五十話、昔の出来事。そのに
す、すいか・・・?
「あ、さつきちゃん、美咲ちゃんどこ行ったか知らない?」
「美咲? 知らないけど、何? あいつサボり?」
私は少し送れて体育館にやってきた
既に練習を始めていた皆に、一言謝ってから練習を始めようと思ったのだが。
なんと美咲のヤツがまだ来ていないらしい
おかしいなー、確か『先に行ってるからー』って言われてたんだけど・・・腹でもくだしたか。美咲よ。
「サボリじゃないと、思うんだけど・・・」
「と、言いますと?」
「実は練習が始まる前に一度来てたのよ。美咲ちゃん」
「は、はぁ・・・?」
えっと、練習が始まる前に来てたのに、練習が始まった途端・・・逃げたと。そういうことかしら?
意味がわからないわ。一体、美咲様はなにをお考えなのか。
「なにかあったのかなー?」
「いやいや。なにかあったとしても美咲なら大丈夫でしょ。ごめんね、ちょっと着替えてくるわ」
「あ。うん、ごめんね引き止めて」
美咲のことを心配してくれた部員との話を切り上げ、私は更衣室に向かった
・・・なんだかんだで、美咲の人気はすごいなぁ。
「さつきちゃん、ちょっといい?」
「・・・部長? はい。いいですけど?」
更衣室の扉に手をかけたとき、今度はバレー部の部長さんに呼び止められた
・・・やばい。遅れてきたこと、怒られるのかな。
「実は今ね、3年部員の一部がボイコットを起こしてるのよ」
「ぼ、ボイコット?」
てっきり怒られるのかと思っていたのだが、どうやら違ったみたい。くわばらくわばら。
「それで、そのボイコットがどうかしたんですか?」
「えぇ・・・そのボイコットを起こした理由が、ちょっと、その・・・」
「あぁー なるほど、なんとなくわかりました」
先輩方がボイコットを起こした理由に、私が関わっていると。そういうことね
察したことをそのまま言うと、部長は困ったような顔になる。そりゃ、言いにくい事だもんね・・・私は別に、なんとも思わないけど
「さつきちゃんも、原因の一つだと思うんだけどね? 実は、美咲ちゃんも関わってることなの」
「美咲? ・・・あの、詳しく説明してもらえますか?」
「え、えぇ。 ・・・実は―――」
部長の話によると、ボイコットの原因は『私と美咲がレギュラーメンバーに入ったこと』
つまり、言ってしまえばただの嫉妬である。女の嫉妬はなんとやら、とはよく言うがこの場合は違うだろう。うん。
ボイコットを起こしたのは、私達のせいでレギュラーメンバーからはじかれた先輩2人。そして、何故か全く関係のない部員が5人の、合計7人。
・・・この関係のない5人は、恐らく部活が面倒だから。とか、なんとなく便乗してみただけの金魚の糞的なナニカだろう。
とりあえず私が言いたいのは、ボイコットを起こすのは勝手だが、それで迷惑するこっちの身もなって欲しい。と言うことだ。
「それで、あの・・・私はどうすればいいのでしょうか?」
こんな大事になっているのだから、私達がレギュラーをおろされるのは決定だろう
・・・私は構わないけど。あんなに頑張っている美咲まで、おろされてしまうのは納得いかない。
「ああいや! 私が言いたいのは、そーゆー事じゃなくてね!? 本題は、ここから!」
「・・・? さっきのが本題では?」
「違うわ、私が言いたかったのは・・・この話を、ついさっき美咲ちゃんに聞かれちゃったみたいで・・・」
「なるほど・・・えっ!? ほ、ホントですか!?」
その言葉を聞いた途端、今までは冷静だった私は驚愕を顔に浮かべる
あちゃー。そんなの、あのバカが聞いちゃったら・・・
「・・・あ。もしかして、それで今日、部活に・・・」
ここで、ようやく美咲が部活に来ていない理由にたどり着いた
美咲のことだ。『自分が悪い』と責任を感じて、先輩達に謝りに行ったに違いない・・・美咲には、何の非も無いというのに。
「あの、部長」
「・・・ど、どうしたの?」
しょうがないなぁ、美咲だけ部活をサボるっていうのも癪だもんね。私も付き合ってあげよう。
「・・・私、今日部活サボります」
それだけ言って、返事を待たずに体育館を飛び出した・・・
さつきが体育館を飛び出した、その頃。
美咲は既に、ボイコットを起こした先輩達に追いついていた
「あーぁ。部活なんてやってらんないわー・・・」
「それねー つーか、いっそのこと? このまま引退ってのもアリだねー!」
