四十九話、昔の出来事。そのいち
それじゃ、初のワードは・・・リス。
はい! どうも、美咲です! 今から秋くんに、昔の出来事をかいつまんで説明していく所存です・・・が!
なんとここから、かなり無茶なシリアス展開となっております! 『非モテ組の日常!!』のめちゃくちゃハイテンションなラブコメしか見たくない人は!
どうぞ、次の次の章へぶっ飛んじゃって下さい! 大丈夫です、本編を読むにあたって支障は出ませんゆえ! それでは、そのかなり無茶なシリアス展開をどうぞお楽しみください!!
「み、美咲・・・? あんた受験勉強のしすぎで、頭の具合が・・・?」
「―――っは!? あ、あたしは一体なにを!?」
となりの美咲が急に訳のわからないことを呟いていたので少し心配する
・・・私と一緒の高校に行きたいって言って、相当無理してたからなぁ。
どうやら頭の方は大丈夫だったようで、とりあえず安心した私は気を取り直して目の前の光景に目を向ける
今日は記念すべき高校の入学式。
校門をくぐったすぐの中庭には、新入生達で溢れかえっていた
よく見ると新入生だけではなく、先輩達が部活の勧誘をしていたり、ただ興味本位で新入生を見に来ていたり、とまぁ凄い人ごみになっていた
「うわー 祭りって感じだねー」
「はいはい。違うから」
正直人ごみが苦手な私としては早いとこ教室に行って落ち着きたいんだけど
クラス表ってどこにあるのかな、と美咲に聞く
「クラス表とかって、中学のときは生徒玄関になかったっけ?」
「生徒玄関・・・よし。早速行きましょ」
「えぇー、つまんねー せめてどんな部活があるかくらい、見たいのですが!」
「見たいのですが! って・・・わかったわよ、部の勧誘を一通り見てからでいいわ」
私の我侭で美咲の楽しみを奪うのはよろしくないよね、うん。少しだけ見て回ろうかな。
と言うことで、勧誘活動をしている先輩達の元へ向かった
ここに来てようやく気付いたんだけど、この学校は部活動が物凄く盛んだった
ざっと見ただけでも同好会を含め数え切れないほどに
・・・これは時間がかかりそうだなぁ。
「ほぉ。バスケ部、バレー部、サッカー部・・・少林サッカー部? すごいね、こんなにあるとは」
「そうね・・・」
二人で驚いていると、近くで勧誘をしていた先輩の女生徒がこちらに向かってかけてきた
「あのー! バレー部です! よかったら、入部してもらえませんかー?」
「え?」
「わ、私達ですか?」
しまった。こんなところで突っ立っていた私達は絶好の勧誘対象だったらしい
こちらに駆けてきた先輩は、チラシのようなものを二枚差し出しながらにこりと微笑む
・・・この先輩美人だなぁ。どうでもいいけど。
「美咲」
「なにも言うな。あたしにはわかる」
とりあえずチラシだけ受け取ってこの場から離れよう。
アイコンタクトだけでお互い理解した。その間、約0,5。
「ありがとうございます先輩! でも、あたし達はこの辺で―――って、なにやってるんですか!!?」
「・・・なっ!?」
「あー。ごめんね、ちょっとだけだから、失礼しますねー」
なんと、急に美咲の身体をペタペタと触り始める先輩
その予想外な行動に思わず絶句する・・・失礼しますって言ってもね。
一通り美咲の身体を堪能・・・いやいや、触り終えた後、今度は私のほうに手を―――
「わわっ、私はいいですから!? ちょっ、待っ―――」
「ちょっと失礼して・・・」
「きゃあああああああああああああ!!!!!」
・・・さ、触られてしまった。もうお嫁に行けません。
「ふむふむ・・・一見、細身って感じだけど。この柔軟かつ、ひきしまった筋肉は・・・」
私のほうも一通りボディーチェックを済まされた後、その先輩はなにかぶつぶつと呟いていた
なんだろう。よく聞こえないけど、私達の身体になにか異常でもあったのだろうか。
しばらくすると、先輩の両手が私達に向かって差し出された
そして満面の笑みで一言。
「二人とも・・・ようこそバレー部へ!!」
・・・ちょっと待て。
「美咲?」
「どうしたの、さつき?」
「・・・逃げよっか」
「うん。そうしよっか」
・・・しゅだっ!!
