六十話、姉、茶道部部室に舞い込む!
冬休みも明けまして・・・大変、お久しぶりです!!
昨日。結局全て問いただされてしまいました
僕が女の子と一緒に部活をしていると知った姉は、予想通り僕を散々茶化しました
正直、ここまでは良かったんです。そこで姉が満足してくだされば、今日、僕が茶道部部室を訪れることは無かったんです。
しかし、この世の神は、死んでいました。
僕を散々茶化した後、姉は言ったのです『面白そうだから、明日茶道部に連れて行ってよ』と。
当然拒否しましたよ。でも僕には、あの鬼姉を止めることは出来なかったんです・・・
そして本日。姉の言葉どおり、姉を引き連れて茶道部部室に・・・やって来たんだよちくしょおおおおおお!!!
なんでこの忙しい時に、姉と一緒に部活動をしなきゃならないんだ! 訳わかんないよ! どうなってんだよ僕の夏休みはぁああああああ!!
そんなことを心の中でひたすら叫んでいると、あっという間に茶道部部室にたどり着いてしまった
「・・・着いたよ、姉」
「え? こんなところにあるの?」
僕が部室のドアを指差すと、ようやくその存在に気付く姉
「ホントね。こんな旧校舎の隅にあるなんて・・・なるほど、こんなところで活動してるから誰にも知られてないのね?」
「その通りだよ」
「ふむふむ、ここなら美少女二人にいかがわしいことをしてもお咎め無しって事か・・・」
「いやいや。そんなことはしてません、しません、絶対に」
いかがわしいことって、姉はどんな部活動を想像してるんだろう
ちなみに、僕が未来か有紀にいかがわしいことをしようものなら・・・間違いなく、僕は死ぬ。有紀の手によって、滅される。
「えぇー・・・でも、女の子二人と一緒に居るんでしょ? 密室で」
「それはそうだけど」
「・・・欲情しないの?」
「するか!!」
ってか、何の話だよ! 訳わかんないよ!
なんで姉とこんな話しなきゃなんないんだ!! もう一回言うよ、訳わかんないよ!!
「はぁ・・・そんなことより、何気にサボってるけど、部活はいいの? キャプテンさん?」
「部活なんて毎日行ってるんだから、一日くらいいいの! それより茶道部よ! ホラ、早く入って!」
それでいいのか、バレー部キャプテン。
多分、茶道部に興味深々でバレー部どころではないのだろう。「早く行け」と言わんばかりに、僕の袖を引っ張る
「はいはい・・・行けばいいんでしょ?」
言いながら、ため息を一つ
・・・ここまで来たら、もう引き返せないしね。と自分に言い聞かせながら部室のドアを開いた・・・
「あ、おはよー 秋君! ・・・あれ? えと、そっちの人は?」
「おぉ秋氏。入部三日目にして、恋人を部室に連れ込んで来るとは・・・一体何様のつもりだ?」
部室に入ってすぐ、例の『美少女二人』に迎えられる
・・・というか、有紀の顔が怖いです。助けてください。
茶道部の面々は相変わらずだった
未来はいつも通り宴会机にばら撒いたお菓子を幸せそうに摘まみ、有紀はテレビの前を陣取りプ○ステ三昧。
「どうですか、バレー部キャプテン真鍋夏さん。これが例の茶道部ですよ?」
言いながら、隣の姉をちらりと見やる
日々辛い練習に明け暮れている姉は、この惨状を見てどんな反応をするのやら
「・・・」
「・・・? 姉?」
「・・・こ、これが・・・『部活動』?」
信じられないといった様子の姉。バレー部と茶道部を比較すれば、月とすっぽんだろう
・・・まぁ、正しい反応だね。
「あ、あのー 秋君、そっちの女の人は・・・?」
この状況に混乱している様子の未来が、姉のほうをちらちらと見ながら聞いてくる
「ごめんごめん。紹介するよ、こちら僕の姉の真鍋夏です」
「あ。えっと、いつも秋がお世話になってるみたいで・・・
今日はウチの秋が迷惑をかけてないか心配で来たんだけど・・・いきなりでごめんね?」
おい。なに奇麗事言ってんだ姉。
姉が自己紹介をしたところで有紀が「ほぉ」と、意味ありげに言う
「あ、あの! こちらこそ、いつも秋君にはお世話になってます! あたし、浅田未来って言います!」
「私は服部有紀です。なるほど、このお方が秋のお姉さんか、噂通りの美人さんだな」
続いて 未来、有紀の順で自己紹介と簡単な挨拶を交わした。
その後、未来がポツリと・・・
「ほっ・・・なんだ、秋君のお姉さんだったのかぁ・・・」
「ふふっ、良かったな未来?」
「ば、バカヤロウっ!!!!」
・・・何か言っていたのだが。声が小さすぎて僕には聞こえなかった。
それから未来と有紀の二人が「せっかくだから、夏さんの歓迎会をやろう」と言って、早速ささやかな歓迎会を開くことになった
「客人をもてなすのも茶道部の活動の一つだからな。夏さん、何も無い部室ですがゆっくりして行ってください」
そう言って適当なジュースを紙コップに注ぎ、姉に手渡す
・・・僕の時とはえらい違いだな。
「えぇ、そうさせてもらうわ。ジュースありがと」
ジュースを受け取った姉は、宴会机の前に座る
