三十七話、傷心の秋!?
無頓着ー
さわやかな潮風が頬を撫でる屋上で、又二郎は叫んだ
「さて! 今日も運転、頑張るぞおおおおおおおののいもこおおおおお!!!!」
「・・・・・・」
そんな又二郎の姿を、無言で眺める塚原利樹
「元気が無いぞ塚原! 今からそんなんじゃ、バスの運転なんて出来ないぜ!!」
「う、うむ。それより、もういいのか?」
「もちろんだ! 今朝は死ぬんじゃないかと思ったが、女将さんが治療してくれてな!」
「ならいいのだが・・・」
又二郎はあの後、女将の手によってバラバラにされ、
再び地下室へと引きずられていき、しばらくして戻ってきた時にはいつもの又二郎に戻っていた
ちなみに又二郎の記憶は少し無くなっていて、自分がサイボーグになっていた事は全く記憶に無いようだ
「それじゃあ、いくか」
利樹は大きく伸びをすると、ぐるぐる眼鏡を押し上げてから屋上の出口へと向かう
「ちょ! ・・・おい、待てって!」
又二郎もその後に続き、二人揃って屋上を後にした・・・
「海に入れないのは残念だけど、この景色は目に焼きつけておかなきゃねー」
「そうだなー、女の子たちの水着姿も昨日しっかり見ときゃよかったなー」
僕と厚樹は二人並んで砂浜に座り、残り少ないイベントをのんびりと満喫していた
今日は昼から帰る予定だとクラス長と利樹から連絡があったので
今から水着に着替えて海で遊んでいると、遊び終えた後の身支度時間を含めて、あまりにも時間が足りないのだ
なので皆は旅館でくつろいでいるか、僕達のように砂浜に来てのんびりしているかのどちらかだった
「二人とも、こっちに来てたのね?」
「やっほー秋くん、厚樹ー!」
二人で余韻に浸っているところへ、さつきと美咲がやってきた
「おぉ、美咲ちゃんにさつきちゃんか。なんだよ? 俺達が部屋で大人しくしてるとでも思ったのか?」
「帰宅部だし、部屋で大人しくしてる方が好きなんじゃないの?」
「人を引きこもりみたいに言うなよ!?」
「この間・・・『ぐへへっ、お前ら運動部が汗水たらして頑張る姿を想像しながら、家でのんびり豚のように過ごすのが、おでの幸せなんでぶー』って言ってたじゃない?」
「違うわ! いや・・・似たようなこと言った気がする!!??」
「ほら、そうでしょ?」
「いやいやいや! でも、小さい頃から虫とりとかやってたんだぞ!!」と否定しながら僕の肩に手を置き、
「な、秋?」と同意を求めてきた
確かに、やってたなぁ。虫取りとか。
「そうだね、あの頃は良くやったねぇ・・・」
このまま厚樹が馬鹿にされるのを傍観していてもよかったのだが、僕まで引きこもり扱いされるのは嫌だったので同意することにした
・・・でも、結構図星なんだよなぁ。引きこもりって。
「へぇ、厚樹は何となくわかるけど秋くんが虫とりとは想像し難いね!」
意外そうに美咲が言う
「え? なんで?」
「秋くんって、おままごとの方が絵になるじゃん?」
・・・美咲がそういった瞬間、空気が凍りついた。
「お、おい・・・美咲ちゃん・・・?」
冷や汗をだらだら流しながら、厚樹が美咲に呼びかける
「え? 何?」
厚樹の顔を見て、目を丸くする美咲。どうやら、悪気は一切ないらしい。
「HAHAHA、一応、なんでそう思ったのか聞いていいかな美咲?」
「? だって秋君女の子みたいだし・・・むぐぐー!?」
「はいはい、その素直なお口は塞ぎましょうねー」
次の地雷は踏ませまいと、美咲の口を背後からさつきが塞いだ
・・・もう女の子って聞こえたんだけど。地雷ばりばり踏まれたのですが。
「あんたってやつは・・・」
「ふぇー!? ふぁにふぁー?(えー!? 何がー?)」
美咲の口を押さえたまま、さつきがお説教を始めた
・・・もう聞こえたんだけどなぁ。
「はは・・・それじゃ、行こうぜ秋? 俺達には旅館のマッサージチェアでのんびりする方が絵になるって!」
そう言って僕の首を引っつかんだ厚樹は、急ぎ足で旅館のほうへと歩いていった・・・
おままごとって・・・どうよ?
次回、イベント最終回!
又二郎:・・・ちょっとまて、落ち着いて考えよう。
厚樹:あぁ、わかった。
又二郎:目がおかしくなったのかもな、なんでだろう?お気に入り登録者が9人?
秋:そんな訳ないじゃん、もう一回見てごらんよ。
厚樹:・・・9人だぞ。
秋:・・・うん、ごめん9人だったね。
又二郎:うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおののいもこおおおおおおおおおお!!!!
厚樹:うおおおおおおおおお!
秋:うおおおおおおおお!
又二郎:ありがとう!感謝!
秋:感謝!
厚樹:それじゃ、次回もよろしく!
秋:お気に入り登録者には本当に感謝!
又二郎:さらばじゃ!!