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五十四話、お久しぶりです。西山厚樹です。

ドラ○エのクリアした時の喜び!!

「ただいまー!」


 有紀との話し合いが終わってすぐに、にこにこと上機嫌で部室に戻ってきた未来

 適当にくつろいでいた僕と有紀は揃って「おかえりー」と出迎えた


「で、僕は入部できる事になったの?」

「なんかねー サトケンが妙に張り切ってたから、すぐに入部できると思うよ?」

 僕の隣に座りながら、嬉しそうに結果報告。どうやら、無事に入部することができたらしい

・・・厚樹にはなんて言おう、いきなり部活やるなんて言ったら驚くだろうな。



「っていうか、本人に話くらい聞いてくれよ、担任。」

 ・・・この学校絶対おかしいだろ。

「それが、ご都合主義というヤツだ秋氏」

「・・・ごつごう・・・は?」

 急に意味不明なことを口走る有紀、

なにを言っているのかよくわからなかったけど、まぁいいか。


「サトケンが『俺の熱意が届いた!』って秋君が部活に入るの喜んでたし・・・えっと、あたしも嬉しかったし。止めるとかしなかったんだけど・・・だ、駄目だった?」


 唐突に隣の未来が申し訳なさそうに言う。

どうやら、さっき僕が言った台詞を悪い意味で勘違いしたらしい


「そ、そんなことは・・・」

 数分前まではめちゃくちゃ嫌だったんだけどね

とは、死んでも言えませんな・・・―――っ!? なんだ! 急に悪寒が!?


 そんなことを考えていると、急に背筋が震えだした

一体何事だ、と辺りを見渡してみると・・・



「・・・・・・」

 悪寒の正体は有紀だった。プ○ステに集中していたのかと思いきや、なんか物凄い形相で僕をにらんでいる

・・・僕、なんかしたっけ? 全く身に覚えが・・・ん?


 訳がわからずうろたえていると、ゆっくりと有紀の口が動き出した

 声は出さない。つまり口パク。・・・非常に面倒だが、有紀がなにを言いたいのか読み取ってやろう

そう思った僕は、有紀の口の動きを注意深く観察する



 未 来 を 傷 つ け た ら

ふむふむ。ここまではわかった、次は・・・


 お 前 の 晩 飯 に

はいはい・・・


  一 服 盛 る ッ !

「・・・・・・」

 多分、最後の台詞は読み違えたんだろう。そうだと願いたい

とりあえず、今晩から夕食時には家の戸締りをしっかりとしよう。そうしよう。



 それだけ言って彼女は再びテレビに向き直り、プ○ステをやり始めた

僕のほうも、冷や汗をだらだら流しながら、未来に向き直る


 とりあえず、彼女になにかしらフォローしなければ! しなければ、僕は今晩で・・・・・・DEATH or DIE!!!

「み、未来!」

「うわっ! 急に大声出して、どうしたの秋君?」


 緊張しすぎて声が裏返ってしまった

・・・お、落ち着けっ。ここでしくじると今晩死ぬ! なにか未来に、気の聞いた一言を言ってやらねば!!


「み、未来・・・あの・・・」

「うん?」


 そうだ! あのとき有紀が言っていた言葉だ! アレを使えば・・・っ!!


「いやぁ! これから『毎日未来みたいな、かわいい子とお菓子が食べられるなんて、夢のようだ』!!」

「・・・え? ・・・えぇえええええ!!? 秋君!!?」

「・・・へ? あ。」


 なに言ってんだ僕はぁああああああああああああああ!!?

 勢いで言ってしまったとはいえ、これは酷い! 酷すぎる!!

ここで未来を怒らせてしまったら終わりだ、なんとかしないと・・・


 慌てて未来の顔色を窺うと、

「そんな下心満載な理由で入部するなんて・・・!?」

 とても機嫌が良いとは言えなかった


「・・・うぅ」


 俯く未来。頬を伝う汗。そして、背中に感じる有紀の視線。

・・・あ。死んだな、これは。


 そう思ったとき、未来はばっと顔を上げた

「そ、そういうのは良くないと思うけど! ふっ、ふふふ不純だと思いますけどっ!?」

「いや・・・その、つい勢いで・・・」


 収拾がつきません。どう見ても、彼女は怒ってます

さようなら、僕の短かった人生。さようなら、僕を支えてくれた皆・・・急な話で悪いけど、僕は・・・今日死にます。


 とりあえず謝ろうと、頭を深々と垂れた・・・その時、



「ふ、不純だけど・・・だけど! その・・・こちらこそ、よろしくお願いしますっ!!」

「・・・はい、本当にすみませ、ええ? よろしく??」

 諦めかけたその時、未来の一言に頭を上げた

すると、目の前には、顔を真っ赤にして手を差し出す未来の姿が。

・・・ドユコト?


「え・・・えっと? う、うん! よろしくね、未来!!」

 なんかよくわからないけど、とりあえず差し出された手を掴んだ

有紀と同じ『入部しました、よろしく』という意味の握手でいいのだろうか?


「えへへ、これで部員が三人だねー」

「そ、そうだね! 実に喜ばしい!」

 それから「っはっはっは!」と、お互い高らかに笑ったのであった・・・




 その後、未来は何事も無かったかのように持参したお菓子を食べながらくつろいでいた

 特に機嫌が悪い様子も無く、どうやら僕の夕食に一服盛られることはなくなったらしい


 命の危機を脱したことに安堵し、恐る恐る有紀のほうを見ると・・・

「・・・?」

 彼女はまた口パクで何かを呟いていた。今度は一体なんだろう。と、もう一度彼女の言いたいことを読み取る



 未 来 と ラ ブ コ メ っ た ら 、 殺 す ッ !