「オォー、いいねソレ! どうせボイコットしちゃってるから、今更戻る顔もないし!」
「ってか、引退とかどうでもいいよ。あたしが気に入らないのは、あの1年・・・美咲ってやつと、さつきだっけ? アイツ等だっての。」
「わかるわー! わかりますよその気持ちー! ちょっと運動できるからって、調子に乗りすぎなんだよねー!」
「そうそう! それでもって、容姿端麗、人当たり良し、背丈も高く、人気もあるんだから、たいしたもんだっ・・・て、アレ??」
「ちょっと、なに褒めてんのよアンタ? あんなの、ちょっと性格が良くて、いつも練習の後にタオルを持ってきてくれて、のどが渇いたときは水分わけてくれたり・・・って、アレ!?」
どうにも、やりきれない先輩達だった・・・
そんな先輩達の元に、やっとの思いで追いついた美咲がやってくる
「せんぱーい! 練習サボっちゃだめですよー!」
「・・・ハァ? うっわ、あれ、美咲じゃん」
「嘘。なんでここに?」
「・・・っち、キモ」
当然、歓迎などしない先輩達だったが、それでも笑顔で話しかける美咲
「皆心配してましたよ? 今からでも戻ったほうがいいと・・・」
「何? あんた何様? 自分が期待されてるからって、調子乗りすぎでしょ」
「そ、そんな・・・あたしは別に・・・」
「『別に』、何?」
「調子になんて、乗ってませんよ!」
「・・・うっざ。皆、こんなの相手にしなくていいから。早く行こ」
「ちょっと! 話くらい、聞いてくれても―――」
「うるせーんだよ!」
ぴしゃーん。と、先輩の平手が美咲の頬を打った
「―――い、イタっ。」
「ちょ、ちょっと・・・なにも叩かなくても・・・」
いきなりの暴力に、平手を打った以外の先輩達が動揺する
しかし、平手を打った先輩だけは、満足げに笑っていた
「いいんだよ! あんた等も、こいつにはむかついてんでしょ!?」
「そ、それは、まぁ・・・」
「だったら、いい気味じゃない! 美咲、だっけ? あんたも、コレに懲りたら二度とあたし等に―――」
「暴力は・・・いけませんっ、よ!!」
バッチィィィン!!!!!
と、今度は美咲の平手が、先程の先輩の頬を打ち抜いた
・・・えー。オホン、その平手の威力。先程先輩が繰り出した平手と比較しますと、およそ20倍の威力です。はい。
「あんぎゃああああああああああああああああああ!? ちょっと!? 痛いってレベルじゃないわよコレ!? ってか、あんたは謝りに来たんじゃなかったの!?」
真っ赤になった頬を押さえて、なみだ目になる先輩
・・・よほど痛かったらしい。
「・・・え? あれ? さっきのビンタ、『拳で語れ』って意味じゃなかったんですか? 先輩?」
「ちがうわよ!? あれはむかついてたからやったの!! ごめんなさい、もうしませんから話し合いで勘弁したください!!」
「ちょ、ちょっと・・・あんた、敬語になってるわよ?」
「・・・っは!? て、テメー! 何先輩様の頬叩いてんだよ!?」
今更遅いんだけどねー。と笑顔を引きつらせる先輩方。
「だあー! もうむかつく! ・・・でもま、いっか。茶番はここまでってね、あんた・・・後ろ見てみなよ?」
「・・・? 後ろ、ですか? ・・・うおっ!」
突然威勢の良くなった先輩に疑問を抱いたが、
言われた通りに振り返ってみると、その理由がわかった。
七人ほどの男子生徒が、こちらに向かって来ていたのだ
「えぇー・・・もしかして、あれ、先輩のお友達ですか?」
「ふん! 当然よ、今日はあの男子と遊ぶためにサボってたんだからね! ・・・あ、そうだ! さっきの『拳で語れ』ってヤツ、あいつ等とやればー? アハハハッ!! 形勢逆転ねー!!」
形勢逆転って。元々、先輩7人とあたしの7対1だったのですが。
それでも、この状況はいただけませんな・・・どうにかしないと・・・
「お困りですかな?」
「・・・へ?」
絶体絶命だったその時、ポン。とあたしの肩に、ひとつの手が置かれた
驚いて、その手の主を見る・・・そこにいたのは・・・
「クラスメイトの真鍋秋です!」
「・・・へ? 秋・・・くん?」
「そして! その幼馴染のナイスガイ、西山厚樹だ! ・・・以後、お見知りおきを。おぜうさん。」
「西山、厚樹・・・」
いや、おぜうさんて。
あたしの肩に手を置いたのは、同じクラスの秋くんだった。その隣には、これまた同じクラスの西山厚樹が。
・・・えっと、なんで? 知り合いというわけでもない、この二人が・・・?
