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四十一話、真鍋家の大柱。

うなぎ!!!

 『D組サマーイベント』が終わり、二日ぶりに我が家に帰って来た

時刻は夜の8時。バスが塚原家に付いてからは徒歩だったこともあり、少し遅い時間になってしまった



「ただいまー・・・ん?」

 重い荷物の入った鞄を肩から提げ、玄関の扉をくぐると普段は無いはずの黒光りするブーツが目に入った

そのブーツを見て思わず眉をしかめてしまう。この靴があるということは、この家には今、僕の父上がいるということだ


「はぁー」

 長旅でお疲れ気味だし、今日はゆっくり休もう。と思っていたのだが、この家にヤツがいるとなればそうもいかない

自然と漏れた盛大なため息を一つして、僕はダイニングの方へ向かった




「フゥーァッハッハッハ! かあさーん! もっと酒を、ヒック。酒を持ってこいやぁー!!!! ヒック」

 ダイニングには、酒缶を両手に持って暴れる大男の姿があった

「・・・はぁー」

 帰宅してから二度目のため息。

 だって仕方ないでしょ。家に帰ると、オールバックで極道ヅラの大男が大声で騒いでいるんだから、誰だって脱力するよ。しかも、それが実の父親だし



 大声で騒ぐ父上をスルーして、キッチンに顔を出すと冷蔵庫から酒缶を取り出している母上を見つけたので、声をかける

「ただいま、母上」

「あ、おかえり秋ちゃん。旅行は楽しかった?」

 微笑みながら、パタンと冷蔵庫を閉じる


「まぁそれなりにねー。でも正直に言うと、めちゃくちゃ疲れた」

「そうなの? だったら、お風呂も沸いてるし、先にお風呂入っちゃっていいわよ」

「うん。そうするよ」


 母上と挨拶を済ませてから、ダイニングへと戻る

「・・・お? おおっ!?」

「うげ。」

 ダイニングに戻った瞬間に、父上と目が合ってしまった

僕を見つけた途端、酒に酔って真っ赤になった顔を輝かせ、いかつい極道ヅラに笑顔を浮かべる父上


「おおおおお!!!!? 秋じゃねぇか! 久しぶりだな!? まーぁた、可愛らしい顔つきになっちまってよぉ!! おい!」

「・・・なんだ、そっちこそ帰ってたんだ。気付かなかったよ馬鹿オヤジ」

「そうかそうか! 久しぶりに会えて嬉しいってか!? ハーッハッハッハッハ!!」

 大喜びする父上に向かって冷たい一言を言ってみるが、駄目だ。元々馬鹿だった脳味噌に、今はお酒が入って更に頭の回転が悪くなっているため、これくらいの言葉には全く動じない


「ったく、近所迷惑だから静かにしてよ。僕だって疲れてるんだし」

「相変わらずお堅ぇなぁ、秋は・・・―――っは!? いや、確かに近所迷惑は不味いな! 愛しの娘達に『育ちの悪い家で育った子。』なんて悪評がたっちまう!!」

「娘・・・達? ッハッハッハ、誰が娘だって?」

「ん? どうしたんだ? そんな怖い顔は似合わないぞ、俺の愛しの娘、秋よ・・・っ―――」


「死ねィ! 元気百倍アンパ○チィィィィ!!!」

「―――ぶべらぁああああああああああっ!! バイバイ○ィィィィィィィン!」

 黄金の右ストレートをまともに受けた父上は、あっけなく床に崩れ落ちた

・・・くそうっ! 思った通り、また疲れが溜まったじゃないか!!