・・・さようなら、僕の短かった人生。



 そんなこんなで、入部初日の部活動は過ぎていった・・・







 その翌日。厚樹視点。



 ぴんぽーん。ぴんぽーん。



「こんちはー! 秋いますかー!?」


 秋の家のインターホンを鳴らしてから、家の中に向かって声をかける


「・・・あれ? おっかしいな?」

 しばらく待ったが、応答無し。もしかして留守か?

とりあえず、もう一度声をかけてみようと息を大きく吸ったところで



 がたがたっ、ごとんっ

家の置くから、物音らしい音が聞こえてきた


「・・・なんだ、誰かいるんじゃん」

 いるなら、返事くらいしても良いのになぁ。と疑問に思ったところで、俺の悪い予感が疼いた

・・・いやいやいや! 待てよ!? この家に他人の挨拶を返さないような、冷たい人間は存在しないはずだ!!


 まさか泥棒!? 馬鹿なっ、こんなド田舎に泥棒がいたとは・・・っ!!

 ここは、他でもない秋の家。秋の母さん、そして夏さんという二大美女がお住まいの一軒家・・・秋が不在の今! この家を守れるのは俺だけっつーことだ!!


「西山厚樹! 行きまーす!!」


 厚樹は今日もバカだった・・・

 



 物音がする部屋の前に辿り着いた俺は、ゆっくりとドアノブに手をかける

・・・まだ物音は鳴っている。獲物は確実に、この中!


 ばぁんっ!!


「うおらぁああああああああああああ!!」

 気合を入れて、部屋の中へ一気に飛び込んだ

これに驚いた隙を突いて、獲物を仕留める!!



「あああああ、あぁぁ? ・・・あ、あれ?」

 ・・・仕留める、筈だったのだが

 寸前まで物音のしていた部屋には、誰も居なかった。それどころか気配一つ残っていない。


「・・・そんな、馬鹿な・・・ん、あれは・・・」

 

 驚きながら部屋を見渡すと、なんとなくクローゼットに目が留まる

 ・・・どう考えても、あそこしかないよな?

この部屋に、あのクローゼット以外に隠れられそうなところは無い。


「行くか・・・」


 ゆっくりと、クローゼットに向かって一歩を踏み出した。その時。


「甘い! 甘すぎるぞ厚樹ィッ!!」

「―――なっ!? 上だと!? ・・・うぉ!」


 頭上から、男の声。

 慌てて顔を上げ頭上を見ると、そこの移ったのは・・・大きく広げられた毛布。


 その毛布は、一瞬にして俺に覆いかぶさった


「んだよこの毛布!? くそっ、取れねぇー!!」

 敵ながらあっぱれなジャストミート。頭から毛布を被った俺は、うまく身動きが取れないままに暴れ回る

・・・っく! なんだこの泥棒、レベルが違うわ! 畜生、泥棒退治なんてしなけりゃ良かった!


「っはっはっはっはっは! 相変わらず威勢だけはいっちょ前だな! 厚樹!」

「・・・はぁ!? っつーか、なんで俺の名前知って・・・まさか!?」


 そういえば、この声って・・・


「『まさか』の、俺だぁ!!」

 男が楽しそうに言いながら、毛布を剥ぎ取った

「マジかよ! 秋の親父さん!?」



 俺が泥棒と勘違いした人物は、秋の親父さんだった

 たまにしか帰ってこないから、この人がいる可能性を考えていなかったのだが

・・・まさに神出鬼没だな。


「久しぶりだな厚樹! 元気にしてたか!?」

「あぁ、もちのろんだぜ! そうだ、親父さん帰ってたなら挨拶くらいしてくれよ。ウチの親父も会いたがってたし」


 秋の家とは家族ぐるみの付き合いなので、親同士も仲がいい

秋の親父さんが帰ってるって知ったら、親父喜ぶだろうなぁ

「んぁ? おぉ、そうだな! せっかくだから、たまにはアイツと酒でも飲んでやるか!」

 そのときは是非混ぜてもらおう、と思いつつ、

「そういえば、てっきり泥棒かと思っちまったけど・・・親父さんはここで何やってたんだ?」


「ふ。それを聞くか、厚樹・・・」

 聞いた途端、怪しく笑う親父さん

一体、こそこそとなにをやっていたのか。


「・・・実はこのクローゼットの中には俺秘蔵のエロ本があるんだ」

「何だと!!?」

「たった今このエロ本の隠し場所を移そうとしてたんだが、お前に見つかっちまってな・・・せっかくだから、このエロ本の隠し場所を厚樹の部屋にしてやろうか?」

 ・・・それは、俺もその秘臓エロ本を自由に見られるというお得付きな条件な訳で。



 真剣な顔で提案してきた親父さんに、キラリとグットサイン

「流石だな、厚樹」

「ふ、今更何を言いますか。我々は同志、共に助け合いましょう」


 父上と厚樹。男同士の、熱い友情が芽生えていた・・・


次回、久しぶりのファミレス!









厚樹:何だよドラ○エって!!

又二郎:ふ、ファ○コンをタンスの奥底に仕舞い込んでいる貴様にはわからん話さ。


秋:その通り。ドラ○エの真髄はファミコンにあり!!

厚樹:てか大きいのか!?これは!!?


又二郎:クリアした時の喜びは大きいぞ!!

秋:ほぉ、ちなみに最後につけてた武器は何だった?

又二郎:光シリーズだったか、光の大剣、光の剣、それから・・・


厚樹:もういいわ!!

秋:やはり貴様にはわからないか・・・この感動が・・・

厚樹:わかるかっ!! ってかお前等本気でやる気ねーな!?


又二郎 秋:それはまぁ。

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