを見たことがない。なのになんでそんな肌が白いんだ?
この空気をなんとかせねばと気が動転し、勢いで変なことを言ってしまった。