と、二人で駆け出したその時・・・
どんっ、と運悪く後ろにいた女の子にぶつかってしまった
「うわっ、ごめんね? 大丈夫?」
「あ、うん。大丈夫、こっちこそ・・・」
やってしまたなぁ。そう思いながら、ぶつかってしまった女の子に頭を下げる
・・・あ、あれ。なんでこの子、男子の制服着てるのかな?
「おーい! なにラブコメってんだよ秋、早く行こうぜ!」
「ラブコメってねーよ・・・それじゃ、ホントごめんね」
「あぁ、うん・・・」
大きな謎を残したまま、お連れの人と一緒に立ち去る『女の子?』
っていうか、結局逃げられなかったな。
「・・・さつきさーん、ヘルプーミー」
「え? ・・・うわ。」
「ふふふ・・・逃がさないわ! こんな逸材たちを、決して逃がすわけには行かないのよ!!」
いつの間にか美咲が捕まっていた
結局。逃走に失敗した私達はバレー部の魅力をたっぷりと聞かされた後、ようやく開放されたのであった・・・
教室にて放課後。
美咲と二人仲良く席をくっつけ、今後の行動について話し合っていた
もちろん今朝のバレー部の一件をどうするか、についてである
「バレー部は・・・体育館で活動してるらしいわね。行くの? 体育館。」
「そうだねー、せっかく誘われたんだし。行ってみない? 実は結構入部したかったり!」
「う、嘘・・・」
予想に反して、美咲はバレー部入部について真面目に考えていたようだ
私は別にどっちでもいいんだけど。美咲が真面目にやるというのなら付き合ってあげようかな。
「わかったわよ。それじゃ、今から体育館に・・・」
「厚樹ー!!!」
「・・・?」
美咲に返事を返したところで、一際大きな声が聞こえてきた
興味を引かれた私は、声のした方を見る
「あ。あの子は」
声の主は今朝私とぶつかった・・・『女の子?』だった
やっぱり男子の制服を着てるから男子? でもなぁ。あんな美少女顔負けなルックスで、男の子なわけがない!
「ねぇ、美咲? あの子って・・・男?」
「え? 秋くん? ・・・見ての通り女の・・・いや、男の子だよ?」
私が例の子を指差して聞くと「知らないの?」という顔で驚く美咲。
「美咲知ってるの?」
「知ってるもなにも、あの有名人を知らないなんて!? 同じ中学だったじゃないか!」
「・・・嘘!?」
知らなかった。三年間、あんな子と同じクラスになったことなんて無かったからなぁ
っていうか。アレが男って・・・世界には不思議が多いなぁ・・・
そんなこんなで、やってきました体育館。
中は先輩達で溢れかえっているため、少し緊張気味で中の様子を窺う
「今朝の先輩は・・・」
「あ、いた! あそこだ! おーい、先輩ー!」
ちょっと、そんな大声出さなくても・・・
皆こっち見てるじゃないの。この体育館に『先輩』がどれだけいると思ってるの?
しかし、一気に注目を集めたお陰で、お目当ての先輩に発見してもらうことが出来た
今朝私達にチラシを渡してきた先輩がこっちにかけてくる
「二人とも来てくれたんだ!?」
「いや、一応まだ見学だけ・・・」
「見学? いいよー、全然いいよー! さ、入って入って!」
彼女は嬉しそうに私達の手を引き、体育館の端まで引っ張っていく
連れて行かれた先にはパイプ椅子が並んでいた。ここに座って見学してくれってことらしい
「飽きるまで見てってね!」と言い残して、練習に戻っていった先輩を見送り
そこからはしばらく言われたとおりに見学していた
「結構真面目にやってるね! これなら入部してもいいかな!」
「うん。私は別に・・・」
そこまで言って、ちらりと先輩達に目を向ける
練習に励む先輩達は、なんだか・・・
「かっこいい、かもね」
「おぉ! さつきもその気になったか!」
「そうね。こうなったら、美咲の馬鹿に付き合ってあげるわよ」
なんとなく照れくさくて、素直に入部するとは言えなかったけど。
私達二人は正式に入部することになった・・・
はい! ここからはあたし、美咲ちゃんのターンです! 要するに美咲視点でお送りしまーす!