「・・・ちなみに秋氏は部員なので、ジュースは自分で汲め」
「わかってるよ」
なんだこの扱いの差は。
「あ、あはは・・・ほらほら秋君! 気を落とさないで、こっちでお菓子食べよう!」
「未来・・・っ」
やばい、未来の優しさに泣いてしまいそうだ。
涙を堪えながら、未来の隣に座る
「未来は優しくて最高です。どこかのケチ女とは違います」
座りながら、ボソリと呟く
「・・・さて、そろそろ『秋氏、最後の晩餐会』を始めようか」
「冗談です! すみませんでした!!」
どんだけ地獄耳なんですか、あなた。
「もー! せっかくの歓迎会なのに、喧嘩なんかしてないでよ!」
「うぐ。」「・・・」
まさかのお説教。珍しく未来が怒鳴ったので、僕達は途端に黙った
・・・未来は、言うときはバシッと言う女の子だった。
「・・・よし! それでは! 秋君のお姉さん、真鍋夏さんの歓迎会を始めまーす! みんな、かんぱーい!!」
「なにっ!? 未来が音頭をとるだと!?」
「予想外デス・・・」
「おっしゃー! ガンガン飲んじゃうわよー! かんぱーい!!」
そんなこんなで『夏さん歓迎会』が始まったのだった・・・
「茶道部最高ー!! もう帰りたくないーっ!!」
「っはっはっは、気に入って貰えましたか。流石夏さん、部活を見る目がありますね」
言いながら、姉の紙コップにお酌・・・じゃなくて、ジュースを注ぐ有紀
「・・・姉、なんか酔ってない・・・?」
「う、うん。そんな気がする・・・」
歓迎会が始まってすぐに、姉の様子がおかしくなった。
なんというか、有紀に注いで貰っているジュースを飲むたびに、姉のテンションが上がっていくのだ
・・・まさに酔っ払いの如く。でも、飲んでいるのはジュースの筈・・・多分。
有紀はどんどん姉の持つグラスに『グレープジュース』と記された大きな瓶を傾ける
グレープジュースにしては、やけに濃厚な赤紫色の液体がコポコポと注がれていく・・・というか、紙コップがワイングラスに変わっているのだが。
「あら、ありがと有紀さ・・・ヒック。ん」
おいおいおい! 『ヒック。』って聞こえたけど!?
「ははは、有紀でいいですよ。夏さんは先輩なんですから『さん』はいりません」
「そうー? ・・・じゃぁ有紀って呼ばせてもらう、ヒック、わ・・・ヒクッ」
・・・なんか、親睦深めてるし。
「えと、有紀? それは本当にグレープジュースなのかな・・・?」
「どうみてもワインだよね? それ。」
今まで黙って見ていた僕達だったが、恐る恐る聞いてみた
すると、有紀は不思議そうな顔をして、
「何を言っているんだ二人とも。ちゃんとここにグレープジュースと書いてあるだろう?」
そう言った有紀は『グレープジュース』と記された瓶を、僕等に見せる
・・・その瓶自体、とても怪しいのだが。
「それじゃ、有紀。ちょっと飲んでみて?」
そんな有紀に未来が提案する
ちなみに、有紀はそのジュースを一口も飲んでいなかったのだ
「・・・ふむ。そこまで疑うのなら、仕方ない」
僕等が見守る中、自分の紙コップにグレープジュースを注ぎ、一気に煽る有紀
「んぐ・・・んぐ・・・んっ? ・・・あ、これは・・・」
すると、彼女は「しまった」という顔で硬直してしまった
「ちょ!? 『これは』ってなにさ!? ・・・や、やっぱりそれ。inアルコールだよね?」
「ははっ、何を言うかと思えば・・・秋氏、これはグレープジュース。inアルコールな訳無いじゃな・・・ヒック。いか」
「いやいやいや、明らかにinアルコールだよそれ! ・・・ちょっと! 何さりげなく冷蔵庫に戻そうとしているのさ!?」
有紀は「いや、教師にバレたら退学モノ・・・ヒクッ」と言いながら、例の瓶を冷蔵庫の中に戻した
「ぐーっ・・・あぁっ、葡萄の国ーっ・・・ぐーっ・・・」
「「「・・・葡萄の国・・・?」」」
その後、気持ち良さそうな寝息を立て始めた姉を皆で眺めながら・・・
「結局、あれはなんだったの?」
そう尋ねてくる未来に、
「・・・グレープジュース、だったんじゃないかな・・・?」
「あぁ。あれは、間違いなくグレープジュースだ」
僕と有紀は、適当な回答をしておいた・・・
厚樹:うおらぁぁあああああああ!!!
又二郎:ぐはぁ!!
秋:天誅!!
又二郎;あべしっ!
厚樹:久しぶりの更新だなぁ・・・又二郎?
又二郎:はは、そうでございますね・・・
秋:何だっけ、例の作戦?冬休み書き貯めけいかくぅ・・・だっけ?
又二郎:すみません!!ごめんなさい!!
厚樹:ふ、事情を聞かせてもらおうか。
又二郎:はい
秋:まず、お前は成績が悪いと。
又二郎:はい
厚樹:んで、冬休みの宿題も手を付けずに毎日遊び尽くしていた、と?
又二郎:・・・はい。
秋 厚樹:あほかお前はあああああああああああああああああああああ!!!
又二郎:ひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!