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愛と正義の言霊使い、アマネ!  作者: 優斗
第一章 アマネ VS ヤクザ
3/17

おばあちゃんのありがたい天の声なんです

 何故、こんな事になってしまったんだろうか。

 黒塗りの高級ベンツの後部座席に座りながら、天音は頭を抱えていた。チラリと両脇を見ると、強面の男が二人、天音を挟むようにして座っている。まるで針の筵に座らされた気分だ。生きた心地がしない。

 銀二達に連れられ、天音は関東指定暴力団『矢口組』の屋敷へと向かっていた。

 一体、自分はどうなってしまうのだろうか?

 人身売買、山中埋葬、東京湾コンクリート詰……。天音の中で、最悪のシチュエーションがアレコレと想像される。

 そ、そうだ! こんな時は、おばあちゃんに相談だ!

 天音はポンと手を叩くと、懐から携帯と猫のシールが張られた手帳を取り出した。

 訝しげな表情で、右隣に座っていた銀二が天音を見つめる。


「てめぇ、なにゴソゴソやってんだ?」


「あ、え、えっと、今から天国に居るおばあちゃんに相談しようと思いまして……」


 にへらと天音は笑う。


「天国のおばあちゃんだぁ?」


「ま、まぁ、見てて下さいです」


 そう言うと、天音は手帳を開き詠唱を始めた。


「し、しんらばんしょ、ことはこと、たまは……えっとたま。私は、げんだいしゅしんの名において言霊を発令します。『天声てんせい』!」


 すると、突然手帳から淡い光が発せられ、その光に天音の体が包まれた。光は瞬時に収束し、天音の持つ携帯に吸い込まれる。


「な、なんだ、今の光は?」


「言霊を発令したんです。発令した言霊は『天声』。意味はそのままで、天からの声です。これで、私の携帯に天国のおばあちゃんから格言メールが届く……あ、来ましたです!」


 車内に着信音が鳴り響き、天音の携帯には一通のメールが届いていた。差出人名は『おばあちゃん』だった。


「このメールの差出人が、天国に居るお前のおばあちゃんだって言うのか?」

「はい! 天国に居るおばあちゃんは、いつも私の事を見守ってくれているんです。だから、困った事があれば言霊を使って相談しているんです!」


 天音はニコニコと笑いながら元気よく答える。

 銀二は信じられないと言った表情で、天音を見つめた。


「……メールには何て書いてあるんだ?」


「えっと……」


 天音はメールを開いた。メールには一言、『出たとこ勝負』と書いてあった。


「おばあちゃん……それって、行き当たりばったりってことじゃ……」


「なんともありがてぇ言葉だな、オイ」


 どうやらそれは銀二のツボだったようだ。大笑いしながら、銀二は天音の背中をバンバンと叩く。天音はゲホゲホとむせた。

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