「・・・はぁ。風呂でも入るか」

 帰宅してから三度目のため息をついた僕は、気だるいままに風呂場へと向かった





 僕の父上

 職業、年齢、学歴、過去、その他諸々詳細不明の大男

普段から自慢の黒髪をオールバックにセットし、黒いスーツを身に纏い、自慢の社長髭には手入れを欠かさない


 ルックスがかなりの強面で、一見すると、ただの極道なのだが・・・

実際のところ性格はただの馬鹿で、なんというか家族愛が強すぎる。というギャップを持っていることもあり、ご近所ではそこそこ人気がある


 普段は仕事で家を留守にしているが、たまにふらっと帰ってきては酒を飲んで、また仕事へ出かける

それが父上の日常なのだが、なんの仕事をしているのかは不明。おそらく、知っているのは母上くらいだろう


 以上、父上の説明終わり!





 ひと風呂浴びると身体の疲れが一転し、今度は心地の良い眠気に変わったので

さっさとトイレを済ませて歯を磨いて自室に戻ろうと思いリビングを通りかかると、ダイニングに居たはずの父上がソファに腰掛けてちびちびとお酒を飲んでいた


「うっうっ、悲しいよー・・・ヒック。いてぇよー・・・ヒック。・・・ん?」

「うげげ。」


 ふと目が合った

・・・なんだよ。その悲しげな眼差しは。さっき僕が怒った事、ひきずってるのか?


「そ、それじゃ、僕はもう寝るから。おやすみ・・・」

「待つよろし。」


がっし。


「んな・・・っ!?」

 こいつっ、いつの間に背後に!?


 素早く部屋に退散しようと試みたが、それよりも速く父上の腕が僕の肩を掴んでいた

どうやら逃げることはできないらしい。仕方なく覚悟を決め、振り返る


「一体、何用デスカ?」

「久しぶりに親子が再開したんだぞぅ? もっといろいろ話そうぜー! 愛しの娘―――」

「ジェット○ッパー!!!!!!」

 バキャァッ!!!!!

「―――ふごぉおおおおおおああああ!!?」


 禁断の台詞を言わせる前に、黄金の右が炸裂した

本当なら、相手は超回転して天井に頭からめり込むはずなのだが、残念ながら僕は超人ボクサーでは無かった


「誰が娘だ! この無礼者!」


 宙に放物線を描き、そのまま床に叩きつけられた父上はピクリとも動かない

無駄に大きな身体を大の字にして、ぐったりと屍のように・・・


「・・・お、おーい? 父上ー?」

「・・・」

「返事が無い。ただの屍のようだ」

「・・・うっ、オウっ!?」


 ビクビクッと、父上の身体が微動する

・・・いや、なんかキモイ。


「さて・・・寝るか・・・」

 生存を確認できたので、父上をそのままにトイレと歯磨きを済ませてから自室へ戻った・・・





 ざざーん・・・ざざーん・・・

波の音が響き渡る海岸に、三つの人影があった


「・・・サメに食われるところだったぜ。オイ、大丈夫か? マイケル、ボブ?」

 三人のうちの一人が言うと、他の二人は首を横に振った


「ジョニー? 俺、初めて地獄を見たぜ? あいつら・・・よくも俺達をこんな目に」

「殺ス! あいつ等、絶対に許さないゾ!!」

 

「あぁ、もちろんだぜ・・・この恨み、必ず晴らしてくれる・・・っ!! 行くぞ、マイケル! ボブ!」

 恨みの闘志を燃やす三人が、復讐のために駆け出していた・・・

次回、学校へ!・・・まだ夏休み!





秋:早起きとはえらいな、今七時だぞ?

又二郎:う、うるさい・・・何故かセットしていなかった目覚まし時計が鳴ったんだよ。

秋:そりゃどんまい、まぁ僕には関係ないけどねー


又二郎:酷いなおい!!主人公がそんなんでいいのかよ!!

秋:む・・・そんな事言うなら聞くけど、主人公に必要な物って何さ?


又二郎:・・・主人公に必要な物?っふっふふふ。そんなモノ、決まっているだろう!!

秋:うんうん?


又二郎:主人公に必要なのは―――っ


厚樹:んだよ、うるせぇ・・・

秋:あ、厚樹が起きた。おーい厚樹ーっ


又二郎:人の話聞けよ!!!!!!!!!

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