コラム:音楽の女神ミューズ
◆ 音楽の女神ミューズ ◆
語り手おねえさん:
●そもそも女神なんているの?
そのお姿を見たという話は聞いたことがありませんし、
私も例に漏れないんですけどね。
【実在します】。
明確なご神託はただ一つ、「音楽を止めるな」。
カーネギーが音楽の都とまで呼ばれるようになったのは、
ひとえにミューズ様のご加護のお蔭なんですよ。
明確に音楽家を庇護されてます。
その噂が放浪型のトルバドール達によって大陸に伝播して
音楽家たちがカーネギーに集うようになったのですね。
大体二百年くらい前の話です。
●女神のお仕事
楽壇カードってあるじゃないですか。
冒険者ギルドが登録冒険者に発行するギルドカードの
音楽家版のやつです。
あれ、音楽による収入を自動計上したり、
それをお財布代わりにできたり、
自動的にランキングされたりできるって
ものすごいハイテク……っていうか
スマホ全盛の現在でも実現不可能なテクノロジーだって
思いませんか?
そんなことを全カード分、しれっとやっちゃう。
これがミューズ様いちばんのお仕事ですね。
あと、楽曲提供や使用料などの契約金額も勝手に算出し、
契約書面を勝手に書き換えて算出金額を勝手に振り込む。
楽壇の登録者たちにとって契約とはそうしたもので、
それが当たり前になっているんです。
違和感を抱いちゃうのはお姉さんが転生者だからですかね?
●楽曲奉納
普通、神様に感謝を捧げるのって
お祈りするかお賽銭をちゃりーんするかですよね?
でもミューズ様は音楽を司る女神様なので、
そういう普通の感謝ってあんまり喜んでくれないんです。
じゃあ、どうするかっていうと、
【新曲を奉納する】
ことを喜ばれるんですよね。
やり方は簡単で、新曲を演奏するとき、
オーディエンスの一切いない状態で、
奉納する旨を心で思うだけでいいんです。
奉納がなされれば、気持ちがちょっとふわっとして
あ、届いたなって心が理解します。
大事なことは【最初の一回】奉納したら、
あとはその曲を好きに扱っても良いという点です。
楽壇登録者でなくても、ちょっといいことがあったときに、
即興の鼻歌や口笛を奉納することが、街の風習となっています。




