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七十二話、真鍋秋は思いました。これは終わったなぁ、と。

トースト咥えて角を曲がっても、出会いはありません!

「えー、今日から新学期だが。夏休みは悔いなく過ごせたかお前等?」


 そんなありきたりな台詞から始まった朝のSHR

 教卓に立っているのは、担任兼茶道部顧問のサトケンだ

・・・サトケンをお忘れの方、簡単に説明します。どこにでもいる普通の男性教師、ただそれだけの男であります。


 夏休み明けで浮ついていた僕等は、担任の言葉には答えず友達同士で雑談をしていた

 そんな生徒達を見て、サトケンがため息を一つ。


「はぁ・・・あぁ、そういや。ちょいと小耳に挟んだんだが、お前等みんなで海に行ったそうじゃないか?」

 その言葉に「え? 先生なんで知ってんの?」と驚く生徒達。


「馬鹿。教師をなめんな、それくらいお見通しだ」

 おぉ、なんかちょっと見直した。


「・・・いいよなぁ学生は。俺も行きたかったなぁ海・・・」


 恨めしそうに言いながら二度目のため息をつくサトケン。

 なんだそれが本音か、とクラスに苦笑が沸いた


「まぁ、いい。そんな夏を満喫してきたお前等に、嬉しいお知らせが二つある」



 唐突だなぁ。と思っていた僕は、次のサトケンの言葉を聞いて驚愕した


「まずは一つ目、なんとあの帰宅部で有名な真鍋秋が部活動を始めた! 先生自身、物凄く驚いたんだが―――」

「ちょ!? なんですかその報告は!?」

 慌ててサトケンの台詞を止めにかかった

・・・なんて事を言いやがりますかこの教師は!? これじゃさっきの苦労が水の泡だよ!!


「なんだ真鍋? 別に隠すことじゃないだろう? これでも先生は嬉しいんだぞ?」

「知りませんよ!」


 言いながら、前の厚樹を見る

・・・ここで茶道部の件が出てくるなんて思いもしなかった。厚樹はどんな反応をするのだろうか?


「えっと、厚樹? これには、深いわけが・・・うぉっ!?」

「・・・・・・」


 ・・・厚樹は、硬直していた

 教卓の方を見つめながらピクリとも動いていない。


「おい、厚樹?」

「・・・・・・」


 とんとん。と肩を叩く

 ・・・無反応。


「おいってば!」

「・・・・・・」

 無反応。


「あーつーきー!!」

「・・・・・・あ? なんだ、秋か?」


「なに固まってるのさ?」

「はぁ? 固まるって、なんの話だよ?」


 ようやく反応した厚樹は記憶が少しぶっ飛んでいた

・・・丁度いい。せっかくだから、このまま入部の話は無かったことにしよう。


「あぁ、いや。なんでもないよHAHAHA,」

「・・・? わけわかんねー」


「いいから、さっさと前向きなって」

 前を向くよう促しながら、このままごまかせる。と確信したその時、僕等のやり取りを見ていた美咲が、横から一言



「大丈夫か厚樹ー? 秋くんが部活に入ったことがそんなにショックかー?」

「美咲さぁぁぁあああああん!!??」

 わざとだ! 絶対わざと言ったよこの人!?


 美咲の言った一言に、前を向きかけた厚樹が振り返る


「あ、秋が部活だと!? ・・・おい! どういうことだ!!」


「・・・美咲」

 厚樹の怒声を聞きながら、美咲に抗議の目を向ける

「っふっふっふ。これで秋くんは白状するしかなくなったね!」

「そ、そうきたか・・・」

 なるほど。さっき又二郎を使って難を逃れたと油断していたが、まんまとはめられたってことか。

・・・美咲、恐るべし。と肩を落とす


「美咲もタチ悪いわね。あんた秋が入部したこと知ってたじゃない」

 見かねたようにさつきが言う

「まぁね、でも入部した理由は知らないし。さつきだって知りたいでしょーに?」

「・・・それは、まぁ」

「だろー? 素直になれってさつき!」

「わかったわよ。というか、秋もいい加減白状しなさい」


 ・・・一瞬にして、先程と同じ状況が出来上がってしまった。


「・・・はぁ」

 仕方ない。もう一度又二郎に頼るか、とベランダの方を見ると



「なるほどなるほど、実に興味深い・・・」

 ・・・ヤツはバスケ雑誌を読んでいた。


「又二郎ー、バスケの話でもしないかー?」

「・・・んー? あぁ、すまん。今はちょっと」

 すがるように呼びかけるが、ほぼスルー。

 当然だ、ヤツはバスケのこととなると誰にも止められないのだ

・・・つまり、バスケ雑誌を読んでいる又二郎を頼るのは、不可能。


 これは終わったなぁ。とベランダから視線を戻すと

「おい! 聞いてんのか秋!」 

「白状したまえ秋くん!」

「もう諦めたら?」

 厚樹、美咲、さつきという三人の尋問官。

 ・・・これは、終わったなぁ。完全に。




「おーい、後ろの5人ー! 頼むから、先生の話を聞いてくれー・・・」

 そんなサトケンの嘆きを聞きながら、


「とりあえず、今日の放課後。茶道部部室で説明するよ」


 みんなに向かって、そう提案した・・・


次回、白状!






秋:今回の次回予告最悪だね。

又二郎:そうか? でも実際白状するわけだし、いいんでね?


厚樹:まぁ、この作者が最悪なのは今に始まったことじゃねーだろ?

秋:あぁ、確かに。この作者が最悪なのは、今更言うことでもなかったよね。


又二郎:・・・次回予告の話だったよな!!?


厚樹;そうだっけか?

秋:・・・さぁ?


又二郎:最悪だなお前等!!?


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