四話、僕の級友、そして悪友。
うどんと言ったらきつねでしょ!
厚樹と共に登校し教室に入る。
僕の席は窓側の一番後ろで厚樹の席は僕のひとつ前。
厚樹は背が高いから頭が邪魔で黒板が見えにくいのだ。
背の高さって残酷だよね。よし、後で厚樹の頭をタコ殴りしよう。少しは縮むんじゃないかな。
「あ、おはよう秋」
机の上に鞄を置くと、隣から挨拶してくる人物が。
派手なふんわりポニーテールが特徴の三谷さつきだ。
彼女とは中学が一緒だったらしいけど、特に顔見知りだったというわけでもなく、つい最近の席替えで隣同士になり仲良くなった訳であります。はい。
背は僕と同じくらいで女の子としてはかなり高いほう。
髪はさっき言った通り派手な盛りポニーで黒毛。
厚樹からは『クールビューティーさつき』の称号をもらっている。相変わらず意味不明なネーミングだが気にしない。今更気にしたところでアイツのバカさは治るものじゃないからね。
ちなみに見た目がクールなだけで性格はわりと普通。
バレー部に所属していて、僕の姉、真鍋夏とも仲がいいらしい。
以上、ヒロインの紹介終わり!
「おはようさつき」
「うん、あれ? ほっぺに痣があるけど?」
「……男の勲章だよソレ」
「……? ま、どうせろくでもない事やってたんでしょ」
鋭いですね、その通りです。ちなみに昨日の喧嘩で出来た痣だと思います。
さつきと雑談を交わしていると、前の厚樹が振り返った。
「おぉさつきちゃーん! 今日も美人でなによりだ!」
「秋、誰この人? 転入生かしら?」
「さぁ? 職員室の場所教えたほうがいいのかな?」
さつきの冗談に便乗する。
「ひでえなおい!」
「妥当な扱いのつもりよ」
「な!? さつきちゃんは俺をなんだと思ってんだ?」
「ゴミ……かな♪」
「ひでえなおい!」
それさっきも聞いたぞ。
ちなみに彼女は厚樹が嫌いな訳じゃなくて、本人が言った通り妥当な扱いをしているだけである。僕も見習いたいものだ。
「みんなおっはよーう! 相変わらずにぎやかだねー!」
僕達三人が騒いでいると、一際元気な声が教室に飛び込んできた。
駆け足で厚樹の隣の机にやってきて鞄を置く女の子。名前は 青葉美咲。
さつきの幼馴染でバレー部所属、クラス一の元気娘。
髪は短髪で若干茶色。俗に言うボーイッシュな女の子である。
男顔負けの運動神経を誇る彼女だが、勉強の方はいまいちの一言。
ちなみに厚樹からは『元気玉』という称号を貰っている。どうでもいいけどね。
以上、ヒロインの説明終わり!
「美咲も相変わらず元気そうで」
「元気だけがとりえさ! 今朝も朝練大変だったのだぜぃ!!」
と、声をかけた僕に向かってグーサインを向ける。
朝錬で流したその光り輝く汗は、帰宅部の僕にはとても眩しいぜ美咲ちゃん。
「おはよう美咲」
「よぉ美咲ちゃん!」
「おう! おはよう御二人さん!」
さつき、厚樹とも挨拶を交わし、これでいつもの面子が揃うまで残り一人になった。
その一人は今頃体育館でバスケ部の朝練に興じているのだろう。いつものことだ、その内やってくるだろうとしばらく四人で話していると。
「ワェルカムトゥー・ザ! オレ! オープンザ・ドアァァァァ!」
外国人が聞いたら思わずぶん殴ってしまいそうになる台詞と共に、教室のドアが勢い良く開いた。
ヤツが来たか。クラスの空気が一変したのがその証拠だろう。
「うぉおおおおお! 来たぜ皆あああああああぁぁぁああああ!!」
教室に響き渡る雄叫び。だがいつもの事なので驚くようなヤツはいなかった。
ひとしきり叫んだ『そいつ』は僕達の方に駆け寄ってくる。
「よぉ又二郎!」
厚樹がそいつに声をかけた。
「はっはっは! おはよう厚樹! そして皆!」
「遅かったね又二郎! 今日も朝練?」
「ああ! バスケが、体育館が、青春が、俺を呼んでいたんだ!」
厚樹、美咲の騒がしい組が挨拶を交わす。
「うるさいなぁ」
「ホントよ……」
ちなみにすごい音量である。
紹介が遅れたが『そいつ』の名前は 萩又二郎。
バスケ部所属。ボールを愛し、バスケを愛す馬鹿。
授業中以外はなぜか体育館でバスケをしている馬鹿野郎。
異常なまでのハイテンションを武器に、日々青春を駆け抜ける大馬鹿野郎だ。
初めはクラスでも浮きまくっていた又二郎だが、変に気の会う厚樹と騒いでいる内にすっかりクラスに馴染んで行ったのである。
以上、又二郎の説明終わり!
「おはよー、又二郎」
「おはよう」
「よぉ秋にさつき! 今日もバスケ日和だな!!」
……意味がわからん。
皆と挨拶を交した又二郎は「んじゃー、鞄置いてくる」と言って窓からベランダへと移動した。
そしてベランダにぽつん。と置かれた机に鞄を置き、椅子を引いて座る。
又二郎の席はベランダにあった。
以前担任の教師直々に「お前授業中うるさいから次の席替え強制的にベランダ行きな」と言われ、本当にベランダ行きになってしまったのである。
「あんなとこで授業受けられるのかね?」
僕は言いながら、哀れみをこめてベランダで寂しく座っている又二郎を眺める。
「いや。どう考えても無理だろ」
即答で厚樹に返された。当然か。
もとより教室に居たところで、まともに授業を受ける事はなかっただろうしね。
そんなことを考えていると朝のHRを告げるチャイムが鳴った。
「お。チャイムか」
「だね、遅刻扱いも嫌だし。ちゃっちゃと席に着こうか」
そう言って僕達は大人しく席に着いた。
その後、朝のHRを始める担任の声を聞きながら今日も一日頑張ろう、と一人意気込んだ。
あ、そうだ。厚樹の頭をタコ殴りした結果報告。
ヤツの頭に生み出されたタンコブのせいで黒板の見える範囲が微妙に減りました。
ついでに僕にもタンコブが増えて散々でした。
「教訓! 悪いことはするもんじゃないね!」
「タコ殴りする前に気付け馬鹿野郎!!」
「うっせーよチャラ男!!」
「アァ!? やんのか女顔コラ!」
こうして、非常に醜い第二ラウンドが始まったのであった。
次回、昼食と3on3!
秋:なっ・・・馬鹿な・・・!?
厚樹:こいつが、本当にまともなキャラ設定だと・・・!
秋:エキストラ感覚で、ちまちま出てくるだけかと思ってたのに・・・
又二郎:はっはっは!甘かったな貴様ら!!
秋:しかもキャラ全く変わってないし・・・
厚樹:つかお前バスケ好きだったんだな?
又二郎:ふ!バスケのルールなんて知らん!
秋:もう最低だよ、次回予告で3対3とか言っちゃたじゃん。
厚樹:てめぇルールブックに目、通しとけよ。
又二郎:いや、一応元バスケ部だったから大まかなルールは心得ている!
秋:そーゆーにわかな知識とかやめてよ、バスケ経験者の皆さんから苦情がきちゃうでしょ?
厚樹:まぁいい、明日お前がどれだけバスケを知っているか見てやろう。
又二郎:おう!明日の分はもう書いてあるから安心しろ!
秋 厚樹:書き直せ!!!!!!!