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協力してくれた同盟国への謝罪

「あ、やっと帰って来た!お帰りー」



 エノルム城へと戻って来たコリンを出迎えたのはアリナ、近くにはマルシャにカリーノと何時ものメンバーが揃っている。



「通行証がいらなくなったから返さなくていいって」



 コリンの手には返すはずだった通行証、マスターから正式に頂いた物へと変わっていた。



「使い道はあるのかそれ?」



「まぁ一応持っておくよー」



 エノルム王国へ行く為に利用させてもらったが、他にその通行証がどんな事に活用出来るのかマルシャには分からず。


 これはコリンが持っておく事にする。



「城の方じゃ修繕が行われててしばらく女王の間は立ち入り禁止みたいだよ」



「色々吹き飛ばされたり壁とか壊れたりしたからね…」



 アリナとカリーノの視線の先には、忙しく動くエノルムの兵士達の姿が見える。


 何度も女王の間を行き来しながら、資材を運び込んだりしていた。



「壁についてはお前のせいじゃね?」



「あはは〜ナンノコトヤラ〜」



 大半はグレーゴルによる風魔法で荒らされたのが原因だが、壁が破壊されたのはグレーゴルを殴り飛ばし、壁に叩きつけて壊したアリナのせいだ。



 白猫にその事を指摘された女勇者は、視線を明後日の方向に向けて口笛を吹く。



「その事については何も気にする必要は無い。国が救われた事で負った名誉の負傷という事にしよう」



 そこに赤いドレスを纏い、右手に扇を持つアマンダが一行の前に現れる。



「国は立ち直れそうかな?」



「そうだな…我が国は時間をかけて戻して以前よりも豊かな国にしていくが…」



 コリンの問いに女王は自分の国を元に戻し、そこから更なる発展を目指すつもりだ。



 しかし何か悩んでいるようで難しい表情を見せており、やがて口を開く。




「他の同盟国が急な侵攻取り止めに納得しないだろうな」



「ああ…そういえば今回の戦に参戦したのってエノルム王国だけじゃありませんよね?」



 アリナはベッラ帝国での話を思い出していた。



 エノルム王国は帝国に兵力で及ばないが、多くの国と同盟を結んでいると。



 操られていたアマンダに帝国を攻めるよう誘われ、強大な兵力として彼らは侵攻を開始。



 それが急に取り止めとなって、すんなり納得するとは考えづらい。


 不満から新たな反乱が起こる可能性は否定出来ないだろう。



「特にカランドーラ王国の国王デジールは部下によると今回の侵攻には一番乗り気だったようでな。おそらく不服に思うはずだ」



 カランドーラ王国はエノルム王国に次ぐ、グロース大陸で2番目の大国と言われている。



 此処が侵攻の取り止めに納得出来ず他の同盟国と結託し、エノルム王国と敵対関係になってしまえば、かなり厄介とアマンダは見ている。



 あの時の女王は操られて本来の意識が無かったのだが、そんな事は彼らに関係無かった。



 どうするべきかと、女王は右手の扇を仰ぎながらも考えていると。




「悪いと思ったらゴメンって謝りに行けば良いと思うよ」



 コリンの口から出た解決策、悪いと思ったら謝りに行けば良いと迷いなく言い切った。



「そんな簡単な話ではないぞコリン、外交については単に頭を下げれば良いという訳では…」



 頭を下げて謝罪すれば許してくれそうな男なのかと、アマンダは以前会った事のあるデジールを思い浮かべる。



 絵に描いたような悪人面で下の者にはふんぞり返って上から目線で発言したりと、自分より立場の弱い国には強く出ていた。



 外交では度々あの男のいやらしい視線を感じた事もある。




「直接行ってちゃんと謝ったら向こうも分かってくれるって♪」



 女王自ら足を運んで、直にその王に謝罪すれば誠意は伝わるだろうと考え、コリンは微笑んで言い切った。



「むう…」



 正直あまり気分が乗らない、しかしこのまま何も無く放置はそれこそ大きく反感を買う。


 アマンダは考えた末に決断する。



「分かった、向かおう。ただしコリンも付き添え」



「え、僕も?」



 自分が行く代わりにコリンも同行するように、条件のように女王は言って来た。



「何があるか分からん、妾の護衛をしてもらいたい。親衛隊は負傷してしまってるしな」



「あ、そっか。じゃあボディガード務めるね」



 操られたアマンダが命令を下し、襲わせた際にコリンは反撃の雷魔法で彼らを気絶させていた。



 その詫びも兼ねて魔王自らが女王の護衛をする事になる。



「はいはいはい、あたしも行くから。元々魔王の監視役だし護衛は多い方が良いし」



 アリナも立候補すれば、半ば強引に彼らへ同行。



「コリン1人で充分なのだが…」



「何があるか分かりませんからね〜(コリン君と2人きりになってあれこれな展開持ってく気でしょーが!そんなもんあたしがやりたいっての!)」



 何故お前まで来るというアマンダの視線を、アリナは笑顔で受け流しつつ、内心ではコリンと2人きりの道中を防ごうと企んでいた。






「結局お前達全員ではないか」



 王族専用の馬車でカランドーラ王国へ移動する道中、馬車の中にはマルシャにカリーノの姿まであり、一行全員が女王に同行していた。



「俺はコリンを守る役目があるんでな」



「僕は…えっと…」



「カリーノ君だけ置いてけぼりは駄目でしょー。そういう時に限って新たな敵が襲撃に来て身の危険に晒されるパターンがあるんだからー」



 ルシファーキャットとして見知らぬ土地にコリン1人だけ行かせる訳に行かず、マルシャは当然同行。



 そうなるとカリーノだけがエノルム王国に取り残される、今まで見てきたゲームや漫画なら1人になった時が危ないと、独自の理論を展開してアリナは彼も来た方が良いと語る。



「まあいい…カランドーラはいよいよだ、護衛は頼むぞ」



「うん」



「お任せをー」



 女王の言葉に魔王と勇者が共に頷けば、馬車はカランドーラ王国へ到着。




 城下町に通じる門の前には門番が立っていて、女王の顔を確認すれば慌てて敬礼し、馬車は町中へ入る事が許可される。



 アマンダの急な訪問に驚く者達が居るかもしれない、町中で多少の騒ぎを覚悟しつつ一行が馬車から降りた。



「!?」



 するとアマンダの目に驚愕の光景が映る。



 町の広場に人々が集まりざわついており、誰も女王の急な訪問に気付いていないようだ。



 その中心には恰幅の良い男性、頭に王冠を被り、いかにも国王だと分かり易い格好で、彼がカランドーラの国王デジールと分かるまで時間はかからなかった。




「皆の者、これまですまなかった!必要の無い重税を余は課してしまっていた!今日からそれは無しとさせてほしい!」



 デジールは民衆の前で頭を下げて謝罪する。




「どういう事だ…!?」



 イメージにあった男が頭を下げる姿、アマンダは信じられない様子だ。



 一体彼の変貌は何があったのか、コリン達はこれまでの罪を告白する王の姿を見守るのみだった。

此処まで見ていただきありがとうございます。


アリナ「とりあえず道中の甘いイベントは無し!お風呂でそれはやったからねー」


コリン「あー…えー…」


アリナ「思い出しちゃった?思春期真っ盛り〜♪で、良いのかな?忘れがちだけどコリン君900歳だし…」

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