この状況についていけてなかったあたしの前に、もう一人。見慣れた後姿の『親友』が現れた
「さ、さつき・・・これは・・・?」
「お待たせ、美咲。来る途中で、この二人にナンパされちゃってね・・・少し遅れたわ」
なるほど。全部、さつきの仕業だったのか。流石幼馴染! 頼りになります!!
「ちょっと!? なによ、あんた達!! ・・・てか、どっから沸いてきた!?」
一方、先輩達のほうも、いきなり現れた三人に戸惑っている
「あ、おい秋!? あの男子生徒、この前俺にガン飛ばしてたヤツ等だ!!」
「え・・・? そうなんだ? どうでもいいけど、よく覚えてたね」
うわ。この二人、先輩のこと思いっきり無視してるよ・・・
「あの集団、前から気にくわねぇと思ってたんだ・・・まぁー? なんか修羅場みたいだし? 人助けって理由で、ボコボコにしていいんだよな?」
「いいんじゃない? ・・・だよね、美咲?」
「え!? あぁ・・・っ、うん! 『拳で語れ』! だよ!!」
うわ! 急に話ふられたから、適当なこと言っちゃったよ!?
『拳で語れ』って・・・駄目じゃん!?
「あ。えっと・・・今の無し・・・」
「うっしゃぁ! 拳で語り明かそうぜ、先輩の皆様よぉおおおおおおおお!!!」
「おっし! 僕も行くか!! 二人とも、あの男子集団は僕達にお任せを!!」
「「ウルァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」」
秋くんと厚樹の二人は、とても楽しそうに飛び掛っていった
圧倒的な人数差があるというのに、全く気後れしないとは・・・なんという度胸。
「・・・・・・」
あーぁ・・・、結局行っちゃったよ・・・
「えっと・・・さつき? あたし達は・・・」
「わかってるわ! 私達は、こっちの先輩達(バレー部)を殺ればいいのね!?」
えぇー!!? と、驚愕したのはあたしだけじゃなく、バレー部の先輩達も含まれていた
そりゃそうだよ。急に現れた三人が、いきなり喧嘩腰って・・・
「あんたたちのせいで、こっちは大迷惑よ! とりあえず、平手100発は覚悟しなさい!」
「えぇ!? ちょ、ちょっと待ちなさいよ! あたし達は先輩で・・・っていうか、あんた等が調子に乗るから・・・っ!!」
「うっるっさいわ! 拳で語りなさいよおおおおおおおおおおお!!!!!」
「イヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
バレー部の先輩達に向かって大きく吼えたさつきは、そのまま目の前の先輩に飛び掛った
・・・って、えぇー・・・ナンデスカ、コノ無法地帯ハ。
次回、シリアス展開終了!!
厚樹:おぃおぃ!何いきなりすいかとか言ってんだよ!!でかくねぇか!!?
秋:黙れ。成長しかけのスイカって事にするから。
厚樹:めんどくせーな!?
又二郎:しかし、もうすぐ冬休みか・・・
秋:そう、そうなんだよ。楽しみだなぁー
又二郎:冬休みは冬期講習があるから小説書く暇が無い!!そこで!!
秋:うんうん
又二郎:冬休みに向けて一日三話づつ書き!冬休みまでに三十話先まで書き進める事だ!!!!
厚樹:はぁ、無理だろお前。・・・ってか、さりげなく無視すんなよ?
又二郎:大丈夫!ブログにも一切顔を出さず、ハ○ゲームにも顔を出さない毎日を送っていれば必ずできる!!!!
厚樹:・・・だから無理だろって。
又二郎:いいやできる、僕なら可能さ、可能性は無限大いいいいいいいいいいい!!!!
秋:それじゃ、明日は更新休みだから!
厚樹:アデュ!!・・・あれ?これ何の話だったっけか?
秋:さぁ・・・?