スーパー新入生。期待の新星。あたしとさつきが入部してすぐに、そんな話題が出始めた
元々運動神経がよかったあたし達は、あっという間にその実力を開花させてしまったのだ
男子顔負けの運動神経を持つあたしと、女子の中ではずば抜けて身長の高いさつき。
そんな逸材の二人に、バレー部の先輩達は期待の眼差しを向けていた
・・・そこまでは良かったんだ。期待されるのは悪くない気分だったしね。でも、そんな期待も長くは続かなかったわけで
入部後。
初の公式試合でその実力を見せ付けた二人はその日の帰りに、部長と顧問に呼び出された
呼び出された内容は『二人をレギュラーメンバーに入れたい』という嬉しい内容。
こんな美味しい話を断るなんてこと、このときのあたし達に出来るわけがなかった。
・・・でもねー。新入生でいきなりレギュラー入りなんてしちゃったら、他の先輩が黙っているはず無かったのさ
そこまで頭の回らなかったあたし達は、当時相当嬉しかったんだと思う。
あたし達がレギュラー入りを果たしてから数日後の、とある放課後。
すっかりバレー部にも慣れ、すでに日課となった放課後の部活動
今日も部活に精を出すべく放課後の体育館に訪れる
コートの中では、自分と同じ一年生がモップがけをしていた
さつきはまだ来てないみたいだなぁ。まぁいっか、そのうち来るだろうし。
「みんなお疲れ様ー! ごめんね、あたしもモップがけやるよー!」
あたしの声にモップがけをしていた皆が顔を上げる
「美咲ー! 今日も無駄に元気だねー!」
「あ、美咲ちゃん! ここの汚れ、とれないんだよー 早く手伝ってよー!」
ちなみにバレー部の一年生とは、かなりいい感じの友好関係を築けていた
まぁ『噂の新人』だしね。話すきっかけはいくらでもあったわけで。
「あぁうん! 着替えてから手伝うよ!」
モップがけを手伝う前に、ジャージに着替えようと更衣室に向かう・・・その途中のことだった
「あっちゃー・・・あいつ等、ホントにボイコットを・・・」
「そうみたいです。さっき偶然あったんですけど・・・もう部活には来ないって・・・」
なんだろう。部長と副部長の二人が、なんかシリアスモード?
新入生のあたしが口を挿むのは、あれだよね。と思いながら、その場で立ち止まる
・・・い、いや、盗み聞きじゃないから! ちょっと気になっただけだから!!
「あぁ。やっぱり、いきなり一年生の二人をレギュラーに入れちゃったのは・・・不味かったかぁ・・・」
「今まで必死に練習してきたのに、こんなあっさり追い抜かれたんじゃ。ヤケになるのも、わかりますどね」
「・・・え?」
『一年生の二人』って・・・もしかして、あたしとさつき?
「それで、あいつ等はまだ帰ったばかりなのよね? 私、ちょっと追いかけてくるわ」
「あ。やめたほうがいいと思います・・・なんか、相当気が立ってましたし。危ないと思いま・・・あれ?」
「・・・どうしたの?」
「いや、今誰かが走って行ったような・・・気のせいかな・・・」
この時。あたしはすでに、体育館を飛び出していた・・・
次回、シリアスで行きます!多分!
秋:待て待て待て!?
厚樹:んー?何だー?
秋:なに勝手に、超時空しりとり始めてんのさ!?
厚樹:いいじゃん、面白そうだし。
又二郎:どこがだああああああああああああああああああああ!!!!
秋:さつきはどこ行ったの!?
厚樹:あぁ、さつきなら帰ったよ。最後に『リス』って言い残してた。
又二郎:知ってるよ!多分、その一言で読者が混乱してるよ!!
厚樹:いいだろー どうせこの小説見てる読者の数なんて、たかが知れて
又二郎:イヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
厚樹:って事で、超時空しりとりスタートだ!!
秋:面倒臭いわ!!