表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/32

プロローグ



 夢の始まりは、三月十五日。




 堪えきれなくなって、暗闇の中、目を覚ました。

 まるで夢の続きのように心臓がうるさく鳴っている。静まり返った部屋で時計の秒針の音がいやに大きく聞こえる。

 久しぶりにまた、あの夢を見た。

 Tシャツが汗で滲んでいた。

 あの夢を見たあとは吐き気がひどい。起き上がり、キッチンのシンクに向かって嗚咽を繰り返す。

 冷蔵庫から水を取り出してペットボトルのまま飲み干した。

 冷えた水が体を通っていくのを感じた。身体が落ち着き始め、またベッドに戻る。   

 この二年、一体何回この夢を見ただろうか。

 山内直樹は暗闇の中、ベッドにもたれてタバコに火を点けながら思った。

 見なくなったと思ったら、またフラッシュバックのように思い出す。

 まるで戒めのように。

 タバコの匂いに包まれて、ようやく落ち着きを取り戻した。

 時計を見ると、朝の五時すぎだった。外はまだ暗い。眠気は覚めてしまった。

 直樹は立ち上がり、玄関のドアポケットに入っている新聞を取り出した。何かしていなければあの夢が頭を駆け巡る。電気をつけて新聞を読み始めた。

 一面の経済の記事を読み始めた時に、ふと、すぐ上にある今日の日付が目に入った。

 二月十四日。

 突然、蘇る思い出に苦痛を感じて目を閉じた。

 あと一ヶ月で、あの日が来る。


 あの残酷な日が。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] prophetic dreamの方に、続きを希望と感想を記そうとしたら、こちらが始まっていてビックリしました。さらに不思議が増えるのですね。今度は最悪を想定しつつ読み進めなくてもいいのです…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