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トルバドーれ! ライナーノーツ  作者: 袴田八峰


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18.目を閉じて私を見て

■18.目を閉じて私を見て■


 【リリース】:第二十一幕三席


 【作詞】:ポメロ(協力:エレクトラ)


 【作曲】:ポメロ(協力:エレクトラ)


 【V.】:エレクトラ


 【熱情の名前】:迷子になって立ち竦む少女


 【熱情の形状】:揺らめく人型の煙

 

  特筆すべきは呼吸《ブレス》である。

  エレクトラという歌手の呼吸そのものが、

  歌詞よりも楽曲よりも雄弁に唄うのである。

  彼女という存在を。


  ディープブレス。

  そこに現れる心を整えんとする理性。

  スナッチブレス。

  今まさに心が追い詰められんとする危機感と悲壮感。

  サイレントブレス。

  絶望と諦念。その受容と消耗。

  オーディブルブレス。

  それでも、なお――――――


  シャンソンというジャンルとこの評に感じるものがあるのならば、

  是非八番舞台に足を運んでいただきたい。

  この楽曲を真に味わい、理解するには、

  スコアや音源だけでは不十分だからだ。


  ステージに立つエレクトラの姿。

  そこにきっとあなたは、寒くて暗い霧に満ちた孤島に立つ、

  ただ一基の【最果ての灯台】を見るだろう。




 語り手お姉さん:

  この歌はエレクトラさんその物なんですけど、

  それはノフラージェの歌姫時代の彼女の鏡像なんですよね。


  【受動的な停滞】。


  そのエレクトラさんがこの歌を得、

  八番舞台に受け入れられ、

  自らの人生を再び歩み始めた――

  一個の人間としては光指す未来へ向かう

  素晴らしい成長ではあるんですけど。


  そうなればそうなるほど。

  人間性を取り戻せば取り戻すほど。

  彼女はこの歌から乖離してゆくのです。


  良い事、なんですけどね。

  幸せになりたいのならば。


  でも、己の人としての幸せよりも、

  今のスタイルで歌い続けることが大事だというのならば。

  彼女は、この歌を手にすべきではなかったでしょう。


  まあ、「表現者あるある」の負の側面ということで。

  


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