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三十八話、坂部舞の誓い。

く、栗・・・

・・・このまま帰ってしまってもいいのか! いいや、駄目だ!

まだ坂部君と、なにも思い出を作って無いじゃないか!


「というか坂部君、今朝から機嫌が悪いんだよなぁ・・・なんとかしなくてはいけない! 男として! 塚原利樹として!」

旅館の駐車場で、自分の運転するバスの点検をしていた僕は、今日も坂部君のことで悶々としていた



「おーい何やってんだー塚原ー?」

そんな僕のもとに、海の方から戻ってきた厚樹が立ち寄る

何故か、放心状態でピクリとも動かない真鍋君を引きずって


「む、厚樹か。もう海には行かないのか?」

ちらりと、放心状態の真鍋君を気にかけたのだが、なんと声をかけていいのかわからず、何も言わなかった

「あぁ、もう海は十分堪能したからな。俺達は部屋に戻って寝てる事にするから、出発前になったら起こしてちょ」

「ああ了解した」

そう返事をすると、厚樹は「頼んだぜ、塚原!」と笑って、再び真鍋君を引きずりながら、旅館の方へ歩いていった


真鍋君、一体どうしたというのだろうか・・・








「・・・秋君は部屋に戻った。しかし、部屋には当然厚樹がいるのよね」

私は旅館の屋上から、秋君と厚樹の姿を確認して、そう呟いた

イベント終了間際、今日もいつも通り真鍋秋とどう仲良く過ごすかを考えていた坂部舞である。



・・・一緒に温泉でもどう? あはぁん? って大人の色気を見せ付けながら、秋君を温泉に誘ってみようかなー

い、いやいや! ここ混浴なんて無いし!

そもそもそんな大胆な事私には・・・っ!!


それじゃあ「卓球で勝負よ!」と言いながら部屋に押し入るか!

いやいやいや! それだと、調子に乗った厚樹が「それじゃあ俺が相手をしてやるぜ!」なんて言ってきても困るし・・・うむ・・・困ったクマった・・・



「イベントは昼までしか無いのに、どうしよう私」

このままイベントが終わってしまうのは嫌だ

昨日はせっかく良い感じだったのに、今日は一度も会話した覚えが無い


どうしようと頭を抱える私の背中に、ふと声がかけられた


「お困りのようですね?」

「え?」

突然の声に驚き慌てて振り返ると、この旅館の女将さんだった


「あ、どうもこんにちは」

「こんにちは。坂部さん、なにか困った事があったら、ウチに相談してくれてもいいんですよ?」

そう言って女将さんは優しく微笑むが、私は返事に少し困った


私は、恋する乙女・・・

自分の好きな人を、むやみに言いふらすような真似はしないの。

ましてやこんな遠くの土地の、こんなに大きな旅館を経営している女将さんには、とても・・・


そこまで考えてから、

「いえ、大したことじゃないんで」

「恋の悩みですか! いいですねぇ・・・」

「私何も言って無いんですけど!?」


「あれ? 違うんですか?」

「い、いえ、全然当たってますけど。でも何故それを?」

恥ずかしすぎて涙目になりながら言うと、女将さんは私から視線をずらして、海の方を見る


「こんな大きい旅館で女将をやっていると、全くの他人でも、わかることがあるんですよ」

ただ単に、彼女の独り言を最初から最後まで聞いていたのが本当の理由だが、面倒なのでこの一言で片付ける事にした



「女将かー、楽しそうな仕事ですね」

女将さんにならって、私も海へと目を向ける

今思ったけど、ここの眺めは物凄く綺麗だった。この作者じゃ表現できないけど。


「はい、昔からの夢でしたからね。とても楽しい仕事ですよ?」

「ずっと追いかけてた夢が叶ったんですよね、それってすごいことですよ! 楽しいに決まってます!」

「んー、でも。ウチは夢を追いかけてた頃のほうが、楽しかったかなぁ。って思ってますよ?」


「そ、そうなんですか?」

「昔の話ですけどね。坂部さんには、夢はありますか?」


「夢、ですか・・・」



坂部舞の夢は小学校の先生だった

それは、まだ幼い頃になんとなく憧れているような夢で、曖昧なもの。

今ではそんな夢もすっかり忘れ、ただひたすら秋君を追いかける日々になった

本人はそれでいいと思っている。彼に焦がれたり、追いかけたりする日々が、今の私にとって一番の楽しい日々なのだ。



「私の夢は、まだ無いです・・・今はただ、自分のやりたいことに夢中になってて、そんな余裕が無いといいますか・・・」

「夢中になれることはいいことですよ? 今はそのことを頑張れば、それでいいと思います」


「夢中なことを、頑張る・・・」

呟くと、女将さんが優しく微笑んで、私の背中を押した

「頑張ってくださいね、坂部さん!」

「・・・はい!! 行って来ます!」


そうだ、今はただ頑張ろう!

こんな遠くの土地の、こんなに大きな旅館を経営している女将さんに励まされた私は、改めて、秋君を追いかけるために走り出した・・・






秋と厚樹の部屋にて


「秋君! 男と男の勝負よ! ・・・卓球でね!!」

「男と男の勝負だって!? 流石クラス長、わかってるね! 受けて立つよ、男と男の勝負!」

『男と男の勝負』という部分に反応した僕は放心状態を打ち破り、再び動き出した


「そ、そのあとは! 温泉で汗を流しましょう!!」

「いいね! クラス長最高ー!」


「あ!? 俺もやるっつの! 温泉も行くっつのぉ!」


今日も、クラス長は元気だった・・・


次回、塚原利樹、真実に気付く!!




秋:いやいや、何この次回予告。

厚樹:・・・秋、今は次回予告なんてどうでもいいぜ・・・

秋:え?何で?


又二郎:見ろよ、感想一覧を・・・

秋:え?感想一覧って、誰も書き込まなくてかなりさびれた感想一ら・・・え?

厚樹:それがあるんだよ、誰も書き込まなくてすっかりさびれちまった感想一覧に、感想がなぁ!!!!!


秋:うおおおおおおおおおおおお!!あの誰も書き込まなくてもうやばいくらいさびれてた感想一覧に書き込みがぁぁぁぁぁ!!?

厚樹:そうなんだよ、あの誰も―――


又二郎:誰も書き込まなくてさびれたっていうのやめろおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!

秋:いやいや、だって本当の事じゃん。

厚樹:そうだそうだ!


又二郎:えぇい!あんた達!こんなところで油売ってないで、感想の返事書きに行くわよ!

秋 厚樹:あらほらさっさー!!



・・・

・・・

・・・。

未来:次回もよろしくね!!・・・これでいいの?有紀?

有紀:・・・それでいいのだよ。さて、出番も終わったし、帰って寝るか。


未来:そうだねー あたしも寝よっかなー

有紀:ってことで、さらば。

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