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桃槃楼  作者: 鳴子ビクニ
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はじまりの話。


 その小さな島国はわりと海の真ん中にあって、当たり前だが大きな国々に挟まれていた。

 挟まれている所以かあっちの国から飛んでくるミサイル的な自称・人工衛星が、国の頭上を越えてどうやらこっちの国へ飛んで行こうとしがちで、飛んで来始めた最初の頃こそテレビもスマホも国民もわーわー言っていたが、100も超えた頃になるとまあ言うてもうちの国は飛び越えるしあっちの国にも届かんしとすっかり油断していた頃。


 その自称・人工衛星は故意か過失かその小さな島国に落ちた。

 そしてそんな時に限って、届かない自称・人工衛星を撃たれまくっていたこっちの国の堪忍袋の緒が切れて自称・迎撃ミサイルが発射されていた。

 自称とはいえ迎撃ミサイルなので当然、落ちた島国へまっしぐら。

 自称・人工衛星と自称・迎撃ミサイルの破壊力はなぜか凄まじく、その小さな島国は端から端まで轟音を立て真っ黒い雲に覆われたまま海の底へ沈んで行った。


 ひとつの島国を沈めた雲は地球を覆い、天変地異が始まった。

 太陽の光が届かず作物も動物も減った。

 小さいとは言え島国が沈んだので地殻変動が起き、大陸の形が変わり、国境があいまいになった。

 あちらこちらで諍いが起こり、石油だけでは世界の燃料は到底賄えなくなった。


 世界は石油の代わりになる燃料の探索と開発に躍起になった。


 届かない太陽光でもなく、吹き荒れる風力でもなく、大惨事を起こさない、開発期間も短くて元手もそんなにかからない燃料。


 とっくの昔にその燃料に気づいた者たちはいた。

 世界も気づいてはいたが表立って言えるわけがない燃料。

 そのまま使えば脂は豊富で、乾燥させれば松明のようによく燃える。熟成すれば良質の蠟が取れた。

 なんならたまに食料にも。

 生きてるうちは良く働き、死して無駄なく燃料となる。


 国境も倫理もあいまいとなった世界で、人間は便利で万能な生き物となった。


 黒い雨も少なくなり、太陽の光もようやっと地上に届くようになった頃世界中の争いもようよう落ち着き始めたが、国のためか理想のためか、はたまた貴重な燃料のためかあちこちの小競り合いはまだ完全には落ち着かなかった。



 そんな時分の、島国に近かった国の話。


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