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四十話、家に帰るまでが、遠足ですね!

また『む』・・・ムツゴ○ウ!

「皆バスに乗り込んだか!?」

メガホン越しの塚原利樹の声に、バスに乗り込んだ皆が返事をする

塚原利樹は「よし。」とうなずくき、隣に居た又二郎に声をかけた


「いいな又二郎、バスは安全運転。お前の油断が皆の命取りだ」

「わかってるって。それより、帰ったら早速バッシュ買ってもらうからな」

「当然だ、帰ったらすぐに買いに行こう」

「おう!」

利樹の返事を聞いて、満足げに頷いた又二郎はそのままバスの運転席に乗り込んだ


「さて、僕も行くか」

又二郎を見送ってから、自分も運転席に乗り込んだ

・・・ちなみに免許は持ってない






「あー、帰っちゃうんだねー」

美咲が名残惜しそうに、バスの窓から海を眺めて呟く


「夏休みはまだまだあるんだし、これかもいっぱい遊べるでしょ?」

そんな美咲に声をかけたが、正直僕も名残惜しかった

なんだかんだあったけど、結局は楽しかったからなぁ。このイベント。


はぁ。と自然にため息が漏れてしまった

美咲を励ましていた筈が、僕のほうもセンチメンタルになっていたようだ


「もう、秋も人の事言えないじゃない。自分だってもっと遊びたかったんでしょ?」

おセンチ状態の僕らを交互に見たさつきが、話に加わった

「だって初日は誰も構ってくれなかったじゃん。あぁ、寂しかったなぁー」


「「「う´っ・・・」」」


さつきと美咲、更に僕の隣でボーっとしていた厚樹まで、僕から視線を逸らした

「まぁ、あの時はクラス長といれたし。暇ではなかったけどさ」

「・・・クラス長」

「へ?」

取り繕うつもりで言った一言に、さつきが食いつく


「クラス長、クラス長、くーらーすー長ー!」

そして不機嫌そうに『クラス長』と連呼する

「な、なにさ? クラス長がどうかしたの?」

「いーえ! なんでもないわ! よかったわね、大好きなクラス長といられて!」

「だ、大好きって! クラス長が!? な、なに言ってんのさつき!?」


慌ててさつきをなだめようとしたが、彼女は不機嫌そうにつーん。澄ました態度でそっぽを向いてしまった


「・・・なんなんだよ、今日のさつき様は?」


「さぁねー厚樹ー?」

「そうだなぁ。よくわかんねぇなー」

厚樹と美咲に聞いてみたが

この二人、なにやら楽しそうな顔をしてはぐらかすだけだった

・・・一体、なんだというのか。




っく! しくじった! 荷物の整理に時間をかけ過ぎて、バスに乗り遅れてしまった!

おかげで秋君との距離がめちゃくちゃ遠いじゃない! ・・・くっそー、何やってんのよ私!!


秋君たちが陣取っている最後列から5列も離れた、バスの中間辺りに私はいた。


しかも、秋君の口から『大好きな』というワードと『クラス長』という素敵なワードが揃って飛び出していた! ※『大好きな』なんて、飛び出していません


なに、なんなの秋君!?

私のいないところで私の名前と、大好きを合わせて言うなんて・・・あぁ気になる! 気になって仕方が無い!

こうなれば、強行突破しか無いわね! 待ってて秋君! 今そっちの座席まで行くわ!!


意気込んで、座席を立ったその時、ぐらりとバスが揺れた

「うわわっ」

思わずバランスを崩した私は、もとの座席にすっぽりと押し戻されてしまった

どうやら、たった今バスが出発してしまったらしい


「・・・どうしよう、これじゃ進めないじゃない」

「気合いです、若いうちは気合いで勝負ですよ。坂部さん」

「気合って言われても、クラス長である私が、移動中に座席を立つなんて・・・」

隣に座っていた女将さんのアドバイスは、とても頼りなかった

人生経験が豊富なんだから、もっとまともなアドバイスが欲しかったんだけどなぁ。


「恋のためなら、クラス長の肩書きくらい、捨てるつもりでいた方がいいと思いますよ?」

「そうですかねー? それって、少し自己中心的な気がするんですけど・・・」

「他人に気を遣う必要なんて無いですよ、恋なんて、昼間のドラマに出てくるヒロインくらい自己中心で貪欲なほうがいいいいです。そっちの方が、燃えます」

「燃えます。って言われても・・・・・・っ!!!??? え、ええ!? 女将さん、なんでこんなところに!?」


あまりに自然だったので、全く気付けなかったのだが

さっきまで宿泊していた旅館の女将さんが、何故か隣の座席に座っていた


私が盛大に驚くのを見て、女将さんはけらけらと笑っている

・・・いやいや、笑い事じゃないですから。


「なに笑ってるんですか!? あぁ、もう旅館があんなに遠くに・・・っ」

窓から見える旅館の姿が、物凄く小さい。既に結構な距離を進んでしまったらしい

「ちょっと運転手さんに、引き返すよう言ってきます!」

「待つよろし。」

慌てて席を立つ私の腕を、そっと掴んで引き戻す女将さん

「大丈夫ですよ、あそこにはウチの旦那の下の者達がいますから。皆さんと一緒のほうが、楽しいかと思いまして」

そう言って女将は微笑んだ

・・・下の者達って。


「楽しいって言われても・・・ていうか、旦那さん居たんですか・・・」

「そう、ウチの旦那。写真あるけど、見ますか?」

そう言って女将さんが写真を取り出している頃には、旅館の姿など一切見えなくなっていた

あぁ、本当に来るんだ。と、ようやく確信できた。


そして例の写真には、黒服を着た男達がずらりと並んでいた

「うわ、これってヤ・・・」

「いやですわぁ、ウチの旦那がそんな怖い人なわけないじゃないですか。普通の旦那ですよ、普通の」

「いや、でも・・・」


男達の真ん中に紅一点とした女将さんの姿があった

その女将さんと手を繋いでいる大男が、恐らく旦那さんなのだろう。そして、他の男達が下の者達・・・

・・・どうみてもこれ、あれよねアレ。怖いから言わないけど。


「やっぱり、旅館に篭もってるより、外で自由に生きるほうが楽しいですねー!」

「・・・自由すぎですよ、女将さん・・・」


そんなこんなで、女将さんの紛れ込んだバスは、塚原家のお屋敷に向かってどんどんと進んでいった・・・



これにて! D組サマーイベントを、終了いたします!

・・・長すぎだろ、イベント。


次回、夏休みのひと時!






秋:いやぁ感想一覧に感想が二つも書き込まれたねー

厚樹:だな、感動以外に言い表せない気持だな

又二郎:って何感動に浸ってんの君達!?まだ明日も更新しなきゃいけないんだよ!?


厚樹:いやだって・・・

秋:今日注射じゃん、お前死ぬかもしれないんだぞ?

又二郎:死なねぇよ!!注射にどんな想像してんだよお前等!!


厚樹:あー怖、腕に針刺すんだぜ?死ぬって絶対、俺なら逃げるね。

又二郎:情けな!!?


秋:注射って針刺すんでしょ?無理無理、泣いちゃうって

又二郎:・・・っく、そう言われると俺も怖くなってきたぞ・・・


厚樹:だろ?


又二郎:うおおおおおおおおお!!!注射こえええええええ!!!!!


秋 厚樹:・・・暇だなぁ。


秋:それじゃ、感想書きこんでくれた二人に感謝!

厚樹:お気に入り登録者にも感謝の心を!!!!!


又二郎:注射嫌ぁああああああああああああああ!!!!!

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